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第54回 所内生活の心得(その3)

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 前回、裁判所への出廷などについて書いたので、所内生活の心得自体のことではないが、出廷に関係する話をしておこうと思う。

 裁判の期日は当然事前に分かっているので、前日の夜には出廷のための準備をしておく。準備といっても大仰なものではなく、着用していくワイシャツを用意し、持参する書類などを確認しておくだけである。

 出廷のために裁判所に行くこと、またその帰りのことを押送という。この押送には、一般押送と個別押送の二種類がある。一般押送は、小型のバスで幾人(稀に一人のときもあるが)かが同乗していくものである。
 裁判は、午前中であれば、10時又は11時から始まり、午後であれば1時から始まる。そこで午前の一般押送は、午前9時過ぎにその日の午前に裁判がある者全員を乗せて、拘置所を出発する。
 帰りは、昼の便が1本と午後の裁判がすべて終了する5時過ぎころに1本が裁判所を出発する。

 個別押送は、普通の車で一人だけを乗せて、裁判所に行ったり、拘置所に帰ってきたりする。一般押送とどうしても時間が合わない場合に利用されるが、ほとんどないといってよい。
 だから、午前の裁判が終わった者でも、昼のバスまで待たなければならないし、9時30分過ぎに裁判所に着いた者も11時からの裁判であれば、それまで待つ必要がある。
 その待つ場所が仮監と言われる部屋である。これは後で触れる。

 さて、出廷当日は、部屋でワイシャツとスーツのズボンを着用し、手に靴下とスーツ上着を持って部屋を出る。刑務官と共に、1階の小部屋に入り、そこで、下着姿となって検査を受け、靴下をはき、スーツを着用して、さらにスリッパも別の外出用のスリッパに履き替えて、押送バスに乗り込む。

 裁判所地下に仮監があるので、そこに入る。仮監には、トイレと大部屋さらには3~4室ぐらいの一人用の小部屋がある。さらには接見室も準備されている。
 大部屋が使用されたのは見たことがなく、大体が小部屋に一人づつ振り分けられる。刑務官がきちんとトイレは大丈夫かと、小さい子供に聞くように注意を促していく。

 小部屋に入る前に、小ぶりの本棚があるので、そこに置いてある漫画本(漫画本しかなかったと記憶している)を持っていく。読むものがないと、長い待ち時間が耐えられないからである。
 開廷時間に間に合うように、やはり刑務官の誘導の下、手錠腰縄状態で、法廷に向かうことになる。被告人専用のエレベーターで行く。

 腰縄手錠で法廷に入るのにはかなりの勇気が必要であった。すでに傍聴人や弁護人、さらには報道陣が数多くいる中に、腰縄手錠で入ることになるのは辛い。ほとんど見世物状態であるといってもよい。
 保釈後刑事事件を担当した際、家族が傍聴に来ている場合には、被告人の手錠が外される時、つまり裁判官が入廷する時まで、家族を法廷に入れないように、私は気を遣うようになっていたほどで、当人はもとより家族も、腰縄手錠は辛い。

 裁判が終了すると、再び腰縄手錠状態となって、仮監に戻ってバスを待つことになる。行きと逆で、拘置所に到着すると、拘置監1階の小部屋で、下着姿となって検査を受けてから、帰房となる。

 午前の裁判でもそうだが、午後の裁判でも、部屋に帰りつく時間には、すでに昼食又は夕食が終了している。部屋に入ると、すぐ右側に置いてある小机の上に、食事が準備されており、これを食することになる。
 このときだけは、ややゆっくりと食事をすることができる。面倒見さんではなく、刑務官が食器を下げるのだが、こちらで食事が終了したときに、報知器を出して呼べばいいからである。しかし、その反面食事が冷めていることはやむなしというべきであろう。(つづく)

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第54回 所内生活の心得(その3)

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