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突出したコンセプトで大手を凌ぐ新興ホテルが続々出現

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 ホテル予約には定番となった宿泊予約サイトは、利用者が多いため口コミ評価によるホテル人気ランキングを知るためにも利用価値が高い。ホテル激戦区、東京23区内のホテルを高評価順に並べると名だたる大手ホテルが表示されるが、いずれもハイクラスのマークが付くデラックスな施設だ。

 ところが最近、聞いたことのないホテルが上位にランクインしていることに気付く。日々ランクは変化するが、ハイクラスマークの表示もなく料金も手頃な施設もある。

 ホテル評論家・瀧澤信秋氏が、知名度がなくても人気の高いホテルの特徴を解説する。

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 従来から「シティホテル/ビジネスホテル」とカテゴライズされてきた国内ホテルだが、最近少し様子が違う。シティホテルは料飲施設を持つが、宿泊部門と比較して利益が出ないと言われてきた。来客の有無にかかわらず、常に食材やスタッフを準備しなくてはならず、何より宿泊料金のように料理の値段は変動させられない。

 シティホテル経営の足かせになってきたことで最近では料飲施設やフルサービスを割り切る、“宿泊主体型”、いわゆるビジネスホテルスタイルへ移行するシティホテルも増えている。

 一方、宿泊主体型ホテルが、人気レストランや客室以外の付帯施設で人気を博する例も多く見られる。ホテル専業ではない異業種がホテル業へ参入、人気ホテルを生み出すケースが多くなっている。伝統的なカテゴリーがクロスオーバーしているという現況だ。

 このような宿泊主体型ホテルで注目される施設には、何らかの突出したコンセプトの打ち出しという共通点がある。たとえば、2016年2月渋谷にオープンした「SHIBUYA HOTEL EN」は、各客室フロアが何らかの「和」をテーマにデザインされている。「北斎 赤富士」「能舞台」「千本鳥居」、今やこれも日本文化といえる「アニメ」までがテーマだ。

 また、都内で人気の「カラオケパセラ」の運営会社も、突出したコンセプトの「ホテルパセラの森 横浜関内」をオープンさせた。ワインまであるフリードリンク、アメニティバイキングを標榜する驚愕のフリーアメニティ、朝食はもちろんのこと夜はレストランでアルコールや軽食までも無料。いずれも知名度は低いがコアなファンを獲得している人気絶頂のホテルだ。

 しかし、突出したコンセプトは時にストライクゾーンを狭くする。多世代に普遍的な人気とはならない要素もあると言えるが、際立つコンセプトを有しつつ多世代に愛される施設もある。品川から京浜東北線で2駅の大森駅徒歩3分に立地する「HOTEL BAR グランティオス」である。

 同ホテルは、宿泊予約サイト「楽天トラベル」の人気ランキングで帝国ホテルや東京ステーションホテルに次いで3位に躍り出る日もあるほか、各予約サイトを見ても概ね口コミ点数や評価が高い。

 羽田空港やJR駅から近いことは嬉しいが、大手ホテルと肩を並べる人気とはにわかには信じられない小さなホテルだ。全17室しかない宿泊主体型のホテルだという。気になるのはホテル名にある「バー」。確かにホテルといえばバーというイメージもあるが、それはデラックスなグランドホテルが前提。

 ホテルのエントランスからエレベーターで2階へ上がると、正面のフロントに向かい左奥には本格的なバーラウンジが広がる。これがホテルバーという名称の由来だ。ビジネスホテルと思ってチェックインするとしばし戸惑うだろう。

 落ち着いて館内を確認すると、天然木の柱等、自然素材が多く用いられている。一般的なホテルにはないホッとする癒しの空気感がある。客室は3階以上のフロアだが、全室レイアウトが異なる。最も狭い客室で約19平方メートルとシティホテルクラスの客室面積。インバウンドに人気という畳とマットレスが特徴の客室や、バルコニーが設けられた客室までも有する。

 客室のデスクに座り引き出しを開けると、ステーショナリーがセットされており驚く。ホチキスやハサミ、修正テープなどが並ぶ。ホテルの客室でステーショナリーを見かけるのは希有な経験だ。

 決してビジネスユースオンリーのホテルではない。デザイン性の高さはカップルやファミリーにも支持されるだろうホテルだ。ステーショナリーのように、100人に1人でも役だってくれればという視点で痒いところに手が届くサービスを提供する。

 また、この規模の宿泊主体型ホテルにして意外なのが「ルームサービス」の提供。ホテルの運営会社が、ホテル周辺で複数の飲食店を展開していることから、安価で利用しやすいルームサービスを可能にしている。なんと朝食までもルームサービスだ。BARどころか食までもコンセプトにする宿泊主体型のスモールホテルといえる。VOD(ビデオ・オン・デマンド)も無料なので、客室で映画など鑑賞しながらゆっくり過ごすこともできそうだ。

 スタッフのホスピタリティも一般的なビジネスホテルを超越している。そうなのだ、バーといえば洗練された接客であるが、バーをテーマにしたホテルならこれまた然りと気付く。

 全17室だからこそキメ細かい接客ができるのだという。とはいえ、宿泊客がバーを利用することは稀で、固定客が多くを占め賑わっているようだ。バーは独立した店舗として成功し、そんなバーの要素がホテルのホスピタリティを高め、宿泊客の満足度をアップさせているという秀逸なビジネスモデルと言えよう。

 ホテルの人気ランキングには有名ホテルがランクインするが、有名ホテル=多くの人々が利用するので当然。しかし、ホテルカテゴリーのクロスオーバーは、名もないホテルが突出した人気を博する現象をも生み出している。観光立国の推進は様々な宿泊施設を誕生させているが、進化する都市型のコンセプトホテルには今後ますます注目だ。

●写真提供/瀧澤信秋

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