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【エッセイ】底辺レズが中野ブロードウェイを巡回して想う事

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私はレズである。名前はもうある。
名前があるからには当然戸籍も住民登録もしてある。仕事もある。

私が自らの性質を自覚したのは女性を愛好する以上に生まれながら男性への配慮を徹底的に欠いていることにあった。異性が嫌いだとか苦手ということではない。そういうレズビアンも多いが、自分の場合は単純に圧倒的に異性への関心が低い。だから例えば異性と婚姻するということはできない。単純に不便だからだ。それは私ではない。
幼稚園のときから女の子が大好きでクラス中の女の子に「友達になろう」と声をかけていた。園児であろうと人気のある男の子やモテる男の子もいたものだが、一切関心がなかった。男の子の名前は、それがたとえスカートめくりをしてくる注意を払うべき手合いであっても一切名前を覚えられなかった。

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私は漫画を好む。レズではあるが百合漫画しか読まないということはない。
少女漫画も少年漫画も等しく読む。
ただ青年漫画にだけは関心が向かない。
上に述べた理由と同じだ。
しかしとにかく漫画が増える。電子書籍を利用してもいるが新刊はやはり紙がいい。
そんなこと言っているために溢れ出した本を整理するために中野にきた。

ブロードウェイはかつて三十年以上前にできた折には、今に例えれば六本木ヒルズのような扱いだったという。今ではすっかり建物も古びてテナントも中古漫画やアンティークを扱っている店ばかりなので、昭和の雰囲気がそのまま残っている空間となっている。
幼い頃にはそれでも新しさと活気に溢れていた。現代的な気分に満ちていた。
それがいつしか“レトロ”といったレッテルが貼られるようになった。“サブカル”もここに与する。

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ひとえに『まんだらけ』の店舗が入り組んでいるのが要因だろうと思うが、それだって開店した当初は完全に新しかった。当時から古書店としての役割を有してはいたので、扱っているものは考えると昭和初期の作品もあったのだ。けれどなんといっても無数の同人誌を扱いはじめたということが新しかった。しかし現在は同人誌は決して新しい文化とは言えない。ただ少数派であるだけだ。

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実に『まんだらけ』の27店舗がブロードウェイを占めている。
置いている品々が面妖すぎて通路を妖怪や妖精が歩いていてもわからないような雰囲気だ。さして複雑な構造の建物ではないが、店舗のデコレーションや区画の細かすぎることが迷宮の気配を醸している。今すれ違ったフードを被った人が幽霊だった、と言われてもわからないような場所なのだ。そんな経験はない。ないが、ここは実際「出る」と噂がある。

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二階の買取売り場で漫画を売り払った。
近頃は時代も変わってレズビアンも喜ぶ百合のアニメや漫画も増えたが、ここでは相変わらず女性向けの製品は“腐向け”のものが多い。
私もかつてはBL(ボーイズ・ラブ)を愛した。それしか同性愛に関する文化がなかったからだ。けれどそれを支持する人たちが正しく同性愛を理解しているかといえば、必ずしもそうではないことに気付いた。よって徐々に関心が薄れた。BLを追う必要がなくなるほどに百合カルチャーが台頭してきたおかげでもある。

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