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NTT東日本福島支店長、オールIP化の流れも「電話屋として、切り離す弱者は作れない」

NTT東日本福島支店長・澁谷直樹氏

 未曾有の大災害からの復興にITはどのように役立つのか? 将来起こり得る災害に対してITは何を準備しておくべきなのか? 「どのように復興し、どのように新しいITを設計すべきか」をテーマとしたシリーズ討論番組「IT復興円卓会議 ~第三回 通信・インフラ~」が、2011年9月27日夜、ニコニコ生放送にて中継された。放送前半にはゲストのNTT東日本福島支店長・澁谷直樹氏、ソフトバンク株式会社社長室室長・嶋聡氏による、東日本大震災時の通信の被災・復旧状況の説明から、今後の復興策についての議論がなされた。

 NTTをはじめとする固定電話網とIP(インターネット・プロトコル)の話題で、澁谷氏が「これから音声も含めて全部IP化して、通信インフラも光に変えていく。メタル等の投資は極力抑えながら、移行していくのが基本的な方向」と述べると、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の菊池尚人准教授は「変わりましたよね・・・15年前にNTTの方が『オールIP』と言うことは無かった」と、時代の変化を感じさせた。それを受けて澁谷氏は、情報をパケット化することによる効率化に言及し、ユーザーからは「本当だ・・・変わるなぁー」などのコメントが寄せられた。

 そしてゲストの一人、慶應義塾大学環境情報学部長の村井純教授は1990-91年の湾岸戦争の話を持ち出し、「湾岸戦争の時、最後までつながっていたのはIPだった」と述べ、当時の多国籍軍の指揮を執ったシュワルツコフ中央司令官が、「IPを輸出禁止にしろ」といったエピソードを紹介。そうしたインターネットのメカニズムは、一部の回線が断たれても通れる経路を探して必要なところに情報を届ける、という冗長的なシステムであることを説明した。そして現代の通信について触れ、

「例えばインターネットは、3Gのパケットでも、衛星でも、光でも、Wi-Fiでもつながるときに、自分は何だろう? どこの被災情報にアクセスできるとか、人にはメールを出せるとか、これがとても大事。そもそもインターネットは、いざというときに強い通信というところでデザインされている」

と指摘した。

 一方、NTTの澁谷氏は、生きた回線を選んで残していくつくりに関して、「電話屋として、切り離す弱者は作れない」と述べる。

「例えば、ここは駄目だとなっても、そこを何とかつなぐことを物理的に作ってあげないと。20戸個の住宅でも孤立させてはいけないというのがある。重要なところだけをサバイブ(生き残り)させればいいという割り切りはできない」

と主張。これに対し、元NTTドコモ執行役員で、慶應義塾大学政策・メディア研究科特別招聘教授の夏野剛氏が「っていうことは、NTTにインターネットは向いていないんじゃないか?」と冗談めかして突っ込む場面もあったが、オールIP化の流れの中で浮かび上がる問題点を感じさせた。

 これらの議論を受けて村井氏は、

「供給側の『この人たちをつなげなければ』という思いと、(需要・個人側の)『自分たちでつながる』という思いのどちらも大事で、プロのネットワークと、無線のアドホックなど個人のネットワークが組み合わさっていくのが理想」

とのコメントを残した。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]澁谷氏の「オールIP化」の話から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv64628534?po=news&ref=rews#54:15

(藤平昌寿)

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