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古民家リノベ[7] 住んで実感、鎌倉古民家の成功と失敗

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古民家との出会いからリノベーション完成までを時系列に沿って紹介してきたが、最終回は実際に住んでみての気付きと振り返りを。元編集長でも、想定以上の出来もあれば大失敗もあり、本音ベースで採点するなら95点。これからリノベーションする人、鎌倉に住みたい人、古民家に興味がある人へのアドバイスや今後の抱負も含め、ランキング形式で振り返ってみよう。●連載「元編集長の鎌倉古民家リノベ移住」

10誌以上の住宅情報誌の編集長を経験してきた筆者が、都内マンション暮らしから鎌倉の築90年古民家への移住を決意。物件との出会い、リノベーションのパートナー探し、プランの検討、コストダウン方法など実体験に基づくノウハウや失敗談を含めた本音を7回連載でお伝えします。

古民家リノベーションならではを実現、新しくても懐かしい大空間

●わが家の見どころベスト5

第1位:古い梁のある開放的なLDK

第2位:職人技が光る建具や空間

第3位:古民家情緒あふれる玄関

第4位:収納力たっぷりの小屋裏収納

第5位:引き戸で一体化できる大空間

まずは前回までに紹介してきた、リノベならではのお気に入り空間から。語り始めるときりがないけれど、平凡な小さな平屋が小屋裏まで使うことで縦に広がり、プラスアルファの空間が生まれたところがリノベーションの一番の効果。更に職人さんたちの工夫によって、今まで隠れていた90年間家を支えてきた柱や梁が顔を出し、古い建具がよみがえり、一体化してわが家ならではのインテリアとなったのもうれしい。

【画像1】左:小屋裏収納の換気用小窓から見下ろしたリビング。梁の存在感が際立つダイナミックな空間に。中:築200年超の家にあった一枚板の建具を加工してリビング収納の扉に。風合いを生かし現代によみがえらせる建具屋さんの力作。右:小屋裏収納入口の小さな引き戸は、リビング収納にも使った一枚板戸。手すりは実際小屋裏にあった梁を利用(写真撮影/片山貴博)

さらに、それぞれのお気に入り空間を引き戸によってつなぐことで、ダイナミックな大空間をつくることができた。冬は閉じて暖房効率よく、冷暖房不要な季節や大人数の来客のときは、開け放って広々と。用途に応じてフレキシブルに使えるイメージ通りの「宴会仕様の家」が実現できたのは、家全体を俯瞰して工事するリノベーションならでは。季節やシーンに応じた空間の使い分けが楽しみだ。

【画像2】左:引き戸を全て閉じた状態の14畳のLDK。廊下に繋がる引き戸の上部は透明なガラスを組み込み、光は通しながら空気は逃がさず、暖冷房効率良く。右:引き戸を開けた状態。廊下、和室、庭や縁側と一体化した大空間が広がる(写真撮影/片山貴博)

恥を忍んで告白、情報収集と想像力不足による後悔と反省

●後悔と反省ランキングワースト5

第1位:お金に関わる自治体制度見落とし

第2位:自然のパワーを甘く見ていた

第3位:お風呂の窓、見えちゃうかも疑惑

第4位:小窓でも複層にしておくべき

第5位:スイッチ位置が使いにくい

細かな反省はいろいろある。自然のパワーを甘く見ていて、工事前にわが家に足を踏み入れることができないほど雑草が生い茂ってしまったり、虫の多さに驚いたり。リノベ計画時は夏だったが、入居した冬は陽が入らず想像より暗かったことも、季節の変化要因の見落としによるもの。

また、窓の大切さも痛感。古いサッシを利用する際も、ガラスだけは複層にするくらい気をつかったつもりだが、小さな窓はつい大丈夫かなとそのままにした。結局その小窓も音や冷気が気になるので、一緒に工事すればよかったと後悔。さらに困ったのはお風呂の出窓。擦りガラスだから外からは見えないだろうと気軽に設けたが、実際入浴してみると気になり、電気を付けないで入浴できる朝がバスタイムになった。

【画像3】初めて見たときこざっぱりした庭だったので、これなら私の手に負えると思ったのが大間違い。みるみる雑草が生い茂り、あっという間に足の踏み場もなくなり、苦手な虫も大量発生して愕然(写真撮影/長井純子)

ほとんどがしょうがないな、後から工夫すればなんとかなる、と思うものなのだが、一番反省しているのはお金に関わる自治体制度の見落とし。国や自治体の補助金制度は、年度や地域、物件や詳細条件などの個別要件によって多種多様で、また変更も多いので大変分かりにくい。補助金をもらうのが本来の目的ではなく、やりたいリノベを追求して、更に補助金がもらえる結果になればラッキーと思ってはいた。

