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ドーピング検査は人権侵害?

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ドーピング検査は人権侵害?

 春になり、プロ野球やJリーグが開幕を迎え、さまざまなスポーツを楽しめる季節になりました。
 スポーツ界で最近注目を集めたニュースのひとつに、世界的に有名な女子プロテニスプレーヤーが、記者会見を開き、ドーピング検査で禁止薬物の陽性反応が出たことを明らかにしたというものがありました。

 ドーピングとは、運動能力を向上させるために、主に薬物を使用して、精神や肉体的強化を施すことをいい、多くの競技で禁止行為とされ、違反した場合は厳しい処分が課されます。
 その検査の方法の一つは、尿検査です。その検査方法は、検査官がトイレの中まで同行し、検査官の目の前で採尿するというものです。
 検査官は、選手本人の身体から尿が出ているかどうか、一部始終を監視します。検査を受ける選手本人は、かなりの精神的苦痛を感じるはずです。
 このような検査を実施することは、選手のプライバシーの侵害にあたらないのでしょうか。

 プライバシー権とは、「私生活上の事柄をみだりに公開されない法的保障・権利」をいい、憲法第13条により保障されると一般的に理解されています。
 トイレの中で排せつをする行為は、私生活の最たるものですから、選手に検査官の目の前で採尿をさせることは、プライバシー権の侵害にあたるといえそうです。

 ただ、プライバシーの侵害にあたるとしても、ドーピング検査が一切許されないとはいえません。
 その理由の一つは、ドーピング検査を実施する合理的な理由があるからです。
 そもそも、ドーピングが禁止されるようになったきっかけは、1960年のローマ五輪で、自転車競技の最中に選手が急死し、調査の結果、興奮剤の使用が判明したという出来事にあります。
 いくら良い結果をおさめても、健康や命を犠牲にしてしまっては、元も子もありませんから、「選手の健康を守るため」ドーピングを禁止することは、合理的といってよいでしょう。
 他にも、「アンフェアな競争を許さないため」「スポーツ選手の薬物使用は、社会に悪影響を与えるため」などの理由が考えられますが、いずれも合理的なものと考えられます。

 もうひとつの理由は、ドーピング検査の方法が相当なものといえるからです。
 公益社団法人日本アンチ・ドーピング機構のウェブサイトに掲載されている尿検査の手順によると、まず、検査対象となる選手には、検査実施前に通告がなされます。
 検査は検査室で行われますが、1人の付き添いが認められます。また、採尿には選手と同性の検査員が立ち合います。
 このように、検査が選手の負担になることを考慮したうえで、様々な配慮がなされているため、検査の方法は相当なものと考えられます。

 以上より、ドーピング検査は、検査を実施する合理的な理由があり、かつ、その検査の方法が相当なものといえることから、選手のプライバシー権の侵害にはあたらないといえます。

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