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会社に隠せば隠すほど深刻になる親の介護を考える

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介護問題は他人事ではない

厚生労働省の報告によれば、介護保険制度で要介護者・要支援者と認められた人(以下、要介護者等といいます)は618万人にのぼり(平成27年12月末時点)、この数は年々増加傾向にあります。なお、この要介護者等の9割以上が65歳以上の高齢者です。

要介護者等の介護の約45%はその子供や子供の配偶者が担っています。
日本の労働力人口は約6598万人ですから(平成26年労働力調査)、単純に計算しても現役世代の100人に3人は親の介護に直面しているという計算になります。

もっとも、親の年齢が高くなるにつれて介護の必要性は増すため、実際には企業で重要な役割を果たしている40-60代と言った一番の働き盛り世代が親の介護をしている割合はもっと高いはずです。

育児とは異なる介護の難しさ

 介護は、国の制度上、育児と一体的に捉えられがちですが実態はかなり異なります。
大きな違いの一つは、終わりが見えない点です。育児の場合は子の成長とともに親の手は少なくて済むようになりますが、介護の場合は、症状が劇的に改善することはあまり考えられず、むしろ要介護状態が重くなることの方が通常です。
そして、介護状態の終わり=要介護者の死であることが多いため、いつ終わりが来るのかも予測できません。

会社に伝わりづらい社員の介護状態

社員が家族を介護しているかどうかは、本人が言い出さない限り会社になかなか伝わらないものです。
先に述べたように、介護は先の見通しが立たないため、社員にしてみれば、介護のため度々休んだり短時間勤務等にすることで同僚に迷惑がかかる、社内での査定に響くのではないかといった不安がつきまといます。

会社に隠したまま仕事と介護を両立できれば良いのですが、中にはギリギリまで頑張った挙句、限界まで追い詰められて突然介護を理由に離職する社員も出てきます。いわゆる介護離職です。

仕事の中核を担う人材が介護を理由に突然離職してしまうことは、大きな損失となります。
せめて、社員の仕事と介護の両立が限界に達する前に、もっと言えば介護が始まった時点で会社へ伝わる状態になっていれば、利用できる公的支援を一緒に探す、その社員の仕事内容を見直す、介護休業するにしても人員の手配ができるなどの対応が取れたでしょう。

社員が介護を会社に隠せば隠すほど、初期に適切な対応が取れず、社員にとっても会社にとっても深刻な状態になってしまうのです。
常日頃から社員とのコミュニケーションを取ることで、介護状態を言い出しやすい環境を作ったり、社員の家族の状態にアンテナを張っておくことが必要です。

社員のワークライフバランスを意識する

介護は、もはや他人事ではなく誰の身にも降りかかってくる身近な問題です。
国も雇用保険法を改正して介護休業給付金を手厚くするなどその対応を急いでいますが、現行、国が補償する介護休業制度はあくまで短期的なものですし(対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回の休業。最長のべ93日間)、特別養護老人ホームの待機者は50万人を超えている等、残念ながら、まだまだ働く人の介護問題を受け止められる受け皿は十分にありません。

公的な制度がまだまだ不十分な中にあっては、会社も自衛の観念をもつ必要があります。
突然の介護問題にパニックにならないよう、介護はどの社員にもあり得る人生の出来事と位置づけ、社員のワークライフバランスを考えた人員配置・仕事の割り振りなど、出来る限りの準備をすることが大切です。

(大竹 光明/社会保険労務士)

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