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『ALFEE’S LAW』はTHE ALFEEの本質を浮き彫りに!【ハイレゾ聴き比べ vol.7】

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このシリーズ第1回の内田彩「アップルミント」、第2回の秦基博『青の光景』で、ハイレゾ音源ではコーラスワークも際立つことを記した。いずれも音像がはっきりすることで、「アップルミント」では彼女の歌声がより立体的に聴こえ、『青の光景』では全体がクリアーになることでコーラスの構成がさらにしっかりと掴めるようになることが分かった。

遅ればせながら、今回、再びコーラスワークに注目してみたいと思う。題材としてア・カペラや合唱の音源を…とも考えたが、その辺はそもそも声を強調する音楽性なので、おそらくMP3やCDでもヴォーカリゼーションの妙は確認できるだろう。

むしろサウンドが派手、もっと言えば雑多で、その上にコーラスが乗っているような音源のほうが、ハイレゾ効果を実感できる気がする。そこでTHE ALFEEである。フォークからプログレまで幅広い音楽性に加え、ヴォーカリストが3人。これほど今回の題材に合うアーティストはいない。

2500公演を超えるライヴを実現
THE ALFEE のデビューは1974年。昨年、40周年のアニバーサリーイヤーを迎えたことも記憶に新しい。彼らのすごいのは、その長きにわたる活動歴もさることながら、80年頃から毎年全国ツアーを行なっているところだろう。現在に至るまで年間50本以上(多い年は年間100本超!)のコンサートを欠かしておらず、総公演数は2500を超えたというから驚異的ですらある。

日本全国のあらゆる土地でライヴを行なっている上に、演奏はもちろんのこと、MC、ステージ演出、物販に至るまで観客を楽しませる姿勢を徹底している。そのスタンスは、J-POPにも造詣が深いマキタスポーツ氏が“信頼と実績のTHE ALFEE”と言ったほどである。

本格的なブレイクはシングル「メリーアン」がヒットした83年からであろうが、それ以前にライヴハウスクラスはソールドアウトさせており、82年には5000人を動員した野外コンサートを行ない、「メリーアン」リリース前に日本武道館公演を決定していたというから、生粋のライヴバンドなのである。

既存の枠にとらわれない音楽性
THE ALFEEほどその音楽性を語るのが難しいバンドもなかなかいない。アイドル的なフォークグループとしてデビューした経歴と、今も坂崎幸之助がアコースティックギターを抱えていることから、フォークのイメージもあるが、82年のアルバム『doubt,』から取り入れ、『ALFEE』『ALFEE’S LAW』で本格化したエレキギター中心のバンドサウンドは明らかにロックだ。

ただ、ほとんどの楽曲を手掛ける高見沢俊彦が「THE ALFEEをロックだと言ったことはない」と公言していることから、少なくともロックバンドという自覚は薄いようではある。もともとTHE ALFEEは、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルのコピーバンドでヴォーカルをやっていた高見沢が、坂崎と桜井賢とがやっていたサイモン&ガーファンクルやビージーズのコピーをやっていたグループに加入したことに端を発する。

コンフィデンスと名乗っていたそのグループでは、クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングやイーグルスのコーラスものをコピーしていたというから、そもそも是が非でもロックをやるとか、フォークをやるとかいったスタートでもなかったようで、それが現在の音楽性に関係しているとも想像できる。

サウンドプロデューサーでもある高見沢は「(ジャンルは)周りが決めるんですよね。“これはロックだ”“これはフォークだ”って」と語っているし、「(考えるのは)“このステージをやる時にどんな楽曲が必要か?”ということ。東京ベイエリアで10万人コンサートをやった時、そのために「Sweat & Tears」を作ったんですよ」とも言っている。

観客のニーズに合わせて…と言うと若干語弊があるかもしれないが、平たく言えばそういうことになろう。楽曲制作においても観客を楽しませる姿勢が反映されていると思われるし、あくまでもTHE ALFEEの活動の中心はライヴで、ライヴのための楽曲であることもうかがわせる。

とは言っても、もちろんそこにはメンバーの音楽的指向もしっかりと注入されているのは間違いない。上記ルーツミュージックからの影響は色濃いし、特にそれが買われてデビューにつながったという美しいコーラスワークは健在である。汎用性と主体性とのバランスがいいという、稀有な存在とも言える。

