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マンション建替え[3] 建替え決議へ…「住民の意思統一」の道

マンション建替え[3] 「建替え決議」へ、住民の意思統一への道

1回目でもふれたが、私たちが選んだ建替え方法は全員一致での決議が必要な方法だ。一人でも反対が出れば建替え自体が頓挫してしまう。マンションの中には、年代も家族構成も経済状況も違う人が住んでいる。「建替え」という目標に向かうためには、それぞれが解決しなければいけない問題もさまざまだ。今回は、「建替え決議」に向けた住民の総意の取りまとめの仕方について説明したい。【連載】私の「マンション建替え」経験談

「マンションの老朽化」が話題になる昨今、マンションの建替えという問題が切実になってきている。どんな問題が起こり、どんな方法で解決していくか。具体的な例を知る機会は少ない。今回はマンション管理士の資格を取り、築50年の自宅マンションの建替えを経験した筆者が5回にわたってプロセスをお伝えします。

・第1回:マンション建替え[1] 仮住まいのはずが…建替え推進メンバーに

・第2回:マンション建替え[2] 「こんな住まいにしたい」の調整が大変

事業者による「個別面談」で住民の個別事情の把握が大切

マンションの建替えとなると、住民ごとにさまざまな事情があり戸惑いや不安が大きいもの。例えば、老朽化したマンションには高齢者が多いが、高齢となると住み慣れた環境を変えたくない人も多い。「今のままでも十分に暮らせるではないか」という理由で積極的ではない人もいる。また狭い住まいだっただけに、自分たちは外部に住み賃貸に出されている方もいる。建替え期間に賃料収入が入ってこないことの不安を持つ人もいる。新築時に購入したひとは住宅ローンを払い終えてる場合がほとんどだが、私のように中古住宅として購入した場合は、まだ住宅ローンが残っている。残債をどうするかという問題もあった。

ほかにも相続で1戸を子ども世帯と共有する人もいる。高齢な方が多いだけに、今後亡くなられた場合に相続の問題が起こって来ることは予想された。

そんな個々の問題を把握するため、パートナーである事業者に個別面談を複数回実施してもらった。住民同士では言いにくくても、事業者になら話せることもある。特に大きな問題になりそうな場合は委員会に報告をしてもらい、その解決にはみんなで知恵を絞った。

また相続関係には税理士、引越しについては不動産会社など、プロを事業者に紹介してもらった。特に高齢の方の引越しは、通常では困難なことが多い。「建替えの仮住まい」という事情を理解して貰ったうえで、住まいの相談ができる窓口があったことは心強かったと思う。

住宅ローンなどの抵当権が設定されている場合、「マンション建替え円滑化法」を活用すれば、建替え前の抵当権は、抵当権者の同意を得て、建替え後のマンションに権利変換することができる。しかし私たちが行う等価交換方式では一般的に、あらかじめ残債を返済し、抵当権を抹消しなければならない。

建替えの話が浮かびあがったときから、私は繰り上げ返済を心掛けた。最終的に一括返済をすることができたが、金融機関によっては返済方法を相談することも可能なようだ。仮住まいの家賃と住宅ローンの二重払いは負担が大きいが、返済に向けての努力は自分のためだけではなく、住民全員のためにも必要だ。

建替え後のイメージをつかむには最新のマンションやモデルルームを見学

なかには、その事業者で建設することに反対する人もいたり、現状でいいと思う人もいた。新しくできる建物に対して具体的なイメージが持てない不安もあっただろう。築50年近い建物に住んでいるだけに、最近の新築マンションのイメージが持てない人もいる。どんな設備を付けるかも実際に使っていなければ理解しづらい。仕事で毎週のように最新のモデルルームを見ている私にとっては、そのギャップは言葉で説明しても難しいと感じた。

実際の建物の姿を見ることで、新しい建物での住み心地をイメージすることもできる。事業者の協力のもと、当時近くで分譲中だったモデルルームを住民たちで見学しに行くことにした。モデルルームの定休日に公開してもらい、新しい設備や仕様を見ることで、建替えに対する実感はぐっと身近なものになったはずである。

この「実際の建物を見学に行く」という手法は、一見面倒であるが効果的だったと思う。例えば防犯システムを選ぶ際にも、机上の説明では理解しにくい。開放感たっぷりの団地に住んでいた私たちにとって、「セキュリティの必要性」を体感する機会がなかったからだ。しかし、都心部にある新しいマンションはセキュリティが重要視される。推進委員会で、事業者が分譲済みのマンションを見学に行き、防犯システムや管理センター、共用スペースなどを体感していくことで、自分たちに必要な設備や管理体制を確認していった。

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