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「本屋大賞2016」受賞作、宮下奈都さん『羊と鋼の森』、タイトルの由来とは?

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『羊と鋼の森(ひつじとはがねのもり)』(文藝春秋刊)で、全国の書店員が「いちばん売りたい本」を選ぶ「本屋大賞2016」の大賞を受賞した作家・宮下奈都(みやした なつ)さん。

 同作は、ピアノの調律師になった青年の成長物語。北海道の雄大な自然を背景に、調律に魅せられた1人の青年・外村(とむら)を主人公に据え、外村が調律師を目指す道筋を作った調律師・板鳥(いたどり)や、顧客となったピアニストの卵の双子姉妹、和音(かずね)と由仁(ゆに)など、主人公をめぐる人々を生き生きと描き、多くの読者を魅了しました。

 未読の方にはピンと来ないタイトルかもしれませんが、『羊と鋼の森』というタイトルの由来について、宮下さん自身、ユーキャンが運営するキュレーションサイト「マナトピ」でのインタビューで、以下のように語っています。

「前に、ずっと私のピアノを調律してくださっていた方が、ピアノの蓋を開けて『大丈夫ですよ、いい羊がいるから』と言ってくださったことがあったんです。ピアノを弾くときって、鍵盤を叩くと、ピアノ内部のハンマーヘッドが連動して弦を打って、それで音が鳴るんですが、ハンマーのフェルトは羊の毛でできているんですね。だから、タイトルの羊はハンマー、鋼は弦。主人公の外村が、ピアノという森、人生という森に入り込んでいく、という意味も含んでいます」

 宮下さんが同作を執筆するきっかけとなったのが、富村牛小中学校の山村留学制度を利用し、北海道に暮らした経験。宮下さんのエッセイ『神さまたちの遊ぶ庭』では、アイヌ語で「カムイミンタラ」(神々の遊ぶ庭)と呼ばれる、風光明媚な土地で生活した日々が、ユーモアたっぷりに綴られています。

「北海道で暮らしてみたい」という夫の一言で、北海道の大雪山国立公園内のトムラウシ集落という、最寄りのスーパーまでなんと37キロ、特別豪雪地帯のため雪の日はテレビが映らないこともあるという超僻地に暮らすことになった宮下さんですが、実はそんな田舎暮らしを楽しみながらも、北の大地で本屋大賞受賞を夢見たこともあったのだとか。

「2013年から1年間だけ、一家で北海道の大雪山国立公園内にある、トムラウシ集落で暮らしたことがあったんです。麓(ふもと)の町に1軒だけ、小さな本屋さんがあったのですが、そこに並んでいたのが、そのときの本屋大賞受賞作、百田尚樹さんの『海賊とよばれた男』上下巻(※2013年の本屋大賞受賞作品)だったんです。それを見て『いつかこの本屋さんに自分の本を置いてもらえたらどんなにうれしいだろう、でも無理だろうな……』と妄想していたのを思い出しました。今年の夏、またトムラウシを訪ねる予定なので、その本屋さんをのぞくのを今から楽しみにしています。そこに『羊と鋼の森』が並んでいたら、感激するでしょうね」(「マナトピ」より)

 エッセイには、集落に暮らす人々との交流や、本屋大賞受賞作『羊と鋼の森』の双子姉妹のモデルを思わせる人々のエピソードが盛りだくさん。同作で初めて宮下作品に魅せられた、という方は、ぜひ、こちらのエッセイも一読してみてはいかがでしょうか。

【参考記事】
マナトピ
http://manatopi.u-can.co.jp/break/160412_843.html

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