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大前氏「人生を楽しむことを国ぐるみで教える必要ある」

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「黒田バズーカ第3弾」と呼ばれた日本銀行のマイナス金利政策は、まったくの的はずれに終わりそうだ。大前研一氏は、「金融政策ではこの国の消費は喚起されない」と指摘する。では、どんな手段で消費を増やし、経済を立て直すことができるのか。

 * * *
 重要なのは、もっと日本の中で「人生とはそもそも何なのか」という議論をすることだ。なぜなら、世界中を見渡しても、お金をせっせと貯め込んで使わない国民は、日本人しかいないからである。

 たとえば、リタイアしたアメリカ人は何をしているか? 釣りが好きな人たちは仲間とクラブを作り、オーストラリアでのマーリンフィッシング(カジキ釣り)など世界中に出かけている。

 あるいは、メキシコ西部のバハ・カリフォルニア半島に囲まれたコルテス海という場所に行くと、ロサンゼルスやサンフランシスコから1500kmも南下してやってきたアメリカ人の船ばかりだ。ヨーロッパの地中海やエーゲ海には、ノルウェー、スウェーデン、ドイツ、イギリスなどからジブラルタル海峡を越えてきたクルーザーやヨットがあふれている。

 これらは決して「資産家の遊び」ではない。ごく普通の中流階級の人でも、趣味を高めていけばそうなるのだ。

 しかし、日本人はそういう優雅な遊び方をしない(できない)。したがって「人生とはそもそも何なのか」「働いてお金を貯めるだけでいいのか」という議論を通じてしか、日本人の行動は変わらないと思っている。

 その中で「人生を楽しむ」ことを国ぐるみで教えることも必要だろう。たとえば、カルチャーセンターのようなところで50歳以上の人たちを対象に、自分なりの人生の楽しみ方について具体的に手ほどきする講座を開くのである。

 さらに政治が国民に対して「みなさん、お金を使って人生をエンジョイしてください」「悔いのないよう、やりたいことを全部やってください」「万一の時は、国がセーフティネットを用意しているので安心してください」というメッセージを流す。

 日本人はかつて「貯めろ」と教えられてその通りにしたように、(皮肉を込めて言えば)“教育”すれば実行できる人たちだ。「お金を使い人生を楽しむ」という教育をすれば意外と簡単に変わり、欲望が出てきて消費に向かうと思う。

 こうした議論に対する反発の多くは「それでも、いざという時はどうするんだ?」というものだ。つまり、国が信用されていないのである。だから大前提は、いざという時には国がとことん面倒を見ます、と保証することだ。

 そのようにして1700兆円の個人金融資産が消費に向かうようにすることが、日本の経済政策の根本である。言い換えれば、20世紀型の金利やマネタリーベースをいじるマクロ経済政策ではなく「心理経済学」こそが、いま求められている成長戦略の要なのである。

※SAPIO2016年4月号

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