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鈴木敏文会長独占告白「7-11を創業したのは私だ」

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「私は今回、身を引くことを決意した」──緊急記者会見で鈴木敏文・セブン&アイ・ホールディングス会長が退任を発表したのは4月7日のこと。

 その理由は、鈴木氏が提案した子会社のセブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長を退任させる人事案が取締役会で否決されたことと説明したが、限られた会見時間の中での説明には数々の疑問が残った。

 なぜ、業績好調にもかかわらず井阪社長を退任させようとしたのか。蜜月といわれた創業家、伊藤雅俊・名誉会長はなぜ退任案に反対したのか。そして、噂された次男、鈴木康弘・取締役の世襲に向けた動きは本当にあったのか──そうした謎を残したまま会見を終えた鈴木氏は、それ以降、公の場に姿を見せていない。

 結局セブン&アイ・ホールディングスの社長には井阪氏が就任し、セブン-イレブン・ジャパンの社長には同社の古屋一樹副社長が就任する見込みとなった。

 会見から5日後の4月12日の正午過ぎ、黒のセンチュリーが鈴木邸に横付けされた。大柄な運転手の後ろには、鈴木氏と夫人が乗っていた。

 記者が「週刊ポストですが」と近づくと、怒気を含んだ声で、「おたくの雑誌、ウソばっかり書くから」と吐き捨てて、鈴木氏は荷物を持って家の中に入ってしまった。運転手に話を聞くと、「あまりしつこくしないほうがいいですよ」という。

「まあ、創業家は伊藤家だってことです。そこをマスコミは勘違いされているのかもしれない。私から言えるのはそれだけです」

 そう言って車は去っていった。直撃取材は失敗か──そう思って自宅を振り返ると、驚くことに屋内に消えたはずの鈴木氏が門の前に立っている。

「アレは別の週刊誌だったかね」

 どうやら鈴木氏を取材することなく批判的な記事を書いた週刊誌と混同していたようだ。そう言うと、鈴木氏は自ら語り出した。

「要するにね、僕は不誠実なことが嫌いなのよ。今回の件も、僕が息子を社長にしたがっているという報道が出た。息子を社長にしたいだとか、そんなこと全く考えない。息子だって社長になることは考えていないはず。誰かが社内で噂を流したのかもしれないが、息子本人もびっくりしている」

 世襲説が表面化したのは、取締役会に先立ち、“物言う株主”として知られる外資系ファンド「サード・ポイント」がセブン&アイに送った井阪社長退任に反対する書簡だ。そのなかで、

「鈴木会長がご子息である鈴木康弘氏を将来のセブン-イレブン・ジャパン社長に、そしてやがてセブン&アイ・ホールディングスのトップに就ける道筋を開くという別の噂も耳にしています」

 とした上で、「この噂が真実だとすれば、鈴木会長のトップとしての適性と判断力に重大な疑問が生じ、会長が御グループのために的確な判断を下しているかどうかが疑われることになります」と批判していた。

 それに対して鈴木氏は、社内に噂を流した人物がいることを匂わせながら明確に世襲説を否定したわけだが、だとすると井阪社長退任案は何のためだったのか。

「今の社長(井阪氏)は自分が社長に選んだし、育てようとしたけれど、一つ一つの小さい店舗をどんどん伸ばしていくためには、新しいことをどんどん提案していかないといけない。井阪くんはそういう提案力は乏しかった。決してケンカしたわけではないが、7年も務めたから交代して、もっと積極的に新しいことに挑戦する人間に軸になってもらおうと考えたんです。7年の間に会社の利益は最高益になったが、それも彼がやったわけではない」

 その上で、退任案が取締役会で拒まれた結果、自ら辞任を表明した理由をこう明かした。

「セブン-イレブンの創業については私が仕切ってやった。たくさんのオーナー(フランチャイズオーナー)がいるので、そこで(世襲説に関する)ウソを言ったりゴタゴタするようなことがあったら、オーナーや社員に申し訳ない。それで僕はすっぱり辞めた。誠実じゃないといけないと。お客さんに対しても誠実にしてくださいといつも言っている。ゴタゴタすることは本意ではない」

 口調は穏やかだが、セブン&アイの好業績を一手に支えるセブン-イレブンについて「創業したのは私だ」という一言に、強烈な自負が覗く。それは、創業家に対するメッセージと受け止められる。

撮影■横溝敦

※週刊ポスト2016年4月29日号

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