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倒産寸前で意欲ゼロの現場 経営者がまず向き合わなければならないこと

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可愛らしいイルカがデザインされた機体が話題になったり、キャビンアテンダントの手作り機内誌が注目を集める、「日本一小さな航空会社」天草エアライン。
今でこそ業績好調な同社だが、かつて倒産の危機に瀕した時期があった。

『天草エアラインの奇跡。赤字企業を5年連続の黒字にさせた変革力!』(鳥海高太朗著、集英社刊)には、同社がどのように倒産の危機を乗り越えたのかが書かれており、本書を通して「経営者はいかに現場と向き合うべきか」のヒントを得られる。

今回は、著者である鳥海さんに同社再建のポイントについて話を聞いた。

―鳥海さんの肩書には、「航空・旅行アナリスト」とありますが、このような活動を始めた経緯および具体的な活動内容を教えていただけますか。

鳥海:2005年から活動を始めました。元々、旅が好きで、いかに効率よくお得に旅をするかをテーマに毎日ブログを書き続けていました。特に当時はマイレージプログラムの情報について書くことが多かったですね。

そんな折、総合情報サイト「オールアバウト」で航空券・マイレージ情報の専門家を募集しており応募をしたら合格したのがきっかけです。

その後大学教員として城西国際大学観光学部の助手をしながら、「旅に出かけるきっかけ」になる記事を心掛け、新しいお得や有益な情報をわかりやすく整理して発信したり、次はどんな旅行先がヒットするのか、伸びていく航空会社はどこであるのかなどの研究を続けてきました。

現在では、雑誌・経済誌・テレビ・ラジオ・WEB媒体を通じて情報発信を続けています。

―鳥海さんが天草エアラインに注目し始めたのは、いつ頃からですか。注目するようになったきっかけ、同社が興味深いと感じた理由もあわせて教えていただけますと幸いです。

鳥海: 2014年の1月からです。以前より懇意にしていた公認サンタクロースで飛行機が大好きなミュージシャンのパラダイス山元さんから「面白い航空会社がある」とお聞きして、一緒に出かけたのがきっかけですね。

初めて利用したときの客室乗務員が書籍の中でも出てくる、太田昌美客室部長でした。機内アナウンスは天草弁で話し、到着後に記念撮影をお願いしたらWピースで応じてくれたり、何よりも乗客の皆さんと気さくに話している姿を見て、この航空会社は面白い会社だなぁと思い、興味を持ちました。

―本書の第二章では、多くのページを割いて、奥島元社長が社員にどのように働きかけていったのかというエピソードが多数紹介されています。鳥海さんの目から見ると、他の航空会社の経営者と比べ、奥島氏のユニークさはどのようなところにあると思いますか。また、そのユニークさが同社再建にどのように機能したとお考えでしょうか。

鳥海:奥島さんは弱者を大切にして、いかに社員が前向きに仕事をできる環境を整備するのかを真っ先に考えてきたと思います。何か思ったことがあればすぐに電話をする。仕事だけでなく、プライベートも含めて(笑)。しっかり社員と向き合うという、「当たり前のことではあるが、なかなか実行しづらいこと」を実践していると思います。

これによって、社員が社長に対して自分の意見を言えるようになり、みんなで会社再建の為に一致団結できたのだと思います。

―奥島元社長に関連して、もう一つ質問させて下さい。本書では「社員から見て、奥島氏はどのように映っていたのか」を示す証言が多数紹介されています。それらの声を総合すると、現場にとって奥島氏とはどのような存在として映っていたとお感じですか。

鳥海:とにかく自分の机に座っておらず、現場を廻っていたという声が多いです。それに飛行機の出発時・到着時には自ら、お客様が預けた荷物を降ろす作業を手伝ったり、時には機内清掃まで手伝う。

社長自ら複数の仕事をこなす「マルチタスク」を実践していた姿を社員が見て、「今までの歴代社長とは違う。この人についていきたい」と思う社員が増えたのでしょう。まさに中小企業の社長の鑑だと思います。

―鳥海さんは本書の中で、同社の特徴の一つとして「パイロットのキャリアの多様さ」を指摘されています。このことが同社のサービスに直接的に与えた影響があるとすれば、それはどのようなことでしょうか。

鳥海:色々な経験を経て天草エアラインのパイロットとして入社した人がほとんどであり、苦労されてパイロットになった人が多いのが特徴ですよね。

天草空港の場合、霧による視界不良が多く、着陸が難しいと言われています。でも、パイロットは機内で直接お客様と顔をあわせることができない。そうした状況の中、お客様に快適に乗っていただかなければならないわけです。その結果、「お客様の立場にたった機内アナウンス」が多くなされているなという印象です。

また、天草エアラインでは、パイロット全員の紹介もシートポケットの中に入っています。これは大手では考えられないことです。

パイロットが特別な存在ではないという部分で、パイロットが乗客へのおもてなしにも積極的に関わっている会社と言えます。

―同社のどの部署にも言えることですが、特に客室部に関して、現場から優れたアイディアが量産され実行されているのが印象的でした。このようなことが可能になったのはなぜだと思いますか。

鳥海:社長が社員に現場を任せているからだと思います。経営陣が会社の向かうべき方向性を決めた上で、各業務については部長クラスに一定の裁量権を持たしている。これが大きかったと思いますね。

特に客室部では、奥島さんの就任以前、小さな航空会社だからできることをやりたくても、役員から「余計なことはするな」と言われ、何もできない状態が続いていました。

しかし、奥島さんが社長になってからは「まずはやってみろ」という方向になり、色々な新しいことにチャレンジする環境が整った。

これによって社員のモチベーションがアップし、好循環に繋がった。手作りの機内誌、プロフィール紹介、お客様からのアイデア発表などはまさにその賜物だと思います。
(新刊JP編集部)

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