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【連載】あなたの知らないリアルなニューヨーカー/第1回「グアテマラから歩いてきた彼」

ニューヨーク在住、TABIZINEライターの青山沙羅です。あらゆる国から人が集まっている、ニューヨーク。この街には集まった人の数だけ、異なる人生があります。世界の大都会を輝かせているのは、この街を目指した人々の希望、絶望、涙、吐息。筆者の心に残る、忘れられないニューヨーカーたちとの出逢いを語ってみましょう。絵空事ではない、あなたが知らないリアルなニューヨーカーとは。

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【連載】あなたの知らないリアルなニューヨーカー/第1回「グアテマラから歩いてきた彼」
(C) Hideyuki Tatebayashi

グアテマラの人

彼は、初めて話したスペイン語圏の人。そして、初めて出来たラテン系の友人。99%ラテン系生徒の英語のクラスで浮いていた日本人と、昨日ニューヨークに着いたばかりの彼は、どちらも緊張していました。クラスのほとんどが、コロンビア、エクアドル、ホンジュラス、エルサルバドル、メキシコなどラテンアメリカの出身。恥ずかしながら、コーヒー豆の産出国だなあとぼんやり思うほどの知識しかありませんでした。

「会話の練習をやるので、近くにいる生徒と二人一組になれ。やる気のない奴は放っておけ、他の生徒を探せ」との英語の先生の言葉に、慌ててあたりを見回した時、目があったのが彼でした。やや浅黒い肌、小柄でがっしりした彼は、どことなく哀愁を帯びた顔をしていました。先住民(マヤ系)の血を引いているのでしょう。「グアテマラから来たんだ」とポツリと語った横顔に、真面目な人柄が見てとれました。その日から私たちはパートナーを組むようになり、毎日隣の席に座るようになったのです。彼の名前はオスカー、20歳。

【連載】あなたの知らないリアルなニューヨーカー/第1回「グアテマラから歩いてきた彼」

自分の国から、歩いてきたんだ

隣同士に座って一緒にクラスを受けて、3日目くらいだったでしょうか。「僕は、兄さんとグアテマラから歩いてきたんだ」というではありませんか。ニューヨークの隣の州ではありません。地続きとはいえ、故国から歩いてきたというのです。オスカーはお兄さんとグアテマラから17日間かけて徒歩で来て、ニューヨークに着いたばかりでした。

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ニューヨークに着いた次の日には、学校へ行き、仕事に向かった

名前しか知らないラテンアメリカの国、グアテマラ。故国から兄と二人で歩き続ける道のりがどんなものだったのか、想像もつかないことです。道無き道もあったのかもしれません。1996年まで内戦の続いていたグアテマラの治安が良くないと知ったのは、後になってからのことです。17日間歩き続けた旅路の末、マンハッタンの摩天楼を二人で仰ぎ見た時はどんな気持ちだったのでしょう。彼らの気持ちを推し量ると、涙ぐみそうになりました。

ニューヨークに着いた次の朝に英語のクラスに出席し、午後からはデリの裏方の仕事に向かったそうです。グアテマラを出る時に、ニューヨーク生活の青写真の手配は出来ていたのでしょう。デリとは、ニューヨーカーには欠かせない食料品店で、サンドイッチを作ってくれるカウンターとサラダと暖かい惣菜のあるバッフェがあり、お菓子や飲み物も買うことが出来るところです。

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国には送金している

ラテンアメリカのほとんどの人が、故国の家族に送金しています。日本の若い人たちと、なんという差だろうと驚きました。ニューヨークで留学生活を送っている日本人は、すでに成人しているにも関わらず、親から送金してもらっている人が多いからです。

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