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大前研一氏がバカ高い相続税を批判 「若者へ資金移転を」

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「黒田バズーカ第3弾」と呼ばれた日本銀行のマイナス金利政策は、まったくの的はずれに終わりそうだ。大前研一氏は、「金融政策ではこの国の消費は喚起されない」と指摘する。では、どんな手段で消費を増やし、経済を立て直すことができるのか。

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 日本銀行の「マイナス金利政策」導入により、長期国債の利回りの低下、銀行の定期預金や住宅ローンの金利の引き下げなど、さまざまな影響が出ている。マイナス金利政策の目的は銀行の貸し出しを増やして企業の設備投資や賃上げ、個人消費を促すとともに、円安・株高にして日本経済を上向かせるということだった。

 しかし、それは不可能だ。実際、マイナス金利政策導入後は円高・株安が進行し、日銀にとっては大きな誤算となった。

 なぜ、マイナス金利政策を導入しても日本経済は上向かないのか? 理由は簡単だ。かねてから指摘しているように、日本が「低欲望社会」になっているからだ。

 では、なぜ日本は「低欲望社会」になったのか? 戦後は長く「貯蓄」が“国家戦略”だったからである。たとえば私たちの世代は小学校で、日本は戦争に負けて貧乏な国になったから国民が勤勉に働いて貯蓄に励まねばならない、と教えられた。国が貯蓄を奨励して銀行にお金を集め、それを産業界に低金利で貸し出し、加工貿易立国として経済成長を図ってきたのである。

 しかし、その一方で国民は「貯めたお金をどう使うか」「どのように人生を楽しむか」ということは教わっていない。だからバブル崩壊後のデフレ不況が20年続いても貯蓄が増え続け、個人金融資産は1990年の約1000兆円から現在は約1700兆円に膨らんでいる。

 不況の中で金融資産を700兆円、年間平均28兆円も増やすような国は、日本しかないだろう。そして、その大半は65歳以上の高齢者が持っている。最近は「老後破産」という言葉が話題になってますます消費者が財布の紐を締めているが、全体で見れば余裕がある高齢者のほうがはるかに多いのだ。

 日本経済を上向かせるためには、どうすればよいのか? 高齢者をはじめとする国民がお金を使う気になり、1700兆円の個人金融資産が市場に出てくる(消費に向かう)ように促さねばならない。

 その有効な方策の一つは、高齢者から若い世代に資金を移転することだ。しかし、日本ではそれが非常に難しい。相続税は税率が10~55%と高い上、基礎控除額が「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」でしかない。

 生前贈与の仕組みを利用しても、実際には父母や祖父母が亡くなったらその時点でもう一度精算しなければならず、将来どれくらい贈与税・相続税がかかるかわからないので、子供や孫は贈与されたお金を自由に使うことができないケースが多い。そういうセコい仕組みは撤廃して、高齢者から若い世代への資金移転を推し進め、贈与された若い世代がお金を自由に使えるようにすべきである。

※SAPIO2016年4月号

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