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あなたの“しがらみ”を優しくほどく映画『孤独のススメ』の監督インタビュー

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Photocredit: 映画『孤独のススメ

こんにちは。Compathy Magazineライター赤崎えいかです。
日々の生活のなかで「ああしてみたい」「こうしてみたい」と思うことがありつつも、それを実行できない現実があるのは誰もが認めるところ。その理由の一つとして、周りの人の目や、地域や環境独特の“しがらみ”をあげる人も少なくないかもしれません。

オランダから届いた映画『孤独のススメ』では、オランダの田舎町でしがらみに縛られて暮らしていた主人公が、奇妙な男との同居生活によって生活が変化し、色付いていくさまを描き、私たちに新たな価値観を教えてくれています。

今回、『孤独のススメ』の監督であるディーデリク・エンビゲさんにお話を伺いました。

ーオランダといえば、世界で初めて同性婚が認められ、オープンで個人主義なイメージがあったのですが、映画のなかのオランダはずいぶんと閉鎖的で驚きました。実はオランダは閉鎖的な部分も多いのでしょうか?
世界中どこでもそうだと思いますが、オランダも都会と田舎で全く違います。都会は個人主義で自分のしたいことをする人が多いですね。今では珍しくなりましたが、オランダにも映画に出てくるような村やコミュニティーが存在しており、田舎の小さな村では、昔と変わらないコミュニティーを固持し続けたいという考えを強く持っている人もいます。

ー監督自身はしがらみを感じて生きてきたのでしょうか?
私自身はとても自由な家族に囲まれて育ち、なにかの制約を感じたとか、何かの主義にとらわれることもなく、広い視野をもって生活することを許されてきました。
私の知り合いには狭いコミュニティーで育った人もいますが、意識が変わって自由になっていく人がいる反面、自分のコミュニティーとの摩擦を感じながらも、そこに所属し続けている人たちもいます。しかし、人間はどのような環境にいようとも、誰もが自分で自分の居場所を見つけなければいけないですよね。自分にとって最良の場所はどこなのか? どこにいたいのか、なにをしたいのか、と自分に問い続けています。みんな、そういった自由になれる場所を探し求めていると思います。
映画は自分が作り上げたストーリーであって、自分の物語、自分の内なる自由を求めるという、あくまで自分が描いたストーリーです。

Photo credit: 映画『孤独のススメ
ーひとりでいることと、誰かと一緒にいることのバランスを取るのが難しく感じる人もいますが、監督は、誰かと付き合うバランスについて考えたことはありますか?
それはとても哲学的な質問ですね。正直なところ、それについてはわかりません。
しかし、誰もが孤独で、他の人を求め、共有できることを探し求めているのは確かだと思っています。探し求めていても、孤独なままの人ももちろんいますが、それでも誰もが母親や父親のような存在だったり、とにかくずっと誰かを探し求めていますよね。

ーストーリーのなかに出てくる山、「マッターホルン」はとても印象的です。監督にとってマッターホルンは特別に思い入れのある場所なのでしょうか?
私自身、子どものころから山歩きや家族との休暇を過ごすためにマッターホルンにはよく行っていました。
子どものころは神様が山よりもっと上の高いところ、天国にいると考えていたんです。だから、山の上は神様に一番近い場所だと思ったし、実際に壮大で圧倒的な大自然に囲まれたとき、自分の存在はなんて小さくて無に近いものなんだ、と感じさせられました。これは自分のなかで一番宗教的な体験かもしれません。
宗教色が薄くなっていくと、自分がすごく偉大な感覚に陥ってしまうことがありますが、逆に自分が小さいものであるということを感じることができるのは必要だし、大切なことです。そこから、しがらみが解放される部分も大いにあります。
マッターホルンは映画のなかでも、メタファーや隠喩になっている重要な部分なので、そこも意識してもらえると嬉しいです。

Photo credit: 映画『孤独のススメ
ー今回の映画、『孤独のススメ』には、どのような想いがこもっていますか?
私は観客に「こう見て欲しい」というような限定したメッセージを込めて映画を作っているわけではありません。しかし作ったものをほかの人がどのように感じてくれるのか、そこが楽しい部分だと思っています。だから特にメッセージというものは考えず、自分自身の琴線に触れるものを作りたいと思っているし、それに他の人が感動してくれたら、相手の感動に自分が関わっていることが素直に嬉しいですね。

映画『孤独のススメ』公式サイト
2016年4月9日(土)より全国順次公開

(聞き手・ライター:赤崎えいか)

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