ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

『あさが来た』 登場人物が魅力的だった理由を脚本家語る

DATE:
  • ガジェット通信を≫

 4月2日にいよいよ最終回を迎えるNHKの連続テレビ小説『あさが来た』。「日本の朝を明るくしたい」と始まったこの朝ドラはその言葉通り、日本の朝を元気にしてくれた。幼稚園に子供を送ったママ友は、新次郎派か五代様派かで盛り上がり、ツイッターでは放送終了直後から「あさ絵」が次々と投稿された。

 特に、「登場人物すべてに愛情がある脚本」だという評価が高い。そこで、脚本家の大森美香さん(44才)に話を聞くことができた。

・午前7時30分~(BSプレミアム)
・午前8時~(NHK総合)
・午後0時45分~(NHK総合)
・午後11時~(BSプレミアム)

 NHKの連続テレビ小説『あさが来た』は、月曜~土曜日の毎日4回、15分の放送だ。大森さんは、基本的に1日4回、少なくとも朝の2回は必ず見ているという。

「NHKから事前にDVDが送られてきますが、きれいな画質で見たいし、4才の娘や夫の反応を楽しみたくて、家族全員で視聴しています」

 午前8時45分には、長女を幼稚園に送り出すため、準備に追われながら見ることが多い。

「だから15分全部見られないこともあるんです。多くのお母さんも朝はお忙しいと思いますので、わかりやすくドラマを作るということは大事だなと思っています」

 大森さん自身も一視聴者として『あさが来た』を楽しみ、それをまた作品作りに生かしたという。史上最高傑作との呼び声高い朝ドラは、どのように生まれて、どのように終わるのか?

 大森さんに「なんでどの登場人物も魅力的なんですか?」と聞いてみた。

 * * *
 そう思っていただいて、ありがたいです。その理由は、ストーリーより先に人物設定を作っているからかもしれません。『あさが来た』では、まず、あささん(波瑠)をどんな人物にするか、モデルの広岡浅子さんをどう脚色しようか考えました。

 あささんは、興味のあることに自分からどんどん突き進んでいくタイプにしよう。すると、その夫の新次郎さん(玉木宏)には包容力が必要だな。新次郎さんは、包容力がある一方で、無責任かもしれない。すると、そのそばにいる大番頭さん(山内圭哉)は、しっかりした人がいいな…。

 このように人と人の関係性を考えて樹形図のように広げていったんです。また、どの登場人物にも自分の思いを乗せています。あささんには働く女性の気持ちを、はつさん(宮崎あおい)は、こう生きられたらいいなという自分の理想を、うめさん(友近)には自分の独身時代の気持ちを。男性キャラにも少しずつ乗せています。

 そうした人物設定中に、『この人はいつかこういうセリフを言いそうだな』と考えもします。

〈仕事を優先する母とそれを不安に思う娘。母娘の対立を描く後編のハイライト。119回で千代(小芝風花)があさに「ずっと甘えさしてくれへんかったのはお母ちゃんやんか!」と泣きながら叫ぶセリフは、千代の人物像を固めるときに考えついたという〉

 千代ちゃんは、親子だからこそ気持ちをぶつけられるという意味で、あささんのライバルになってほしかった。また、恋愛ではないですが、お互い片思いのような気持ちで、ふたりの関係性がそういうふうに見えていくといいなと、千代ちゃんが生まれたときに思ったんです。

 その人物設定のこだわりぶりは、あさや新次郎などの主要人物だけでない。すべての登場人物に共通する。例えば、あさの炭坑事業の前に立ち塞がり、鮮烈な印象を残したサトシ(長塚圭史)。彼にも深いこだわりを持っている。

 サトシさんが、正吉さん(近藤正臣)と対面した後に新次郎さんと2人で警察に出頭しに行くというシーンを書いたんですね。

〈新次郎:「(小声でサトシに)わてようそれ言われますけどな、あさよりええ女なんて思いもつきまへんのや」
サトシ:「はぁ、わからへん。破れ鍋に綴蓋というやつか。それよりついてこんかてええ言うてんのに」
新次郎:「ハハハ。よろしがな。三十年ぶりやで。この道でもよう遊んだなぁ」
サトシ:「そやな。竹馬やら貝独楽してなぁ」
 などと話しながら去っていくふたり。微笑んで見送っているあさ。〉

 そういう会話があれば、サトシさんの希望になるかなと思って書いたんです。オンエアでは残念ながらカットされていましたけど(苦笑)。

※女性セブン2016年4月14日号

【関連記事】
朝ドラ新ヒロイン波瑠 純白の衣装で伏し目がちな美しい笑顔
『あさが来た』衣装担当 登場人物のキャラを着物に反映させる
『あさが来た』脚本家 妾の話を書かなかった意図語る

NEWSポストセブンの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。