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第52回 所内生活の心得(その1)

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 面白い規則集について書いてきたが、「所内生活の心得」も、なかなか面白い内容を含んでいる。今回から何回に分けてこれを見ていこうと思う。

 「所内生活の心得(未決収容者用)」と題する規則集は全68頁にも及ぶもので、大きく「はじめに」「所内生活用語の説明」「所内生活の心得」「別図及び別表」に分かれ、メインの「所内生活の心得」は、「第1. 裁判について」「第2. 毎日の生活について」「第3. 賞罰」「第4. 面接・情願」「第5. その他」で構成されている。内容は多岐にわたるので、興味を引いたところのみをピックアップして紹介する(すべて正確に書き写してきたが)。

 「はじめに」という大項目の部分には、簡単にいえば「規律を守った所内生活をしましょうね」、なんていうことが書かれている。気になる記述が一つ。「皆さんの所内生活は、社会における個人の生活とは異なり、集団生活の秩序維持に必要と認められる限度において制約されることになりますが、このことをよく理解して生活してください。」とある。

 宮崎拘置所には暖房設備がない(もちろん我々の居室内や廊下)。温暖な宮崎にあっても山の中を切り開いた所にあるせいか冬の寒さは厳しく朝晩は氷点下となる。
 しかも建物が古く窓枠などは歪んでいて、そこから入る隙間風がすごい。寒いなんてものではなく半端ではない。外にいるのとまったく同じで、居室内で吐く息は真っ白である。手紙を書こうとしても寒さで手が震えなかなか書くのが困難な状態なのだ。
 その寒さの中、原則として一日中座って過ごすのである。寒い、足腰が痛いとの二重苦の生活である。
 悪いことをしたのだから当たり前だと思わないでもらいたい。我々は裁判確定を控えた未決囚なのだから法律上は無罪と推定されているのである。
 加えて、防寒は最低限保障されるべき生活環境であると考える。

 古来から、人々は焚火などで暖をとってきたのである。冷暖房などという欲は言わないが、少なくとも拘置所においては、最低限暖房は入れるべきではないかというのが、私の考えである。

 未決囚は罪証隠滅防止と公判廷出頭確保(逃亡防止)という目的のために身柄拘束をされているのであり、懲罰的に拘束されているわけではない。規則にいう「集団生活の秩序維持」もまた必要であろう。
 しかし、まったく暖房がなく一日中座っている、しかもそれが幾日も続くという生活が、果たして罪証隠滅防止等の、また集団生活の秩序維持の目的の下で認められる必要限度の制約であろうか。そうとは到底考えることができない。私自身も拘置所での実態を初めて知ったが、改善されるべきであると考えている。

 火災防止や予算の問題も多分にあるのだとは思うが、果たしてそれだけだろうか。
 やはり、根底には、未決であってもほとんど犯罪者であると思われており、社会のコンセンサスが得られないのではないかと思う。

 旭川刑務所で、洋式ベッドに改善し、すべてを単独室にするとの話に、犯罪被害者から猛反対の声があがっているそうだ。別段快適な生活ではないのに、猛反対するほどのことかと思う。
 事は刑務所であるが、拘置所に入っている者に対しても、世間は同じように考えているのではないだろうか。世間は、犯罪者と決めつけるような書き方をするマスコミを信じ、検察の能力を過大に評価していると思う。
 たまに、マスコミの垂れ流し記事が問題になり、検察官のやり方が問題になったとしても、日本国民は、それをすぐに忘れ去っているように思えて仕方がない。

 かなり、話が脱線したが、次回から「所内生活の心得」の具体的内容を見ていくことにする。(つづく)

元記事

第52回 所内生活の心得(その1)

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