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【犬との暮らし方】犬のリーダーになるってどういうこと?

pack leader

画像は著者本人と著者の犬たち

犬のしつけやドッグトレー二ングの情報には、よく「リーダーになりましょう」などと書かれています。私の元に相談に来られる方にも、「リーダーになれていないのでしょうか?」というご質問をいただきます。一方でドッグトレーナーでも「リーダーになる必要はありません!」と断言する人もいます。
なぜ、片方は「リーダーになれ」と言い、もう片方では「リーダーはいらない」と拮抗してしまうのか。こうした正反対の意見の間で悩む飼い主さんも多いのではないでしょうか。

今回は“犬のリーダー”について考えてみたいと思います。

背景は昔のパックリーダー論

パックリーダーとは、犬の群れ(パック)のリーダーのことを指します。1970年代にはこのパックリーダー論が流行り、どのトレーナーも「犬のリーダーになれ!」と指導をしていたようです。もちろん、私はこの頃は生まれたばかりなので、当時の事は記録でしか知りません。私がドッグトレーナーの資格を取った時も、このように教わりました。
当時から言われているパックリーダー論を簡単に説明するとこうなります。

犬の先祖である狼は群れで生きる動物であり、群れには階層性がある。その頂点がリーダーであり、リーダーは他の個体を支配して、群れを存続させて活動を指揮する立場である。リーダーは他の個体の指示には従わず、劣位の個体はリーダーに服従する。これは犬にも同様に当てはまる。よって人がリーダーにならなければ、犬がリーダーに取って変わり、人が犬に支配されてしまう。なので人がリーダーとなるべきである。

これを別名“支配性理論”とも言います。支配か服従かの関係を説いたこの理論では、犬を厳しく支配する方法が取られました。それは犬同士や狼同士の支配性行動のように、犬を押さえつけるなどの“罰をもって力を誇示する”ものでした。犬が望ましくない行動をとったら罰で不安と恐怖を与えて、人の優位を犬に知らしめるというものでした。代表的なテクニックは、ジャーク・ホールドスチール・マズルコントロール・ロールオーバーなどが有名ですね。

しかし、その後の科学的研究で、このパックリーダー論は、事実と異なることが判ってきました。確かに狼では支配と服従の関係で群れが成り立つのですが、狼から進化した犬は、狼ほどの強い支配性はないという説が有力となります。群れの力関係のことをグループダイナミクスと言いいます。この犬のグループダイナミクスは時と場所によっても変容することが判っています。
“家の中では言うことを聞くが、外に出ると一切言うことを聞かない。”というのは、このグループダイナミクスの変容によるものです。
また、このパックリーダー論で用いられる罰を使った方法は、犬との信頼関係を壊し、問題行動に発展するケースが発生します。こうした事実もパックリーダー論が廃れていく理由となります。

嫌われたパックリーダー論

このことを受けて、ドッグトレーナー界では「パックリーダー論は間違っている」と言われるようになります。犬を力で制御するのではなく、信頼関係を築くことで犬のしつけをするというものに変わり始めます。ここでドッグトレーナー達は今までの姿勢を変えて「恐怖と不安を犬に与えずに、ポジティブな感情を引き出すことで犬との絆を作っていこう」と変わっていきます。このポジティブな感情を引き出す方法が、最近よく言われているポジティブトレーニングです。
代表的なテクニックは、オヤツを使って犬の行動をコントロールする・褒めて伸ばす、などです。こうした、犬がポジティブな要素で学習することをポジティブレインフォースメント(陽性強化)と言います。
こうしたポジティブトレーニングを行うトレーナーの中でも、極端な意見を持つ者は「パック」や「リーダー」という言葉を強く嫌悪する者も多くいます。

こうして、「リーダーはいらない!」という説が生まれてきます。そして同時に、このパックリーダー論を唱える者を排除するような動きも活発になっていきます。

見直されるパックリーダー論

ポジティブトレーニングが一斉を風靡して、世界中のトレーナーやビヘイビアリストはポジティブレインフォースメントを使ったトレーニングを推奨しています。こうした罰を用いないトレーニング法は余分なストレスを与えないので、犬にとって優しい方法です。子犬のしつけや、成犬のしつけでも、ポジティブレインフォースメントを用いた方法は、効果を発揮します。
しかし、特定の問題行動を持つ犬には、ポジティブレインフォースメントをもってしても問題が改善されない、または悪化するという問題が生まれてきます。例えば攻撃性が極めて高い犬や、一部の重度不安症のケースで問題が悪化するなどの報告がされています。

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