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【プログラマ予備軍の登竜門】情報処理技術者試験を受ける前に知っておきたいこと

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IT人材の不足が叫ばれる。でも油断は禁物

リーマンショックを発端とする需要減によって、一時は業界全体の「人材不足感」は減じたものの、2015年にはIT人材が量的に「大幅に不足している」と答える企業が23%と、リーマンショック以前の水準へと戻っています。

昨今、既存の「新卒採用」「中途採用」の枠組みだけでは人材不足を補いきれないという議論があり、「中高年活用」「女性活用」「外国人採用」という新規市場の開拓に力を入れ始めている企業が増えています。

情報系の分野に進みたい学生は、そのように多様化する人材市場の中で「どうやって自分の価値を確立するか」を考える必要があります。

国内市場から不足する人材を補う取り組みとしては、どのようなものが挙げられるでしょうか。

代表例として、「情報処理技術者試験」があります。高校、高専、専門学校、大学といった教育機関で、情報教育のカリキュラムに幅広く取り入れられています。

IP(ITパスポート試験)、FE(基本情報技術者試験)、AP(応用情報技術者試験)、および各種の高度な知識・技能を有する人材と認定するこの試験、IT業界に携わる方なら誰もが知っているはず。

この記事ではいくつかの論点から、IT業界を目指す学生がこの試験を受けておくことの有用性を整理していきます。

企業はどのように人材評価を行っているのか
各種試験がIT業界全体のレベルの中で、どの水準に位置づけられるのか
FE,APの試験内容について
資格を持った人材の稀少性について

ポイント1:IT企業の評価体制は、企業規模に依存する

IT人材白書2015によると、IT企業の人材育成方法は、企業規模によって大きく異なるということが分かっています。

規模の小さい企業ほど「自主性に任せた育成」「OJTのみで育成」という割合が高く、1000 名を超えるような規模の大きい企業ほど「キャリアパス定義」「人材スキルのレベル定義」といった手法を用いる傾向にあることを明らかにしています。

情報処理技術者試験などのフレームワークで「人材スキルのレベル定義」を行っている企業の割合を見ると、30名以下の企業では35%ほどであるのに対し、1000名以上の企業では80%ほどと、非常に大きな差があることが分かります。

また、取り入れている基準にも違いがあり、全般的に取り入れられているのは「会社独自の評価基準」と「情報処理技術者試験」です。

その一方で違いが目立つのは、「ITSS(ITスキル標準)」を取り入れている企業数。30名以下の企業では17%、1000名以上の企業では65%と大きく開きがあります。

ITSS(ITスキル標準)は、IT技術者のスキルを計るものさしとして経済産業省が普及を目指しているフレームワークです。

平成14年の策定・公表以来、スキル基準が抽象的であるなどの扱いづらさから導入失敗事例も多く、普及には時間がかかりましたが、現状を見ると、規模の大きい企業から着実に根付き始めているようですね。

ポイント2:FE、APの業界内位置付けをITSSから読み取る

ITSSは情報処理技術者試験とコラボレーションいて、ふたつの指標には明確なレベルの対応があります。

情報処理技術者試験が「エントリー~ミドルレベルの技術者を評価する枠組み」ならば、ITSSは「最高の人材までを含めた、すべての技術者を評価する枠組み」ですから、両者を対比させることによって情報処理技術者試験の業界内位置づけを読み取ることができます。

ITSSではIT技術者をレベル1~レベル7までの水準で区分しており、それぞれのレベルで求められる技能については「ITスキル標準V2」のキャリアフレームワークなどによって確認することができます。

ITスキル標準V2ダウンロード

ここで、「レベル4(高度な知識・技能)」と区分されているレベルまでが情報処理技術者試験の範疇で、それ以上のレベルに対応する試験はありません。

それぞれ、以下のような対応になっています。

ITSSレベル
情報処理技術者試験
レベル1(最低限求められる基礎知識)
ITパスポート試験
レベル2(基本的知識・技能)
基本情報技術者試験
レベル3(応用的知識・技能)
応用情報技術者試験
レベル4(高度な知識・技能)
高度試験

レベル5以上のITSSレベルに対応する試験が無いのは、成果ベースの評価を前提としているためです。

なおIT プロフェッショナル委員会は、これらのハイエンドクラスの人材価値を向上させるため、「認定情報技術者(CITP)」という新たな資格制度を創設し、情報処理技術者試験では対応できない水準の人材評価を行っていくことを発表しています。

ポイント3:試験内容は一般に役立つのか?

FE(基本情報技術者試験)やAP(応用情報技術者試験)は、3つの試験科目から成ることは、皆さんご存知のとおりですね。

「テクノロジ系」「マネジメント系」「ストラテジ系」からなり、テクノロジ系の試験内容は情報処理に関連する内容や、C・アセンブラ・COBOLといった言語を使ったプログラムに関する出題です。

一方で、マネジメント系やストラテジ系の有用性がわからない…という方でも、ITSSにおいて求められている能力の幅広さを鑑みると、「これぐらい勉強しておいてもいいか」という気になりませんか?

自分がどんな技術者になりたいのか、キャリアパスとよく照らして、モチベーションを確立しておけば、学習の励みになるはずです。

ポイント4:IT市場における稀少性を知っておこう

FEは受験者の平均年齢が25.6歳と若く、これは学生が平均年齢を引き下げているためと見られています。

合格率は最新のもので26%。一方、APの合格率は18%~25%ですが、母数の性質が違うため単純比較ではいけません。

専門学校生の受験数を重みとした計算をすると、APに合格するのは情報処理技術者試験を受ける人口の3%程度とも言われていて、就職の際には強力なアピールポイントになるでしょう。

「キャリアパス」と「稀少性」、双方から資格の価値を測っておくことが大切です。

まとめ

情報処理技術者試験を直接的に評価指標として用いる企業は、規模の大きい企業ほど増える傾向にある
レベル7まで存在するITSSにおいて、情報処理技術者試験はレベル4までの知識面を測定する試験にすぎない
マネジメント系、ストラテジ系の試験範囲も、ITSS等のキャリアパスを意識すると有用性が見えてくる
FEの合格率は26%。APを取っている新卒者は非常に高い稀少性がある

カテゴリー : デジタル・IT タグ :
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