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セブンが柏に巨大モール ARIOはAEONの牙城を崩せるか

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 郊外に多い大型ショッピングセンター(SC)といえば、海外を含め162店舗を展開するイオンモールが圧倒的な存在感を放つ。家族連れをはじめ一日中モール内で過ごす“イオニスト”なる造語まで生まれたことは、当サイトでも度々取り上げた。

 そんなイオンの独占に待ったをかけるべく攻勢をかけているのが、セブン&アイグループだ。現在、専門店のテナント比率を高めたモール型SCは、イトーヨーカ堂が開発する「ARIO(アリオ)」ブランドで全国に17か所あるが、4月25日には18店目となる“巨大モール”を千葉県・柏市にオープンさせる。

「セブンパーク アリオ柏」と名付けられたモールは、JR柏駅から約6km、常磐自動車道の柏ICから約10km離れた国道16号線沿いにある。敷地面積は東京ドーム約3個分にあたる13万平方メートル。200店ものテナントを集め、ヨーカ堂の中でも最大規模のSCとなる。

「これまでは全国どこでも物販を中心に満足いただける店をつくってきたが、いまお客様のニーズはそれぞれの地域や店の規模によっても違う。地域に根差した情報発信や新鮮さを常に提供できるよう、様々な“仕掛け”をしている」

 セブン&アイ・ホールディングスのグループ企業、モール・エスシー開発社長の近藤悦啓氏は、4月21日のプレオープンでこう自信をのぞかせた。

 確かに最近はどのモールに行っても、お馴染みのカジュアル衣料チェーンや靴チェーン、レストランなどが入り、同質化は否めない。ある程度まとまった売り上げが見込める専門店が入らないとテナント料収入が安定しない、というのが大きな理由だ。

 アリオ柏も、キラーテナントと呼ばれる大手専門チェーンはもちろん、玩具コレクターとして知られる北原照久氏がプロデュースするミュージアムショップがSC初出店するほか、千葉県では初お目見えとなる衣料品店やセレクトショップ、レストランなどを揃えたが、それだけでは大きな集客要因とはなりにくい。

 そこで、他のSCとの差別化を図るために掲げたコンセプトが「Playful Place(遊びごころ溢れる場所)」である。

 屋外ステージを設けた広大な人工芝の公園には子供の遊具やバーベキュー場、ドッグランなどを併設。周囲には800メートルに及ぶウォーキングコースまでつくった。また、施設内では実物の約20倍の『おーいお茶』や『ポッキー』などの巨大オブジェを配したゾーンや、ラウンドワンが手掛けるスポーツ体感施設『スポッチャ』、シネコン(複合型映画館)などもある。

 だが、こうしたバラエティに富んだテーマパーク的な構成も、いまや当たり前の潮流となっている。流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏がいう。

「イオンやららぽーとでも、子供に職業体験をさせる施設や学習・料理教室、ボルタリング体験やスポーツ施設の併設、広場を使ってのライブや展示会など、モノからコト消費へのスペースを増やして集客力を高める戦略になっています」

 ならば、アリオは今後さらなる特徴を打ち出さなければイオンやららぽーとの牙城を崩せないということか。

「大型モール事業は後発組でノウハウや蓄積が少ない分、アリオブランドを高めることは容易ではないでしょう。しかし、柏のように商圏人口の多い開発立地はまだ残っていますし、社会的ニーズの高い保育所や介護施設、医療クリニックなどを複数誘致したゾーンを設けるなど、地域コミュニティーと連携することで発展させる手もあるでしょう。

 その一方、都市部の再開発により、郊外型から“都市型モール”への注目度が高まっています。セブン&アイは昨年、武蔵小杉駅前(神奈川県川崎市)に『グランツリー武蔵小杉』をオープンさせ好調なように、今後は交通の便がよい中心部の業態開発が重要になります。そこで、好立地ながら不振が続くイトーヨーカ堂を上質なSCや小型モールに生まれ変わらせることで活性化も図れるでしょう」(鈴木氏)

 しかし、駅前SC戦争では、各百貨店はもちろん、イオンもダイエー子会社のファッションビル「OPA」を持っているほか、「パルコ」(Jフロントリテイリング)やJR東日本の駅ビルなど競合がひしめき合っている。

 コンビニでは独り勝ちでもショッピングモールはチャレンジャーの立場といえるセブン&アイグループ。まずは年間1300万人の集客を見込むアリオ柏でどれだけ常連客を囲い込むことができるかが、SC事業の今後を占う意味で大きな試金石となるだろう。

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