結果、省エネ住宅ポイントは計画通り満額45万円利用できてホッとした。が、鎌倉市で耐震改修75万円という高額な補助制度があったことが後で発覚。耐震改修は自治体によって制度の内容も額も条件も異なるが、75万円という高額補助はさすが古い物を大切にする鎌倉ならでは。工事前からの手続きが必要で既に利用できなかったが、話を聞くと築90年のわが家は対象となる可能性大。ちょうど10万のコストダウンのために四苦八苦しているタイミングだったので、これがあれば床暖房を諦めずに済んだ、などしばらく落ち込んだ。

とはいえ「損した」という話ではなく、「トクをし損ねた」ということで、家に問題はないのが救い。お金に関わる制度で、更なる見落としがないようにしようと調べ直し、耐震改修時の固定資産税の優遇措置を見つけ出した。せめてこれは申請しようと書類を準備し役所に行ったところ、古民家なので既に建物の固定資産税は発生していないことが判明。トクするつもりが、無駄骨となり、つくづくお金に関わる制度の複雑さを思い知った。元編集長として恥ずかしいが、本当に分かりにくい。勉強になりました。

住んだからこそ分かった、素顔の鎌倉は期待以上の魅力

●鎌倉新発見ランキング

第1位:海だけでなく山も近く、自然満喫

第2位:つくり手の顔が見える買い物

第3位:ゴミ出しを通じてエコに目覚める

第4位:友人やご近所との素敵な距離感

第5位:閑静なイメージに反し便利でにぎやか

ずっと憧れていた、鎌倉の街の魅力を少し。海好きなので、海が近いことは認識していたけれど、山も近く、ちょっと歩けば富士山と海を望む素晴らしい見晴らし。季節ごとの庭の手入れや日差しの変化を通じて、自然がとても身近になった。さらに野菜は直売所、肉や魚は個人商店、手づくりグッズの店など生産者の顔が見える(近い)店が実に多く、買い物が楽しい。品ぞろえこそ都内のスーパーにはかなわないかもしれないが、ここにしかない特別なお気に入りを沢山発見した。

友人やご近所などの「人」との距離感も心地いい。引越ししたことで会う機会の少なくなった友人もいるが、距離に関係なく親しい友人、鎌倉だからこそ親しくなれた友人が今の宝だ。初めての一戸建て暮らしで懸念していたご近所付き合いも、素敵な方々で快適。工事前、まだ住んでないタイミングで暴風雨により家の門が倒れたとき、複数のご近所の方が知らせてくれて感激した。さりげない気配りが温かく心地いいので、私もお返しできるきちんとした暮らし方をしたい。

大変なのは、やはり自然。虫や雑草の元気さは鎌倉名物らしいので、腹をくくってうまく付き合う術をこれから学ばねば。更にゴミの分別も細かく、落ち葉などの剪定ゴミは週一回無料なのに、酒瓶の王冠といった金属類などの燃えないゴミは有料袋に入れなければならず、かつ月一回。地域ならではのゴミ分別ルールを覚えて慣れるまでが大変だったが、定期的に庭掃除をするようになり、エコ意識が芽生えた。また、鎌倉と言えば閑静なイメージだったが、場所にもよるが私の家は想像以上に静かじゃない。周辺の生活音、電車や車の音、ヘリコプター……。そんな中、朝夕6時にお寺の鐘の音も混じりにぎやか。おかげで淋しいとか怖いと思ったことはない。

憧れの街の自分らしい空間。快適すぎて、やりたいこと無限大

最後にオマケでこれからの抱負や関心事を。庭を含むDIY、地元素材を使った料理、歴史の勉強、街歩き、SUP(スタンドアップパドルボード)…… これからやりたいことは無限大∞。お気に入りの街で、自分らしい空間で過ごすのは、日々発見の連続で刺激的。自然・街・家・人からパワーをもらい、気になることが多すぎて、時間のやり繰りが大変なほどだ。

新しいのに懐かしい、リノベ古民家に住んでみて、最後に言いたいこと。好きな街に住むって素敵!リノベーションって楽しい!!もちろんリノベーションは手間も、時間も、お金もかかる。しかし、その先にはオンリーワンの自分仕様の快適空間が待っている。3軒のリノベーションを実体験したことでますますその醍醐味にはまり、友人たちの家探し&リノベーション相談が楽しみで仕方ない。鎌倉に住みたい方、住まいにこだわりのある方、応援します!!!
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/03/108294_main.jpg
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