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知日派米教授 日本のポテンシャルは文化や精神性にある

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 かつてジャパン・バッシャー(日本叩き)として知られた米国人クライド・プレストウィッツ氏(経済戦略研究所所長)が「2050年の日本」は新型の超大国として繁栄すると予測した『JAPAN RESTORED(日本復興)』が話題となっている。同書では、2050年に日本のGDP成長率が4.5%と中国を凌駕することや、総人口1億5000万人になるといった展望を描いている。

 1980年代に日本に留学し、プレストウィッツ氏同様、長い間日本を見続けてきたジョージタウン大学教授のケビン・ドーク氏にこの書について語ってもらった。

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 プレストウィッツ氏は日本にとって最重要な改革は経済よりも政治だと説く。現在の中央集権を排し、全国を15州に分けて、防衛や外交以外は自治権を与えるという。だが、日本はこれほどの犠牲を払う必要が果たしてあるのかどうか。

 日本のアジア諸国との和解というのも本書では日本が歴史や領土の紛争案件で一方的に譲歩することで達成するとされる。尖閣諸島の問題を国際司法機関に委ね、竹島の領有権は放棄、自国の教科書の記述は一部にせよ国際機関に委託する。そんな措置を日本国民が認めるだろうか。

 本書に描かれた日本は国際ビジネスマンたちを魅するようにはなるだろう。アメリカ東海岸からでも超音速ジェット機で2時間半で羽田空港に着き、入国審査も自動的に済み、ロボット運転の車でホテルにチェックインできる。従来の日本や日本人との接触がなくても日本の経済システムのなかで活動ができるというわけだ。この状態は経済効率という観点からすれば、好ましいことなのだろう。

 しかし本書の予測する日本は他の側面では人間らしさの少ない不快な社会とも思えてしまう。物質的な快適さだけなら、その日本はパラダイスかもしれない。だが私が最近の自著『日本人が気付かない世界一素晴らしい国・日本』でも述べたように、日本が素晴らしいのは経済アニマルの国ではなく、豊かな人間関係が技術の進歩の基礎にも存在する国だからだ。

『日本復興』では、そうした日本の特別な文化や精神はほぼ無視されている。日本の文化は普遍的、経済的に効率の高い言動を取らない場合の弁解のように位置づけられる。一例として日本の歌舞伎は「社会の調和を口実とする偽善の象徴」とされるが、私には社会の調和とそれを支える人間関係こそが日本人の賞賛すべき倫理観の基盤に思える。

 よき人生を目指す日本人独特の倫理感覚の前提となる深く人間的な次元がなければ、日本は高度技術と経済成長と功利的な物質主義だけの国になってしまう。私もプレストウィッツ氏と同じように日本が将来、超重要な国際的存在になると思う。だがそれは氏の論拠とは違って日本独特の文化、道義、そして人間的な伝統という特徴があるからこそ、そうなると考える。

※SAPIO2016年5月号

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