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なぜベイスターズは長期低迷を続けるのか? 熱狂的横浜ファンが記した「弱さ」の歴史

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ラミレス新監督が就任し、最下位に沈んだ昨年の屈辱を晴らそうとしている横浜DeNAベイスターズ。ところが開幕ダッシュに失敗し、4月6日の時点で3勝8敗と大きく負け越してしまっている。

横浜DeNAベイスターズは歴史的に見ても「弱い」球団だ。それは数字が証明している。2012年までの負け数は12球団最多の4522敗。1950年の球団創設から2015年までで、Aクラス15回に対してBクラス51回。昨シーズンは前半戦首位ながら、終わってみれば最下位だった。

ホエールズからベイスターズに至るまでの球団史を記した『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史』(村瀬秀信著、双葉社刊)のページを開くと、その「弱さ」の理由の一端が見えてくる。

■1998年の優勝から長期低迷へ…

本書は、1998年の奇跡から一転、泥沼にはまった最弱球団が「熱く熱く立ち上がる」までを、現役選手、OB選手、歴代の監督やコーチ、球団社長など総計34人の関係者に取材を重ね、生まれついての横浜ファンの村瀬秀信氏がホエールズ&ベイスターズの歴史を徹底総括した一冊だ。

覚えている人は多いだろう。1998年、ベイスターズはマシンガン打線に大魔神と謳われた佐々木主浩を擁し、圧倒的なインパクトでリーグ優勝を果たし、38年ぶりの日本一に輝いた。そのとき、ファンはベイスターズ黄金時代が到来することを信じていたはずだ。そこから3年間はAクラスを確保したものの、黄金期どころか2002年には最下位に転落。その後は12年間で9度の最下位と長い低迷が続く。

■優勝メンバーを一気に放出。それは悪しき歴史の繰り返しだった。

問題は優勝の翌年である1999年から2001年の間だ。「球団史上初の5年連続Aクラス」と浮かれていたその間に主力メンバーの多くが抜けているのだ。

権藤博監督をはじめ、佐々木主浩、駒田徳広、阿波野秀幸、島田直也、ロバート・ローズ、関口伊織、波留敏夫、進藤達哉、戸叶尚、五十嵐英樹、谷繁元信といった選手たちが、FAやトレード、戦力外で退団している。わずか3年で、監督、キャプテン、4番打者、扇の要、内野のキーマン、絶対的ストッパーがチームを去っているのだ。

この連続する放出劇が、長い低迷への入る大きな要因の一つだった。

「選手の放出」はこのときだけでない。横浜は功労者ともいえるベテラン選手を冷遇するという悪い球団体質がある。1993年のオフ、チームの中心だった高木豊、屋敷要、山崎賢一、市川和正、大門和彦、松本豊の6名が突然解雇された。

本書の中に、当時、屋敷要が涙を浮かべながら報道陣に語ったこんなコメントが登場する。「悔しい。ゴミ箱にゴミをポイと捨てるようなものだ。球団は僕のことなんか功労者と思っていない。ただのゴミ扱いだよ」(p242より引用)。ベテラン勢がいたポジションを奪う形になった若手選手も当然、球団の「選手を大切にしない」姿勢を見ていた。1998年の優勝メンバーとなる谷繁や進藤、石井琢朗といった選手たちだ。

2008年に石井琢朗がチームを離れる際に、「若い時に豊さんたちの事件を見ていますからね」という言葉を残しているように、大きなしこりを残してしまっていたことがうかがえる。これが「横浜ベイスターズ」だったのだ。

■選手、ファンの思いが凝縮した一冊

2012年、親会社が変わり、横浜DeNAベイスターズとなって再スタートを切った。そして、小池正晃、鶴岡一成、多村仁といった、かつてチームを離れた生え抜き選手が加入するなど、革新を進めた。

この『4522敗の記録』は2013年6月に単行本が出版され、2016年1月には文庫化された。その文庫化の際に最終章「234敗の追記」と「追録 村田修一が見ていた世界」が新たに収録されており、その後の横浜DeNAベイスターズと横浜を出て行った選手たちの姿が描かれている。

どれだけ裏切られようが、負け続けようが、それでも応援するのがファンだ。ホエールズ&ベイスターズの歴史を追いかけた本書は、選手たちの思い、ファンの思い、そして、大の横浜ファンの著者の思いが詰まった一冊である。

(T・N/新刊JP編集部)

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