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時速1200キロの乗り物が実現!?未来が覗ける「パイオニアーズ・アジア」レポート

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欧州で最大規模のスタートアップイベント、パイオニアーズがアジア初上陸。昨年末にファイナンシャル・タイムズをグループに迎え入れたばかりの日本経済新聞社と共同主催で3月23日、「パイオニアーズ・アジア」が八芳園(東京都目黒区)で開催された。


ヨーロッパとアジアの懸け橋に

主催者側の発表によると、同イベントによるスタートアップのエントリーは70カ国、900社に到達。パイオニアーズ代表のアンドレアス・チャス氏は昨年の同日に初めて日本を訪れ、「その美しさに恋に落ちた」と語った。その反面、日本はスタートアップが急成長できるほどの活発なエコシステムが築けておらず、ヨーロッパのノウハウを提供するためにもパイオニアーズの日本での開催を熱望していたという。

「起業家精神とエコシステムの繁栄に最も重要なのは、ほかの国々との連携です。私たちはヨーロッパのエコシステムを提供することによって、アジアとの懸け橋になりたいと思っています。パイオニアーズ・アジアが最も重視しているのはコラボレーション。コラボレーションにより、イノベーション・ニーズを特定し、よいパートナーを見つけ、すばらしいアイデアやビジネスモデルを未来へとつなぐことができます。我々の専門チームがそれを手助けできることをうれしく思っています」

パイオニアーズは、著名人の講演を聞くことができる「アリーナステージ」と、ビジネスについて実践的な知識を学ぶことができる「アカデミーステージ」に大きく分かれている。ショールーム展示場ではさまざまなスタートアップの商品に触れることができ、参加者同士の出会いの場としてネットワーキングエリアが設けられていた。


時速1200キロで走る「未来の交通機関」

数ある講演の中でも注目を集めていたのが、米カリフォルニアの実業家、イーロン・マスク氏が開発する「未来の交通機関」だ。鉄道や飛行機に代わる次世代型の移動手段として、真空のコンコードを時速1200キロで走るカプセル型の乗り物「ハイパー・ループ」について、マスク氏の右腕であるダーク・アルボーン氏が登壇した。

真空であれば、空気抵抗がないため、3秒に1キロの移動を可能とする。かつ太陽や風、地熱のエネルギーを使用するため環境に優しく、オペレーションコストを下げられることから飛行機よりも安く乗れる。21世紀型のモデルタウンとして知られるクレイバレーにおけるテストコースの建設も決定し、早ければ2018年に米国で、2020年には欧州で旅客輸送が実現される。

「ハイパー・ループは、交通渋滞を解消し、移動時間を大幅に短縮することができるので、人々の生活を大きく変えることになるでしょう。都市部にこだわることなく、郊外の美しい場所で暮らすことが可能となりますし、これまで移動に費やしていた時間を、家族や大切な人たちとの時間に注ぐことができます。コンピュータによる徹底管理で、ヒューマンエラーによる事故も防ぐことができます」

ロボットに囲まれる未来社会

ロボテックスに関する座談会、「ロボットに囲まれる未来社会」では掃除や宅配などをひとに代わって行うサービスロボットが話題の中心となった。

HAXのシリル・エバーズワイラー氏は、秋葉原の10倍の規模を誇る中国の深センにおける生産システムが同社の急成長を支えていると指摘。高い技術と豊富な人材により、ほかでは1カ月以上かかってしまうようなロボットでも、深センでは1週間で出荷可能。こうしたロボットの活躍の場は、サービス、エンタメ、パーソナル、教育、ツールと分かれるが、現在最も注目を集めているのがサービスロボットである。自立して動く掃除ロボットや宅配ロボットなどがすでに実用化。人間がやると30時間かかる価格情報や在庫切れを店頭で調べる仕事が、棚をスキャンし、記録するロボットだとわずか30分で済ませることができる。

かつてペッパーの開発に携わっていたグルーブXの林要氏は、人類の「言葉を話さないロボットへの憧れ」について語った。未来のロボットに何を望むかを高齢者に質問した際、「温かい手を握りたい」という声が返ってきた。また、外国でペッパーとのプライベート空間を設けると、ハグをしてみたり、キスをしてみたりする人たちが少なくなかった。つまるところ、ペットと同じようなコミュニケーションをロボットと図りたがる人が多いのだ。そういったリサーチ結果を踏まえて、現在は人を癒すロボットの開発を試みている。

「私たちはもともと寂しい生物。古代から生き残りのために集落を形成し、寂しさを癒していました。ゆえに核家族社会となった現在は、常に寂しさを感じています。だからこそフェイスブックやゲーム、ペットに依存するのです。これらが生き残りのために必要かといえば、そうではないかもしれません。けれど、もし子どもが手を離れたときや、おじいさん、おばあさんが亡くなったときに、寂しさを癒す手段としてのロボットが家庭にいたら、よいと思いませんか」

サビオックのスティーブ・カズンス氏は、すでにさまざまなホテルで実用化されている宅配ロボット「リレイ」を紹介。宅配ロボットの条件として、「ひとにぶつかってはいけない」、「行方不明になってはいけない」、「スムーズに動かないといけない」などがある。そのため、宅配ロボットは、自動でマップを作り、センサーでナビゲーションさせながら、動いている。

映画「スター・ウォーズ」の影響は強く、こうしたロボットが建物内を動いていても、人々は総じて驚くことはないという。ロボットがルームサービスを行う利点は、夜中の2時に気兼ねなく「アイスクリームが食べたい」とおつかいを頼めたり、部屋着やお化粧をしていなくても気兼ねなく呼べることだ。こうしたロボットは子どもたちにも人気で、ホテル再訪のきっかけになると話す。

洗濯物を畳めるマシーンなど日本の展示ブースも大盛況

展示ブースには、国内外のさまざまな製品が展示されており、試用することが可能だ。下段の引き出しに入れるだけで洗濯物を畳むことができる「laundroid」、指紋認証により、外出時にカードもお財布も持ち歩く必要がなくなることを想定し開発された「Liquid Pay」など、独創的な展示が目立った。

こうしたブースに加え、ソフトドリンクのみならず、ウィスキーやワイン、朝食や昼食を取りそろえたネットワーキングスペースを設けているのは、起業家同士や、起業家と投資家の出会いのみならず、有能なスタートアップを探している大企業とのマッチングも狙いとしているからだ。

開催中は専用のアプリを使い、スケジュール確認や質疑応答、気になる参加者のレジュメを読み、ネットワーキングエリアでミーティングのアポイントを取ることまで可能となっている。開催当日は天気がよく、美しい日本庭園を楽しみながら、屋外でそれぞれの会社や活動を説明しあう参加者の姿が多く見られた。


取材・文・写真 山葵夕子

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