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「自分に関係のないもの」なら反対?保育園の開園を断念したニュースについて思うこと

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千葉県市川市で、4月に開園予定だった保育園が、近隣住民の「子どもの声でうるさくなる」などという反対運動を受けて、開園断念という事態に至った……というニュース。

都内でも近年、いくつかこの手の話を聞くことがあったが、 “住民の反対で開園できなくなった”という前例が一つできてしまったことは、今後の待機児童対策にとって大きなマイナス要因になるのではないだろうか。

需要があり、供給もしたい。そこに立ちふさがる用地確保の問題

以前、「子ども・子育て支援新制度」の説明会にいったときのこと。

区内の特定のエリアで保育園が建設できない、という話題が出た。

職員の説明をまとめれば、

・用地買収に応じてくれない

・単身者エリアでの保育園の開設がなかなかにきびしい(反対運動なのか、環境の問題なのかは不明)

・マンションの一室を使う保育ママであっても同様の理由から開設が難しい

この3つに集約されていた。

こんな話もある。

保活でここ数年苦戦していた私に、友人知人が相談しに来ることが多かったが、ある人は「保育園ができるって聞いたから、すぐそばに引っ越したのに、反対運動にあって保育園が開園されなかった」といった。(これがこの数年聞いた中でも一番パンチのきいたエピソードだった)

実際、私も3件ほど、そのような反対運動を目にしたことがある。

いずれも『高級住宅地』にカテゴライズされる場所であり、静かで落ち着いた雰囲気、そして大きなお屋敷が立ち並ぶエリアだ。

おそらく、“お上品なお金持ち”がお住まいになっているであろうお屋敷の数々に、なんとも派手な、黄色い垂れ幕が並んでいる。

『保育園建設反対』

ついでに『タワーマンション建設反対』というのぼりも立っており、「とにかく今ある環境を壊してはならぬ!変えてはならぬ!!」という、ただならぬ空気を感じた。

『年功序列』は武器なのだろうか?

以前、小学校の隣の家に住んでいたことがある。

その地域に“古くからある小学校”。昭和初期の創立だ。

小学校の周りにある、それら住宅の誰もが、小学生に好意的に接していた。もちろん小学生たちも挨拶を欠かさないし、地域の高齢者たちは、登下校時には玄関先に立って子どもたちの安全を見守る。

……保育園の新設との違いはなんだろうか。

ふと、 “東京タワーとスカイツリーの近隣住民”のことを思った。

昔からある東京タワーは、部屋から見えることに価値があるくらいのシンボルになっている。一方、近年できたスカイツリーは、近隣に配慮して、点灯時間も発光も色味も抑え目にしている。

あとから来たものは、一生ぺこぺこして下を向いて生きていかなきゃいけないのだろうか。

自分にとって関係ないものなんて、ほんとうはそれほど多くない

次男が通う保育園は、まだ新しい園である。

前はなにがあった場所だっけ?と思い出してみたが、我が家が越してきたときは駐車場だった。

近隣で最も安い、穴場的な駐車場だっただけに、家から徒歩5分圏内に保育ママを含めて7園目の保育園ということもあって、「いくらなんでも、近所に保育園こんなにいらないよ!」と思ったのだった。

それから数年。めぐりめぐって今お世話になっているので、世の中のいろいろはブーメランのようなものだなあと感じている。

建設反対運動をする人は、おそらく「自分に関係のないもの」だから反対するのだろう。

特養ホームの反対運動も起こっていると聞き、とっさに「子供叱るな来た道だもの 年寄り笑うな行く道だもの」という言葉を思い出した。

誰だって環境が変わるのは怖い。今が安定しているならば維持したいのが本音だ。

詳細もきかないまま『敵だ!』と構えてしまっている人の心を解く作業をすっ飛ばしてしまうと、こじれにこじれて、ほどけなくなるのかもしれない。

実際、新規で保育園の開設に成功した園の話をいくつか聞いたところ、たとえば地域のお祭りに積極的に参加したり、清掃運動したり、といずれも住民との調和を大事にしているのだそうだ。

地域住民の話をひたすら聞く、いわゆる“傾聴”も、関係の改善に効果があるのだという。

たとえばだが、家の隣に葬儀場の建設予定が上がったとしたら、どうするだろう。

そのほかにも、墓地、先述の老人ホームなど。

今、まだ自分にはすぐ必要にならないが、30年後にもしかしたらお世話になるかもしれないし、来年、親にそれらが必要になるかもしれない施設。

実家の近所では長いこと、葬儀場建設反対運動が起こっていた。

最終的に火葬場は見送られ、セレモニーホールのみができることで落ち着いたが、現在、斎場の数が足りずに“葬祭難民”が出ているのだという。

祖母がなくなった数年前も、同様の理由で葬儀日程の調整が大変だった記憶がある。

葬儀場で騒音が起きるというのは聞いたことがないので、住民の反対要因があるとしたら感情的な問題だろう。

「葬儀場近いね、よかったね!」という会話には普段からなりにくいし、家の隣でずっと人が見送られる儀式が営まれていたら、やはり気分が落ちたりするだろうか。

火葬場が併設されるとなるとなおさらなので、川沿いや埋立地など、住宅のなさそうなところに新規で作られる傾向が見られる。

では、保育園はどうだろう。

「子どもが嫌い」?「うるさいからイヤ」?

でも、約1年後には自分に子どもが生まれていることが、今日わかったら?

「保育園も河川敷に作っとけ」?

葬儀場と違うのは、毎日通うということであり、経験上、保育園は家から近くないと親の体力がどんどん奪われていく。就学を視野に入れたら地元である必要も出てくるだろう。

どこでもいいというのは、ちょっと違うような気がするのだ。

反対する方にはその方なりの事情があるはずなので、一概に責めることもできない。

今回の市川の件も、報道されていた「子どもの声が~」というより、周辺の道幅の狭さや交通量を懸念し、子どもの安全が確保できないのではないか?と心配する声が多かったのだという。

しかし、反対運動して保育園の建設を断念させてしまった人だって、来年は子や孫の保活で苦しむことがあるかもしれない。

“当事者”なった時に意見や態度が180度変わってしまうことは誰にでもある。

もしそうなったときには、どうかお仲間の方は、悪く言わないであげてほしいと願うのだ。

著者:kikka303

年齢:39歳

子どもの年齢:5歳・1歳

1976年東京生まれ、都立北園高校出身。東京モード学園に進学するもインディーズブランドブームにのって学校を中退、以降フリーランスのデザイナーとして活動。その傍ら、複数のテレビ局にてデジタルコンテンツを担当。2010年に結婚&出産。現在は都内某所にてWEBディレクター職についている。超イクメン夫、チャラい長男、食いしん坊な次男との4人暮らし。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。

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