マイナス金利時代の住宅ローン[2] 意外と違う“諸費用”と“引き下げ幅”

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マイナス金利時代の住宅ローン[2]意外と違う“諸費用”と“引き下げ幅”

日銀が打ち出したマイナス金利政策の影響で、銀行による金利引き下げ競争が盛り上がっている。これから住宅ローンを借りるなら、少しでも金利の低いところがいいと誰もが思うだろう。だが、わずかな金利の差ばかりに目を奪われていると、実はソンすることにもなりかねないのだ。

「35年固定型」の場合:金利は1.25%のフラット35が最も低い

住宅ローンの返済負担に大きく影響するのは金利だが、金利以外に融資手数料(以下、手数料)やローン保証料(以下、保証料)、団体信用生命保険料(以下、団信保険料)などの諸費用がかかる。手数料は金融機関または保証会社に支払う事務手数料、保証料は返済が滞った場合に備えて保証会社に支払う費用、団信保険料は借りた人が万が一死亡した場合に遺族に借金が残らないように掛ける生命保険料だ。 前回の記事でローンの種類による諸費用の違いについて触れたが、金利タイプが同じでも金融機関によって諸費用に大きな違いがある。

違いが最も大きく表れるのが、フラット35などの35年固定型だ。例えば主要銀行の3月の35年固定型を金利の低い順に並べてみると、三井住友信託銀行など3行のフラット35が1.25%で最も低い。トップと11位とでは、3000万円借りた場合の毎月返済額で1万円近く、総返済額では400万円以上の差だ。【図1】35年固定型の金利ランキング(2016年3月現在)(オイコス調べ)

【図1】35年固定型の金利ランキング(2016年3月現在)(オイコス調べ)

総支払額では1.4%台の2行が逆転する

では、諸費用を含めた場合はどうか。フラット35には金利の低いタイプとやや高いタイプがあり、金利の低いタイプを選ぶと手数料が借入額に数%をかけた定率で数十万円だ。また保証料はかからないが、団信保険料が借入額1000万円当たり68万円強かかる(35年返済の場合)。

これに対し都市銀行のローンは保証料が61万円強かかるが、手数料が3万2400円と低く、団信保険料は金利に含まれる。さらにネット銀行などは保証料が無料のケースが一般的だ。その代わり、ネット銀行は手数料が数十万円と高めな場合が多い。

これらの諸費用を総返済額に加え、トータルの総支払額で比べたランキングが図表2だ。金利が最も低いフラット35は3位以下となり、1.4%台の住信SBIネット銀行と三菱東京UFJ銀行が1位と2位に浮上する。またりそな銀行のフラット35は手数料が高めなので、適用金利が1.6%台のソニー銀行のほうがトータルの負担は軽い。【図2】諸費用を含めた35年固定型の総支払額ランキング(2016年3月現在)(オイコス調べ)

【図2】諸費用を含めた35年固定型の総支払額ランキング(2016年3月現在)(オイコス調べ)

「変動型」の場合:金利と総支払額の順位がほぼ連動

同様のことは他の金利タイプにも当てはまる。例えば変動型は引き下げ後の適用金利が0.6%前後で熾烈な金利競争が続いているが、フラット35と異なり通常はどこの銀行も団信保険料がかからない。返済額以外にかかる諸費用は手数料と保証料で、そのどちらかが高くどちらかが低いかゼロ円だ。借入額3000万円で35年返済の場合、手数料と保証料の合計額は65万円前後でほぼ横並びなので、総支払額のランキングが金利のランキングとほぼ連動する。

だが、例外もある。変動型の引き下げ幅は多くの銀行が全期間一律だが、当初期間だけ引き下げ幅を大きくし、その後は縮小されるタイプもある。新生銀行は当初の引き下げ幅が1.0%で、その後の引き下げ幅は0.65%だ。3月の当初適用金利は0.6%で都市銀行よりも低いが、最短で半年後から0.95%にアップする。そのため手数料は10万8000円と低いものの、総支払額では都市銀行より多くなる。【図3】諸費用を含めた変動型の総支払額ランキング(2016年3月現在)(オイコス調べ)

【図3】諸費用を含めた変動型の総支払額ランキング(2016年3月現在)(オイコス調べ)

「10年固定型」の場合: 11年目からの金利引き下げ幅に注目

10年固定型は少し複雑だ。多くの銀行が当初10年間の金利引き下げ幅を大きくし、11年目から縮小するタイプを採用しており、引き下げ幅が銀行によりマチマチなのだ。例えば三井住友信託銀行は当初引き下げ幅が2.3%と大きく、当初適用金利は0.5%と最も低い。だが11年目以降の引き下げ幅は1.4%に縮小され、店頭金利が今と変わらなければ適用金利は1.4%にアップする。

一方、みずほ銀行は当初の適用金利が他の都市銀行と同じ0.8%だが、店頭金利が低めなので引き下げ幅は他行より小さい。ただし引き下げ幅が全期間変わらないので、11年目からの引き下げ幅は最も大きく、適用金利は最も低くなる。【図4】10年固定型の金利ランキング(2016年3月現在)(オイコス調べ)

【図4】10年固定型の金利ランキング(2016年3月現在)(オイコス調べ)

諸費用を含めた総支払額を比べると、全期間の引き下げ幅が変わらないみずほ銀行が総返済額で最も低くなり、総支払額も最も低い。同じく全期間の引き下げ幅が変わらないソニー銀行が2位だ。当初の適用金利が最も低い三井住友信託銀行は3位に甘んじている。【図5】諸費用を含めた10年固定型の総支払額ランキング(2016年3月現在)(オイコス調べ)

【図5】諸費用を含めた10年固定型の総支払額ランキング(2016年3月現在)(オイコス調べ)

このように住宅ローンを選ぶ際は当初の金利の高低だけでなく、諸費用も含めたトータルの支払い額で比べると、よりオトクなローンを見つけることができるだろう。
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