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「移住しやすい町」にある、ふたつの共通点とは?

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政府が提唱する「地方創生」に伴って、最近目にする機会が増えた「移住」というキーワード。なんとなく気になっていたり、意識している方もいるかもしれません。

筆者(編集K)も昨年、移住を決意したひとり。 “移住先進地域”と呼ばれる徳島県の町に行く機会があり、そこで気付いたのは「移住しやすい町」と「そうでない町」があるということ。では、どんな町が「移住しやすい町」なのか。筆者が現地へ行って取材したなかでの「気付き」を具体的に紹介したいと思います。

インターンや起業塾など、移住しやすい「プレ移住」的な仕組みがある

今回伺ったのは”葉っぱビジネス”と呼ばれる「いろどり」で有名な上勝町と、先日消費者庁がテレワークの試験業務を実施した”サテライトオフィスの聖地”と呼ばれる神山町。どちらも自然豊かな山あいのなかにありながらビジネス的に成功をしている町ですが、移住者も他の地域と比べて多いとのこと。どうしてビジネスで成功している町に移住するのか?それには移住をしやすくする”仕組み”がありました。

まず、上勝町では年間200~300名が参加する「いろどりインターンシップ」というインターンシップ制度があります。対象年齢が18歳~65歳と幅広く、いろどり農のお手伝いなど上勝町の仕事や活動を通して、上勝での暮らしを体験したり、地域活性について学ぶことができます。

【画像1】「彩」農家の西口さん親子。右にあるノートパソコンを使って息子さんが注文を取ります(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】きれいにパッケージされた”葉っぱ”たち。料亭などの『つまもの』として使われる(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

春休みを利用して参加したという大学生に参加理由を聞くと、「もともと里山での暮らしに興味があって、本で紹介されていた上勝町に興味を持って、このインターンシップに参加しました」(横浜から参加した増田さん/22歳・女性)とのことでした。

後日インターン生のブログを見てみるとプログラムを通じて上勝やここで出会った人たちとの縁をとても大切に感じているようでした。

移住をするにあたって”縁”というのはとても大事な要素になるので、もしかしたら今回の体験が移住につながるかもしれません。

【画像3】上勝の憩いのカフェ「岩本商店」で偶然出会いお話を聞かせてくれたインターン生の増田さん(右)(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

また、上勝にきて2年、このインターン制度の卒業生で、新たな事業を始めようとしている野々山さん(45歳・男性)は「企業で働いてきたけど起業をしたい気持ちはあった。たまたまテレビでこのインターンシップを知って、思い切って会社を辞めた」と、インターンシップがきっかけで上勝に来たそうです。

【画像4】現在は地域おこし協力隊として上勝に携わっている野々山さん(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

インターン卒業後、野々山さんのように事業を始める方も何名かいるとのこと。それが刺激になり、上勝の経済も発展している、というお互いにメリットのある制度のようです。

塾生の半分がそのまま定住してしまう「神山塾」

神山町における”プレ移住”制度は、サテライトオフィス…ではなく、「神山塾」と呼ばれるイベントプランナーを育てる職業訓練塾。4年前から始まり、1期約20名で、基本的には誰でもハローワークを通じて申し込みができ、現在7期生16名が3月末まで活動中です(※今後の募集は未定)。驚くべきは塾生の神山への定着率。一番定着したのは6期の塾生たちで、なんと14人中7人もの人が神山に残っているのだとか。

神山塾の塾生は、約半年間、神山で他の塾生と共に生活をするのですが、その半年間を過ごした仲間とのつながりがとても大きく、結果そのまま残るという人が一番の多いとのこと。定住した神山塾の卒業生同士はいまでも仲がよく、中にはカップルも何組かできているそうです。

ポイントは移住をサポートする「キーパーソン」となるひとがいるかいないか

どちらの町も移住者が多いというのは、プレ移住ができるからという理由だけではありません。それぞれのプログラムが終わったあとに、そのまま移住を考えているひとをサポートしてくれる「キーパーソン」となる存在がいるのです。

上勝町では、町で一番広い人脈を持つ株式会社いろどり社長の横石さんや、筆者の滞在中町を案内してくださった一般社団法人ソシオデザイン代表の大西さんがその「キーパーソン」にあたります。大西さんは上勝活性化のため、上勝での起業を考えている人のサポートなどもされています。

そして、神山町では「神山塾」などを主宰するNPO法人グリーンバレーの岩丸さんが「キーパーソン」です。1時間のインタビューを通して、筆者は「神山塾の塾生の脅威の定着率の理由は、岩丸さんだ!」と確信しました。

岩丸さんは塾生を”娘””息子”と呼び、自宅の2階で寝泊まりさせ、本当の子どものように接します。また、卒業後も塾生は岩丸さんのことを”お父さん”と呼び慕っているそうです。

定着したいという卒業生の家を探したり、何かあったときの駆け込み寺になったり…という数々のエピソードを聞いていると、呼び方だけでなく、困ったら助けるけど、ただ甘やかすだけでない関係も本当の親子のようでした。私が塾生だったら、きっと神山にできた本当のお父さんのような存在に感じるだろうなと思いました。

【画像5】岩丸さんの自宅の壁は卒業生からのメッセージで埋め尽くされています(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

また、卒業生が岩丸さんをここまで慕うのはやはり岩丸さんの人柄が一番なんだろうなとも感じました。初めて会った筆者にもずっとにこにこ笑顔で、穏やかな口調で話されているのがとても印象的でした。

いまでは「神山塾」での活動がきっかけで、塾生でない移住希望者も「とりあえず岩丸さんのところへ」状態になっているそう。もはや塾生だけでなく、神山の移住者の父です。

以前、能登半島の穴水町へ伺った際も、移住には「事業をするのはもちろん、家を借りるのにも、よそ者の自分と地域をつなげてくれる人が必ず必要」というお話を聞きました。

その移住者と地域をつなげる「キーパーソン」がいる町でないと、どんなに気に入った町でもなかなか移住はしづらいのだろうなあ、というのを大西さんと岩丸さんとの出会いを通じて感じました。

【画像6】物件探しも含めた移住者のサポートをするおふたり。岩丸さんは「神山のスーモ」(左)、大西さんは「上勝のスーモ」(右)と、冗談交じりに話してくださいました(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

これまでの移住に関する取材を通して、移住をしやすい町には「プレ移住制度」と「キーパーソン」のふたつがあることに気付きました。

今回のふたつの町は、移住者のサポートをしてくれる「キーパーソン」はもちろん、特に「プレ移住制度」の部分が整っていたように感じます。

徳島での滞在で、”移住をしやすい町”について発見がありましたが、同じように”移住者にも向き不向き”というのがあることにも気付きました。次回はこのことについて紹介したいと思います。●参考

・いろどりインターンシップ研修

・イン神山

・一般社団法人 ソシオデザイン
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/03/108061_main.jpg
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