ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

「ファストジーンズ」に反逆する男、Lee Japan取締役 細川秀和

DATE:
  • ガジェット通信を≫


Be inspired!
東京・NY・ストックホルムを拠点に2015年1月に創設。「社会問題を解決する“遊び心のあるアイデア”」を提供しています。また、世界中の「社会変革のストーリー」を、独自の視点で切り取り、「問題への気づき」や「解決するヒント」を読者へ届け、活動している方々を応援することを使命だと考えています。
http://beinspiredglobal.com/

毎日のファッションに欠かせないジーンズ。あなたは、なにを基準に選んでいるだろうか。色?それともダメージやケミカルウォッシュに代表されるイカした加工?

もしそうだとしたら、あなたは本来のジーンズを理解していない。そんな風にジーンズを選ぶあなたはむしろ、「フェイクファションの犠牲者」なのだ。

ファストに抗う、
ジーンズ業界の反逆児

photo by Tomoko Suzuki

「真っ青なジーンズを10年、20年と履き込んで、やっと『なにそれ、すげーかっこいーじゃん!』って人から言われる。あの時、犬の散歩しててコケた擦り傷が今もここに残っているけど、まだ履いていたい。そんな洋服としての終焉を迎えても、ずっと一緒にいたい。そう思える商品が、本来のジーンズ」。

photo by Tomoko Suzuki

そう熱く語るのはジーンズ業界の「反逆者」、Lee Japan取締役の細川秀和だ。この男はなんと、ファスト化したジーンズをたった一人で「無理やりスロー化」しようとしているのだ。

どこでも買える
“履き込んだジーンズ”

photo by Tomoko Suzuki

ジーンズはかつて、スローファッションの代名詞のような存在だった。それが今や、ファストファッションの主力商品。

「ストレッチデニム1本、990円」「ケミカルウォッシュデニム、2本で2,990円」。こんな表示を店先で見ても、別に驚きもしないだろう。

「『いかに履き込んだように見せられるか』という“フェイク”の加工ができるようになったもんだから、人々は本来長年履かないと出ない”ジーンズの味”をお金で買うようになってしまったんです。それも、ものすごい低価格で」。

売れれば売れるほど
「誰かが犠牲になる」仕組み

photo by Tomoko Suzuki

“フェイク”加工という、アパレル業界の技術革新。世界中で「履き込んだように」見えるジーンズが大量生産されている。しかし、その便利さと安さの裏には、過酷な労働環境が隠されているのだ。

加工は過マンガンカリウムや塩素などの化学物質を使って行われる。安全管理が出来ていない工場で働く労働者たちは、そうした化学物質に苦しめられている。

photo by Tomoko Suzuki

目が痛い。鼻が利かない。食べ物の味が分からなくなる。目まいをおこす…。中国やバングラディシュなど、未だ過酷な労働環境にある工場では、そうした症状を訴える労働者が後を絶たない。細川はそんなひどい現場を目の当たりにして、「これでいいのか」と疑問を抱いた。

「普通であること」が
「一番難しいこと」?

photo by Tomoko Suzuki

細川にとってのエシカルの定義は、とてもシンプル。「正しいものを作って、正しく売る」という、本来のあり方に立ち返ることだ。

「つまり、仕事の基本。正しく作って、売って、買って、というスタンダードがエシカルなはずなんですよ。けれど、そこに関わる人の欲が強欲に変わった瞬間、アンチエシカルになる。より儲けを生むとか、より何かをしようとすると、バランスが崩れてどこかに歪みが生まれるんです」。

photo by Tomoko Suzuki

エシカルは、何か特別なことをするというよりも、ビジネスの基本的な考え方なのかもしれない。

「超大量生産」は
世界最高の「エシカル」だ!

photo by Tomoko Suzuki

ネガティブな印象の強い、大量生産という言葉。商品の値段を下げるだけ下げて、その裏には過酷な労働環境があるというイメージだ。しかし、Lee Japanは、“サステイナブル”な大量生産を行っているのだそうだ。

「私たちの方法は、大量生産するからこそ、生産性を上げてコストを圧縮するという方法です。安くは作るんですよ。けれど、生産性を限界値まであげることによって、売り上げは担保されるわけです。1日に1,000本しか作れないシステムよりも、2,000本を作るシステムにしたら、入ってくるお金は大きいわけですよね」。

一人の生産性を上げることで、企業も工場も多くの売り上げを得る。そうしたシステム作りが、結果として、作り手にも売り手にも買い手にも負担のないサイクルを創り出す可能性を秘めているのだ。

「不良」精神が
サステイナブルの鍵

photo by Tomoko Suzuki

「ワルとか不良って本来、優しさの上に立っているものなんですよ。仲間を守るとか。男の子は優しさに憧れてるんですよ。そこをくすぐるようなものとか、ブランディングじゃないと、男性はなかなか“かっこいい”と思わないですよね」。

作り手にも、売り手にも、買い手にも優しい商品。そんな商品には、外見的に“かっこいいもの”がなかなか存在しないのが現実だ。だからこそ、細川はその「不良精神」と「優しさ」の間に立つスタイルの提案を、Lee Japanのデニムを通して行っているのだ。

photo by Tomoko Suzuki

そして細川は、ことさらにこのような価値基準で生きることを目標にすべきではないと主張する。

「仕事をやっていく上でごく当たり前の感覚を大切にしていれば、結果としてそれがエシカルになる」。

細川が語るように、エシカルという言葉が当然になってこの社会からなくなったとき、本当にエシカルな世界が訪れるのかもしれない。

photo by Tomoko Suzuki

Top photo by Tomoko Suzuki
Licensed material used with permission by Be inspired!

関連記事リンク(外部サイト)

カンボジア「伝統の森」に水車を設置し、電力自給を目指したい
「僕らの仕事はアートではなくデザイン。相手に喜んでもらうことがすべて。」-岡安泉-(照明デザイナー)
マンハッタンを駆け抜けろ。世界最大のスケートボードレース(違法)!

カテゴリー : 生活・趣味 タグ :
TABI LABOの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP