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その辺の道脇を掘れば出てくるらしい、シエラレオネのダイヤについて

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Photo Credit:Masashi Amano「シエラレオネ東部のケネマで、ダイヤモンド採掘現場に行ってみた」

こんにちは、Compathy Magazineライターの天野です。
西アフリカの小国、シエラレオネ。僕がなぜこの馴染みの薄い国に興味を持ったのかというと、『ブラッドダイヤモンド』という映画を観たからでした。

この映画の舞台がシエラレオネで、ほんの15、6年前まで起こっていた内戦のお話です。そして、紛争の資金源となっていたダイヤモンドがテーマとなっています。主演は最近アカデミー賞を取ったレオナルド・ディカプリオ。個人的に好きな映画の一つです。

映画の中で、反政府ゲリラが捕虜に、川の泥をザルで濯がせて大粒のダイヤを見つけるシーンがあります。それを見て僕は疑問に思っていました。ダイヤといえば高級品。「そんな簡単なやり方で見つかるのか?」と。

そういった理由もあって、僕は西アフリカの旅の中でシエラレオネを通過する際に、見られるものならダイヤの採集現場を見てみたいと思っていたのです。念のため言っておきますが、別にダイヤに魅せられたわけでも、一攫千金を夢見たわけでもありません。単なる強い好奇心から、そう思ったのです。

ダイヤモンドの街、ケネマ

シエラレオネの首都、フリータウンを出てリベリアに向かう中継地点となる東部の街、ケネマ。ここは近郊で採れるダイヤで栄えている街です。

photo Credit:Masashi Amano「シエラレオネ東部のケネマで、ダイヤモンド採掘現場に行ってみた」

フリータウンから乗り合いタクシーでケネマに到着すると、そこにはたくさんのダイヤモンドオフィスが! 見つかったダイヤをここで買い取っているようです。ちなみに店主は、中東系とインド系が多い印象でした。街自体に活気があり、一攫千金を夢見る有象無象が集まっているという感じで、非常に面白い雰囲気。

ダイヤモンド商の一人から、採集現場は街から15〜20キロほどのところにあると聞いた僕は、バイクタクシーを雇って行くことにしました。ドライバーが集まるところに行き、行き先の希望を伝えると、「なんのために行く? 調査か?」と言って、みんなドッと笑います。彼らの目には、僕はダイヤに目が眩んだ怪しいアジア人と映ったのかもしれません。その中でムハンマドというムスリムの若者のバイクにまたがり、出発しました。

Photo Credit:Masashi Amano「シエラレオネ東部のケネマで、ダイヤモンド採掘現場に行ってみた」

ダイヤモンドの現場へ

ムハンマドが最初に連れて行ってくれたのは、草をかき分けた先にあった川。ここでは映画で見たように、川底の泥を濯いでダイヤを探す場所のようでしたが、誰も人がいませんでした。

「今日は休日なんだ」と、ムハンマド。

人が採集している姿を撮りたいと伝えると、ムハンマドは別の場所に僕を連れていきました。着いた先は、道路のすぐ脇にいくつもの大きな穴があるような場所でした。ここでは穴を掘ってダイヤを探しています。休日なので少ないですが、人足の姿も見られます。それにしてもこんな道のすぐ脇の、簡単に行ける場所でダイヤが見つかるとは…。ダイヤって、この国では石ころに毛が生えた程度のものなのかもしれません。

写真を撮るには許可が必要なので、責任者の初老の男に話をしました。しかし、「調査に来たのか?」と警戒され、答えはNO。結局、ここでは撮影することはできませんでした。

Photo Credit:Masashi Amano「シエラレオネ東部のケネマで、ダイヤモンド採掘現場に行ってみた」

ついに採掘現場の撮影に成功

次に向かったのは、「ここはプライベートな採掘場だから大丈夫」とムハンマドがい言った場所でした。「プライベート」というのは、どういう意味かわかりませんが…。

そこには何人かの人足がいて、休憩中のようでしたが、現場監督に話をすると、飲み物代程度払えば作業の様子をデモンストレーションしてやるという話にまとまりました。

さっそくデモンストレーションが始まりました。みんな陽気に、土を掘っては運んでいます。

Photo Credit:Masashi Amano「シエラレオネ東部のケネマで、ダイヤモンド採掘現場に行ってみた」

最後にみんなで記念写真。明るく楽しい人たちでした。僕も目的を達できて大満足です。

その後、バイクの修理代やガソリン代を払ったり、ムハンマドに適度に金ヅルとして利用されながら、僕は彼の村に案内されました。

Photo Credit:Masashi Amano「シエラレオネ東部のケネマで、ダイヤモンド採掘現場に行ってみた」

村での歓迎と警戒心

そこで猛烈な歓迎を受けます。一度に何人もから質問を受けたり、カメラを向けると老若男女問わずキャーキャー言いながら大騒ぎ。アフリカの人たちは本当に楽しい人ばかりです。

するとさっきからニコリともしなかった、村の長老らしき男性が、僕に「お前は何のために来た? ダイヤの調査か?」と言いました。
そう言われた僕は「僕はツーリストで、ダイヤ自体に興味はありません。ただ知りたくてきたのです」と回答。

すると長老は皆にも、僕にもわかるように英語で話し始めたのです。

「この男はツーリストだと言っているが、本当は調査できているのかもしれない。この国で内戦があったことは皆も覚えているだろう。ダイヤはこの国のものだ。彼のようなよそ者に気安く見せるものではないのだ」

皆神妙に聞いています。彼はムハンマドが僕を案内したことを咎めているのでした。

気まずい空気になり、僕はムハンマドを急かして街に戻ることに。戻る途中で彼は僕に「ごめんね」と言ってきたので、それに対して僕は「いや、いいんだ。彼の言っていることは正しいんだから」と答えました。

Photo Credit:MasashiAmano「シエラレオネ東部のケネマで、ダイヤモンド採掘現場に行ってみた」

資源が生む不幸について

これでこの話は終わりですが、思い返すと今でも複雑な気持ちになります。ただ、「シエラレオネでダイヤは簡単に見つかるのか」という最初の疑問に立ち返るならば、答えはイエスです。

ここではダイヤはさほど珍しいものではありません。それに目をつける人さえ現れなければ、現地人にとって、もともと石ころのような価値しかなかったような気がします。しかし、ダイヤが持っている価値に目をつけた人々によって争いが起き、翻弄され、現地人が僕をあれだけ警戒したのは、彼らがいかに苦渋を飲んできたかを表している気がしてなりません。

資源があれば争いが起き、そこから生まれる富は現地人に還元されるわけではなく、それどころか、逆に搾取されて苦しむだけ。よく、そういうニュースの解説を目にしますが、その実例を僕は目にしたのかもしれません。

そしてこうしたことのいかに世界に多く起こっていることか。実際に現場を見た僕は、なおのことそれを思わずにいられません。

ライター:Masashi Amano
Photo by:Masashi Amano「シエラレオネ東部のケネマで、ダイヤモンド採掘現場に行ってみた」

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