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マンガ『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』の作者にインタビュー

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マンガ『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』の作者にインタビュー

2016年、恵比寿に首位を明け渡したとはいえ、長年、住みたい街人気NO.1に輝き続けてきた「吉祥寺」。その吉祥寺を舞台にしつつ、他の東京の街を紹介していく不動産&街マンガが『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』(講談社)。東京のあまり知られていない街の魅力から、「シェアハウス」「リノベーション」など、最近の住まい事情まで紹介しています。取材したなかでも思い出深い街、吉祥寺への思い、住んでみたい物件まで、作者のマキヒロチさんにインタビューしてきました。

雑司が谷に錦糸町、最新刊では神楽坂。紹介する街はどう決まる?

マンガ「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」の舞台は、吉祥寺の一角にある少し古めの不動産屋さん「重田不動産」。ちょいぽちゃの双子の主人公・都子と富子が、吉祥寺に住みたいと希望してきた客に対し、吉祥寺以外の街と物件を紹介するというストーリーです。今まで舞台となってきたのは、雑司が谷に錦糸町、駒沢大学、蔵前、秋葉原などと、ちょっとニッチな街ばかり。紹介する街はどのようにして決めているのでしょうか。

「庶民的な街、ニッチな街、ちょっとしゃらくさい街など、単行本になったときのバランスを考えつつ、いろいろな雰囲気の街を紹介したいと思っています。また、とりあげる街に関しては、東京の街に詳しい編集者の川田さんと相談しながら決めています」。とはいえ、どこの街でもよいワケではなく、「吉祥寺に住みたい」と思っている人を案内するわけで、独自の魅力がないとストーリーは展開できません。

驚くのが、街の良さを発見する視点です。

「初めて街を歩くときは、川田さん、『ヤングマガジン』の担当編集者2人、私の合計4人でぶらぶらしながら街を歩きます。自分だけの視点だと偏ってしまうので、他の人の視点ではどう見えているのか、どんな魅力があるのか、ひたすらメモしていますね」。初回は地図も持っていかず、写真も取らないそう。また、1回だけでなく、何度も何度も街に通い、ストーリーを練りあげていきます。

作品では毎回、その街ならではの印象的なシーンが、見開きで展開されます。キャラクターの頭越しに見える風景は、あたかもその場にいるような臨場感。「ああ、こんな街なら住んでみたいな」「新しい何かが始まるかも」というワクワク感は、読んでいるこちらにも伝わってくるようです。

「見開きのシーンは毎号欠かせないので、どの風景にするかも街歩きのときに編集者と相談したり、自分で印象に残ったシーンを選んで描いています。雑司が谷なら都電荒川線とか、やっぱり欠かせないですよね」とマキさん。【画像1】第一話に登場する都電荒川線の見開きシーン(画像提供:講談社 ヤングマガジン編集部) 【画像1】第一話に登場する都電荒川線の見開きシーン(画像提供:講談社 ヤングマガジン編集部)【画像2】主人公の双子はちょっとふとましい体型。ゆるーい雰囲気ながら仕事はきっちりする、ギャップが魅力。実は「あんまり美人で仕事がかっちりという人に街案内されたくない」という思いから産まれたキャラクターだそう(写真撮影:片山貴博)

【画像2】主人公の双子はちょっとふとましい体型。ゆるーい雰囲気ながら仕事はきっちりする、ギャップが魅力。実は「あんまり美人で仕事がかっちりという人に街案内されたくない」という思いから産まれたキャラクターだそう(写真撮影:片山貴博)

吉祥寺周辺で育ったマキさん。変わりゆく街、東京への思い

マキさん自身は、東京都・吉祥寺周辺で育ち、それゆえに街への思い入れは深いものがあるそう。特に、1巻目の冒頭、30年以上の歴史を持つ映画館「バウスシアター」が取り壊され、主人公たちが「吉祥寺も終わったな」とつぶやきますが、これはマキさん自身の実感がこもったセリフです。

「吉祥寺もどんどん変化していて、昔からあった店が消えて、どこの都市でもあるチェーンのお店が増えていく。 もちろん、吉祥寺への愛着もこめて、でもあまり攻撃的になりすぎず(笑)、”吉祥寺だけが住みたい街ですか?”というタイトルに行き着きました。アレ、なんだろうと思って、本を手にとってもらえたらうれしいですね」と話します。【画像3】変わっていく街を見て主人公たちが「吉祥寺も終わったな」とつぶやくシーン(画像提供:講談社 ヤングマガジン編集部)

【画像3】変わっていく街を見て主人公たちが「吉祥寺も終わったな」とつぶやくシーン(画像提供:講談社 ヤングマガジン編集部)

作品中、ほかにもたくさんの名言が登場しますが、個人的に印象深いのは、「最近の東京は、人気のある店、便利な店が集まった商業施設がボコボコできて、どの街に降りても同じ風景に見えたりする」というセリフ。東京では、随所で再開発が進み、その街ならではの良さが消えていく。もちろん便利にはなるものの、どこか味気ないーー、そんな思いにはっとさせられます。

それでは、今までの取材で印象に残った街は、どこなのでしょうか。

「錦糸町ですね。私自身まったくなじみがなくて、なんだか怪しい街という印象もあったので女性にオススメするのはどうなんだろうと思っていました。ですが、行ってみたら北口と南口で全然違う表情があって、2年くらい期間限定で住むのなら面白いと思いました」と話してくれました。

シェアハウスにリノベ、事故物件まで、ネタはどう仕入れるの?

作品中では、シェアハウスが登場したり、主人公の双子が実家のリノベーションを検討したりと、今ドキの不動産事情もチラリとのぞかせています。

「不動産のネタについては、ヤンマガの担当編集者と相談したり、シェアハウスは物件ありきで話を考えました。お墓の隣は安いというのも、取材で知りましたね。私自身、毎日、間取図を見るというほど熱烈ではありませんが、不動産サイトを見るのは好きですね」だそう。

ちなみに、2巻で双子がリノベーションを検討し、リノベーションされた家を見学するエピソードがありましたが、実は取材時にマンガの展開そのままに、DIY向けの素材やパーツを販売する会社の人と出会ったそう。こうした偶然の出会いが、ストーリーをより盛り上げていくのかもしれません。

最後に、気になる今後の展開、街選びについてアドバイスを伺いました。

「双子の住まいのリノベーション計画が進んでいきます。家が成長、進化していく感じですね。住みたい街ですが、SUUMOではいいにくいですが(笑)、よくメディアで見るような『住んでみたい街ランキング』に流されず、自分の好きな街、自分にあった街を見つけてほしいですね」と話します。

東京にはさまざまな街があり、また数多の住まいがあります。確かに恵比寿や吉祥寺もよいですが、まだ見ぬ魅力的な街、魅力的な暮らしは、意外と近くの、見落としがちな小さな街にあるのかもしれません。【画像4】街を歩きながら、おしゃれな人が多いな、おしゃれをするということは人の目を意識する人、だとしたらへんなことはしないよな……などと想像・観察しているそう(写真撮影:片山貴博)

【画像4】街を歩きながら、おしゃれな人が多いな、おしゃれをするということは人の目を意識する人、だとしたらへんなことはしないよな……などと想像・観察しているそう(写真撮影:片山貴博)●取材協力

マキヒロチさん

第46回小学館新人コミック大賞入選。ビッグコミックスピリッツにてデビュー。

代表作に「いつかティファニーで朝食を」「吉祥寺だけが住みたい街ですか」がある。

・マキヒロチウェブ
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/04/109516_main.jpg
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