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築44年・団地住民の住まいの困りごとを「お手軽DIY」で解決

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全国屈指の規模を誇るマンモス団地「UR高島平団地」。8287戸に1万人以上が住む団地の敷地内には、大型スーパーや商店街、保育園や公園広場もそろう。都心へのアクセスも便利なことから、昭和47年に入居がスタートした直後は応募が殺到したといわれる。

しかし、それから44年。経年による老朽化は否めず、悩みや不安を抱える住民も少なくない。そこで、ちょっとした“補修のコツ”や、住まいのアップグレードにつながる“お手軽DIY”を学べるワークショップが同団地にて開催された。

アイデア勝負の”手間が掛からないDIY”を伝授

今回、暮らしの困りごとを改善する取り組みの一環で実施されたDIYワークショップは、「ふすまの張り替え」「窓まわりの結露対策」「壁のペイント」の3つ。いずれも特別な工具は不要で、子どもからシニアまで手軽に行うことができるDIYだ。

【画像1】ふすまの張り替えで用意されていたのは、「壁紙」「マスキングテープ」「両面テープ」そしてカッターとはさみだけ。自分好みに簡単にデコレーションすることができる(ただし退去時に敷金からふすま代を精算する形で原状回復が必要)(写真撮影/末吉陽子)

【画像2】レクチャーを受けながら、子どもと一緒におよそ10分で張り替え完了! ふすまを変えるだけで部屋の印象もガラリと変わるものだ(写真撮影/末吉陽子)

【画像3】空気層をつくって冷気をブロックする「窓ガラス断熱デザインシート」や、発生した結露を吸い取ってくれる「結露吸水テープ」など、住まいのメンテナンスアイテムや省エネアイテムなどを開発するニトムズが製品を展示し、貼り方のコツをレクチャー(写真撮影/末吉陽子)

【画像4】会場ではニトムズ製品の物販も実施。窓ガラスのサイズに合わせてカットし、霧吹きなどで湿らせた窓に装着するだけの簡単なDIYとあって、結露によるカビを気にする住民に好評だった(写真撮影/末吉陽子)

【画像5】これらはいわば、劣化や結露によるカビ防止といった、生活の「困りごと」を解消するためのDIY。今回はそれに加え、自分の手で暮らしに彩りをプラスする、いわばDIYのチカラで生活をアップグレードするためのワークショップも同時に実施された(画像提供/UR都市機構)

【画像6】アンティークやフレンチスタイルの空間づくりが人気のデザイン会社「夏水組」がプロデュースしたdecolfaシリーズのタイルステッカーで、キッチンまわりをデコレーション。シールタイプのタイルなので剥がして貼るだけという手軽さが魅力だ(画像提供/UR都市機構)

【画像7】ほっこりする暮らしアイテムを手づくりする創作家「トントンちくちく」が手掛けた、エプロンづくりワークショップは子どもたちからも大好評(写真撮影/末吉陽子)

【画像8】ヒノキの間伐材を使用した「ヒトテマキット」は、その名の通り、自分の手でけずって磨くというひと手間をくわえてつくる木の食器。手づくりした物には、既製品に対するものとは違う愛着が湧くものだ(写真撮影/末吉陽子)

高島平団地の住民たちが住まいに望むこととは?

当日は多くの住民が参加しにぎわいを見せていたが、実際に団地に暮らす人々はどのようなことを希望してワークショップに足を運んでいるのだろうか? 参加者の声を聞いてみた。

「窓ガラスに結露が発生し、カーテンが張りついてしまうのが悩みです。以前、結露防止シートを貼ったことがあるのですが、シートにカビが発生しまったり、剥がそうとしたら装着した跡がついてしまったりして、見栄えが悪くなってしまいました。今は何の対策もしていないので、良い製品があればと期待して見にきました」

およそ40年前の住宅とあって、サッシや窓ガラスの断熱性能が現在より劣ることは否めない。自己流の対策には限界があるため、今回のようにプロの指南を受けられる機会は貴重だと語ってくれた。一方で、今後のDIYワークショップについて、具体的な要望も。

「収納がかなり大きく設計されているのはいいのですが、既製品の収納ボックスのサイズが合わないことが多くて、デッドスペースが増えがちなんです。収納スペースを有効活用できるように高さ調節ができる棚などを、DIYでつくるためのワークショップがあるといいなとは思います」

現代の生活様式に則していない古い物件も、工夫次第では快適な空間に生まれ変わらせることができるはず。こうした住民の声を一つひとつ拾い上げ、ライフスタイルやトレンドに合わせたワークショップをこれからも期待したいという。

とはいえ、いざDIYを実践するにあたっては、悩ましい課題もあるようだ。特に、大きな障壁となっているのが「原状回復」の問題や、URならではの細かい規定。子どものころから同団地に住んでいる30代の女性は次のように語る。

「例えば、老朽化した壁をペイントしたいと思っても、場所によっては原状回復が求められたり、塗っていい色も規定によって細かく指定されていたりします。DIYを行うための手続きも正直面倒ですね。ここでの暮らしや人間関係にはとても満足していてこれからも長く住み続けたいと思っていますが、やはり建物の老朽化は気になるところ。自分でできる修復は自分でやりたいと思っています。そのためにも、DIYにまつわるいろいろな規定が緩和されていくといいですね」

DIYは団地が輝きを取り戻すための起爆剤になり得るか

近年、注目度が高まってきたDIYだが、住まいや暮らしへの意識が高い人がオシャレな部屋をつくるための情報やイベントが多い印象だった。実際のところ、高島平団地のなかには原状回復義務を免除し、大規模なリノベーションができるようにフリーレント期間を設けている部屋もある。また、夏水組やDIYに詳しい女優の中田喜子さんとのコラボで、オシャレに生まれ変わった部屋もモデルルームとして公開されている。

しかし、これらはあくまでも新規入居者をターゲットにしたもの。今回高島平団地で行われたDIYワークショップのように、既存の住民に向け、いま住んでいる部屋の「困りごと」を取り除くための手段を紹介するのは新しい試みといえる。

もちろん、DIYを浸透させるためには、こうした取り組みだけではなく、DIYできる範囲やレベル、そして原状回復義務にまつわる規定も見直していくことも重要だろう。

築年数がたった賃貸住宅は「賃料が安くていいが住み心地の良さは期待できない」と思われがちである。しかし、入居者自らの創意工夫が部屋に反映され、それが既存住民全体の知恵として蓄積されていくことで、快適で愛着が持てる住まいへと進化していく可能性はあるはず。ひいては、団地内でそうした既存住民たちのコミュニティが育まれれば、住まい探しをする人にとって魅力を感じる要素になるかもしれない。

UR団地でのDIYワークショップは、これからも定期的に開催される予定だという。かつて団地が住まいの先端を走っていたころのように、新たなトレンドを発信する存在として再び注目される日が来ることを期待したい。●UR高島平団地
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/04/109738_main.jpg
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