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母子面会に寛大な父に親権

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 長女と同居して養育してきた40代の母親が別居中の父親に親権を渡すように求める一方、父親も母親に長女を引き渡すように求めていた訴訟の判決が、千葉家裁松戸支部でありました。
 裁判所は、「母親は父娘の面会を月1回程度にしたいと望んでいるが、父親は年100日程度の母娘の面会を約束している。長女が両親の愛情を受けて健全に成長するためには父親に養育されるのが適切だ」として、母親に対して長女を父親へ引き渡すように命じたと報道されています。「継続性の原則」「母親優先の原則」が重視されてきた従来の判決から比べて画期的であるという声が上がっています。

 婚姻中の父母は、共同して親権を行使するのが原則です(民法818条3項)。夫婦が離婚するような場合には、父母のいずれかが単独で未成年者の子の親権者になる必要があります。
 親権の指定にあたっては、父母双方の監護意思及び監護能力、子自身の希望・年齢等の事情を考慮して判断されますが、これまでの裁判例等では、監護環境の継続性が重要であるという「継続性の原則」、特に乳幼児については母親の存在が不可欠であるとして母親を親権者に指定するべきという「母親優先の原則」が重視される傾向にありました。

 しかし、特に「母親優先の原則」については、根拠がないといった反論も多く、加えて、近年では価値観が多様化し、家庭における父母の役割も変わってきているという状況もあり、あまり重視されないようになってきていると言われています。

 また、「継続性の原則」についても、父母が離婚し、子供たちが父親に引き取られて生活していたところ、母親が親権を求めて訴えたケースでは、父母双方に監護意思・監護能力を認め、父の下で一応安定した生活を送っていることを認めました。

 その上で、「子は、父母双方と交流することにより人格的に成長していくのであるから、子にとっては、婚姻関係が破綻して父母が別居した後も、父母双方との交流を維持することができる監護環境が望ましいことは明らかである。」としました。

 さらに、父親は子供たちと母親の月1回の面接交渉の実施に対して非協力的な態度をとっている事情を重視し、「抗告人(父親)との面接交渉について柔軟に対応する意向を示している被抗告人(母親)に監護させ、抗告人に面接交渉させることにより、事件本人らの精神的負担を軽減し、父母双方との交流ができる監護環境を整え、もって事件本人らの情緒の安定、心身の健全な発達を図ることが望ましい」と、母親に親権を認めました(東京高等裁判所平成15年1月20日決定)。

 「継続性の原則」より、面接交渉に対して積極的かどうかを重視しています。これ以外にも様々な事情について検討を加えていますが、面接交渉について柔軟な対応を取ることが、親権の指定をする上で大きな判断要素となったようです。

 千葉家裁松戸支部の判断については、今後控訴される可能性もありますので、判断が覆される可能性はあります。
 しかし、東京高裁の決定を見ると、面接交渉に対する態度が重視される傾向にあるともいえますので、このまま維持される可能性が高いように思われます。
 今後の判断に注目していきたいところです。

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母子面会に寛大な父に親権

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