昨年、オリジナル16作品をハイレゾ配信
さて、そんなTHE ALFEEの79~96年に発売されたオリジナルアルバム16作品が、アビーロードスタジオでリマスタリングされ、ハイレゾ化して昨年から配信が始まっている。今回はその中から『ALFEE’S LAW』を取り上げてみようと思う。

先ほど述べた通り、エレキギター中心のバンドサウンドが本格化してきた頃の作品であり、いきなり2バスのヘヴィメタル系ナンバー「ジェネレーション・ダイナマイト」で幕を開ける作品だ。

ラストの「TIME AND TIDE」へ進むに従ってハードロック色は薄まっていくが、それでも5曲目「メリーアン」まで、アナログ版で言うところのA面は派手なバンドサウンドが特徴でもある。

桜井、坂崎、高見沢それぞれにヴォーカルパートがある9曲目「トラベリング・バンド」はライヴでもお馴染みのナンバーでもある。完成度が高い作品ということではないかもしれないが、当時、彼らが新たな音楽性を取り込もうと意欲的だったことが分かるアルバムである。その作品がリマスター&ハイレゾで如何に変化しているのか興味深い。

まずMP3の聴き応えを記す。過去音源は若干こもり気味かつ割れ気味な印象は否めない。これは『ALFEE’S LAW』が83年発売と30年以上前の作品であることもあるが、何よりも筆者がすでにハイレゾを体験し、その音像がシャープになることを知っているからでもあるだろう。

M3「仮面舞踏会」やM6「誓いの明日」辺りからこもり、割れを感じたが、多くの人にとっては気にならない程度かもしれない。ただ、ごちゃつき感は如何ともし難い印象がある。

M10「TIME AND TIDE」辺りは音数は多いものの、テンポが緩いゆえにアンサンブルを確認できるが、M2「Mr.Romance」やM4「幻想飛行」、あるいはM7「Crazy Boy & Lazy Girl」などは、ピアノとアコギ、アコギとエレキの重なる部分で各音の区別が付きづらい。

特に「幻想飛行」はディレイが長めなこともあって、コーラスなのかディレイなのか掴みづらい箇所も少なくなかった(その辺りは、まさに幻想的な雰囲気を醸している要素でもあるので、あながちそれが悪いとも言えないが…)。

各音を細部に至るまで忠実に再現
それらがハイレゾでは、ほぼ解消されると言ってよい。音の抜けは間違いなく良くなっており、とりわけ高音の細い音がリアルに再現されていると思う。ドラムスのハイハットやシンバルの鳴りも良くなっているが、やはり注目はアコースティックギターだろう。

もともとアコギが立っている「メリーアン」やM8「白い夏バレンシア」のみならず、本作でもっとも激しい「ジェネレーション・ダイナマイト」においてもクリアーなアコギの音色をはっきりと確認できる。

コーラスワークは言わずもがな。「ジェネレーション・ダイナマイト」「Mr.Romance」ともにアウトロに近いところで聴くことができるハーモニーを始め、全編でシャープさを増した印象だ。

声質も細部まで表現されているようで、「ジェネレーション・ダイナマイト」では桜井のややハスキーでワイルドなヴォーカルをしっかりと耳にできるのもいい。大袈裟に言うのであれば、ハイレゾ音源は旧音源から音質が優に2、3ランクアップしているような感じだ。

それによって何が分かるか──。THE ALFEEの本質を再確認することができると思う。サウンドはロックであるが、それをことさらに鼓舞するわけでも、かと言って楽曲毎にガラリとサウンドを変化させるわけでもなく、演奏面においてはメンバー3人がそれぞれの持ち場をしっかりと堅持していることがハイレゾ化によってさらに浮き彫りになる。その独自の音楽性に、“伝家の宝刀”とも言うべき鉄壁なコーラスワークが合わせることで、THE ALFEEがTHE ALFEEとして成立しているのである。

コアなファンにしてみれば「何を今さら…」と思われるかもしれないが、ここにきて、誰もが当たり前だと思っていること──言わばベーシックな姿がしっかりと示されるのは、活動歴が長いバンドだけに史料としても重要と言えるであろう。少なくともリアルタイムで聴き続けてきたファンにとってはマストアイテムと断言できる。

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