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【YOSHIKI×三木谷社長】AIが音楽業界を変えていく可能性と、その先の未来とは

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4月7日に開催された新経済連盟サミット2016に、昨年に引き続きX-JAPANのYOSHIKIが登壇。冒頭、YOSHIKIはしっとりとしたクラッシックバージョンの『紅』をピアノで演奏。観客が余韻に浸るなか、音楽にAIがもたらすインパクトについて同連盟の代表理事である楽天の三木谷浩史社長とすべて英語でディスカッションを行った。

AIが人間の暮らしに与える影響について司会者から質問されると、YOSHIKI氏は「ミュージシャンとして予測するなら、たとえばAIが過去60年分のヒット曲を記録して、コード運びやメロディを分析した結果、どのような音楽が人々の心をつかむのかを把握できるようになるかもしれない」と言及。チェスの名人を破ったAIを例に出し、「将来、僕らミュージシャンがAIの作曲家と競争する世の中になるかもしれません。AIがすばらしい曲を作る可能性は大いにあります」と語った。

人間がAIに勝る面について聞かれると即興音楽を例としてあげた。「学生時代、僕は数学が得意だったのですが、作曲はまさに数学です。ピアニシモやフォルテシモも、音の強弱も速さも、すべて計算の上に成り立っています。その一方で、観客のうれしい表情や怒った表情をその場でコードやメロディに反映させて、即興音楽をつくるといったことを行えるのは人間ならでは。私が作曲する際は、楽譜に音符を書き込むことが多いですが、それとは別に、メロディが(天から)降ってくることがあります」。

東京フィルハーモニー交響楽団を運営する三木谷氏は、「音楽は音楽家たちの経験であり、人生そのもの。AIがヒットチャートに乗るようになったら、楽しくなくなってしまう」と言及。「ベートーヴェンの第九にしても指揮者によって解釈が違い、全然違う音楽に聞こえます。それぞれが独自のスタイルやバージョンを持っているから楽しめる。音楽の醍醐味は、演奏を通して音楽家たちが人生を表現し、それを観客とシェアすることでしょう。だから人々は、デジタル音楽を聴くだけではなく、コンサートへ足を運び、生演奏を聴きたいと思う」。

その後、YOSHIKI氏は「私はいつもドラムスティックをもっていますが、今日は三木谷さん、指揮棒をもってはいかがでしょう」と、三木谷氏とのセッションを提案。

「指揮棒に思いを託していただければ、三木谷さんから得られるエモーションを音楽にします」とYOSHIKIが伝えると、三木谷氏は「とてもドキドキしてきました」と口にしながら緊張の面持ちでピアノの脇へと移動した。

三木谷氏が指揮棒を振ると、それに合わせてYOSHIKI氏がゆっくりとピアノを弾き始める。その旋律は、徐々に柔らかなものへと変わっていった。演奏終了後、「すごく感情が高ぶった」という三木谷氏に対して、「私はずっと三木谷氏の顔を見ていました。最初は緊張していましたが、だんだん幸福感が満ちてきているのがわかったので、それを音楽に表現してみました」とYOSHIKI氏は笑顔で答えていた。最後は『Endless Rain』で締めくくり、会場の拍手は鳴りやまなかった。

スピーチセッション後に行われた記者会見では、コンテンツメーカーの在り方について話が及んだ。「どのような変化が必要だと思うか」という問いに対し、YOSHIKI氏は「音楽の配信手段が限りなく広がり、プロとアマチュアの境目もなくなったため、ミュージシャンの数も増えている今、誰もが配信方法をどれにするかといったようなことばかりに頭がいっぱいになっている。しかし、本質は、どれだけ多くの視聴方法があろうと、すばらしい音楽をつくり続けることだと思う」と持論を唱えた。

「それは200年前のクラッシックの時代から変わらないこと。僕としては、こういう時代だからこそ、本当に人の心を打つ曲をつくることにアーティストは専念するべきだと思う」。

また、作曲の際に使用しているアプリケーションについて問われると「僕の作曲方法はめちゃくちゃ古く、楽器を使わないんです。200年前の作曲方法ですべて譜面に手書きで書いてしまいます」と答えた。「ドラムもギターも、昔は全部譜面に書いて、それをメンバーに渡していたんです。すると、みんなが『何?』ということになったので、ある程度はソフトウェアを使用してシーケンスを作るようになりました。アプリケーションを使う時はほとんど遊びで効果音として使うことはあっても、本質的なメロディをつくるときはいまだに200年前の書き方をしています」

「ストリーミングサービスでも誰かがダウンロードしたら、似たようなものをリコメンドするといったことが起きているなか、今後音楽業界がどうやって前に進んでいくかというのは、僕だけじゃなく、みんなの課題。ただ、そこばかり追う姿勢はどうなのかなと。音楽業界が潤ったというのは過去60年くらいの話。僕らが本当にやらなければならないのは、100年後、200年後に、あの時代にこんな音楽ができたよね、もしくは、こういう音楽ができるようなテクノロジーが発明されたよね、と後世で言ってもらえる作品を生み出すことだと思います。結局、どんなテクノロジーが生まれたとしても、いい音楽が生まれなければ意味はない。200年後、『あの時代に天才がいたよね、面白いことがあったよね』と語り継がれるようなことが今起きればいいと思います」

取材・文・写真 山葵夕子

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