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【あたたかい寿司】関西の絶品料理!「蒸し寿司」を知っているか【料理解析・旅情編3】

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知られざる関西の味を求めて

我々夫婦は『メシ通』編集部のはからいで、東京から大阪へと遠征し『玉子サンド』そして『自由軒の名物カレー』と巡り、引き続き大阪の隠された味を探索しつつ、掘り起こしつつ徘徊中ですよ〜。

「京都で食べた蒸し寿司って覚えてる?」と私。

「この時期、京都では冬の名物よねぇ」と妻。

「美味しかったよねぇ……。あれって大阪が発祥なのさ」(注:諸説あります)

「へぇ。ま、どうせお店を探してあるんでしょ?」

「え?」

「で、食べに行って家で再現しろって言うんでしょ?」

「うぃやぁ、だははは……」

へどもどしてしまいました。

「蒸し寿司」は別名「温(ぬく)ずし」とも呼ばれ、ちらし寿司を丼等に入れて蒸し上げたもの。関西地方の寿司店では冬限定で出される料理。京都の冬の風物詩と呼ばれたり、箱ずしと並び大阪寿司のひとつとされていたりもします。ただ、残念なことにこの蒸し寿司を出すお店は年々減って来ているようです。

この美味しさをちょっと食レポ風に書いてみると、

「すし飯は蒸すことによってフカフカになり、酢が程よく抜けてちょうど良いまろやかさに。穴子、椎茸、キクラゲ、イカ、桜でんぶ、錦糸卵、全ての具材が温められ、味が交互に現れて踊っているよう。こんな時、具材のまとめ役である錦糸卵は、出来ればちょっと太めのが良い。これにエビや銀杏、栗等がトッピングされれば言うこと無し! 冬の寒い夜に体が芯から温まること必至! まさに食べる温泉です!」

と、いった感じでしょうか。はあ、早く食べたい……。 ただ残念なコトに、この記事が出る頃には蒸し寿司のシーズンは終わっちゃってるんですよね(大体11月から翌年の3月末まで)。

でも、4月の花冷えの頃や、5月にちょっと疲れちゃった時にもこの蒸し寿司ってとっても合うし癒されると思うんです。「ちらし寿司を蒸すと、こんなに優しい食べ物になるんだ」という感動は、オールシーズンでいけると思うので。

要するに「シーズン終わってお店で食べられない」ならば自宅で作ってしまえ、と。

さて我々は桜川にある某老舗寿司店へ。お爺さんが一人で切り盛りしていて、仕出しが中心だそうですが、席でも食べられます。

あらかじめ予約しておいた蒸し寿司とビール等を注文して席で待つこと15分。

ほほう。

ちょっと小振りの丼の蓋を開けると、

錦糸卵に桜でんぶ、キクラゲ、海苔、栗、そして巨大なイカがのっています。

頂きます。

こ、これは……!?

食べ進めると中に椎茸やたくさんの穴子が入っています。

無骨な外見で、一口目はさほど感動しなかったのですが、食べ進めるうちにじわじわと旨さが立ち上がって来ます。

華やかさはないが渋〜い美味しさ。

お店を後にし、歩きながら

「う〜ん、美味しかったけど、あの味を再現するのは……」

「ちょっと難しいわねぇ。あのお店ならではの渋〜い味わいって、あそこで食べてこそのものだしね」

「京都で食べたのは、華やかで可愛らしい。大阪のこのお店は無骨で渋い、とまあ典型的な対比だね」

「まあ、蒸し寿司の基本はコレでつかんだから、家で作るのは我が家風のにすれば良いんでない?」

「そだね」

「それから、あの小振りのふた付き丼は重要だから、ついでにちょっと探しましょう」

ということで大阪を後にする前に千日前道具屋筋をチェック。東京でいえば合羽橋みたいな場所です。

ちょうど良いサイズの丼が250円! フタがないので、代わりに同じ柄のお茶碗(100円!)をフタ用に購入。


東京に戻って作戦会議

まずは味を忘れないうちにさっそく再現。

ほぼ満足な感じで再現出来ました。

自宅でちらし寿司を作るスキルがあれば、まあ自分好みに作れます。

具材をどこまで作るかが悩みどころ。

こだわれば生の穴子をさばいて、桜でんぶもタラから作って、等となりますが、さすがに自宅でそこまでやってもどうかというところ。

そこで2種類の作り方を考えてみました。

「超簡単バージョン」は、むちゃくちゃ反則で、良さげなちらし寿司を買って来て、丼に移し替えて蒸して出来上がり。

「中級バージョン」は、酢飯と錦糸卵は作って、乾燥キクラゲと干し椎茸は水で戻して、椎茸は甘辛く煮る。穴子と桜でんぶ、茹でヤリイカは買ってきたものを使います。

さて、蒸す時ですが、「蒸さずともレンチンすれば……」という議論もございました。が、「酢がうまく抜けないんじゃないか」「具がパサつきそう」等の疑念を持ち、買って来たにせよ作ったにせよ、せっかくのちらし寿司が台無しになることを恐れて、チャレンジはしてません。貧乏性のヘタレな夫婦ですみません。チャレンジ精神旺盛の方は試してみて下さい。

なので、もっと簡単に蒸し器がなくても蒸せる方法を考えてみたそうです。

どちらのバージョンも具材はお好みで良いと思いますが、蒸し寿司の場合は穴子は必須ではないかと。入らないタイプもあるみたいですが、やっぱり穴子は食べたいですね。

それから「温めてしまってどうだろう?」という具材はのけたほうが無難かと。

魚はマグロ、サーモンあたりは温かいのはどうだろうかと思います。タイ、しめ鯖なんかは穴子を入れないんであれば、考えても良いかもしれません。イクラは蒸さずに後から彩りでのせるのは良いんではないかと。

野菜でレンコンは使っているのを見かけたりします。オクラなんかも悪くなさそう。キュウリはのけたほうが良いと思います。「温かいキュウリが好き」って人は入れて下さい。

蒸し寿司「超簡単バージョン」

まず適当なちらし寿司と穴子の蒲焼をスーパーで購入。

具材をある程度よりわけ

酢飯を丼に移し

穴子を適量、適当な大きさにカットし、

他の具材も含めて丼へ盛りつけます。

蒸す前はこんな感じ。

大きめの手鍋に1/3ぐらいのお湯を入れ、さらに小皿を置き

小皿の上に丼をのせ、

丼のフタはせずに鍋のフタをします。

蒸し時間は10〜15分。

蒸し上がったら丼のフタをして

食卓へ。

ぱかん

どアップ。

味もなかなかです。そりゃ超お手軽な作り方なんで、お店のと比べちゃいけませんが、気軽に食べられるカジュアルな味。トビコとか細かく刻んだ漬物とかも混じってましたが全く気になりませんでした。チョイスするちらし寿司にこだわれば、いくらでも美味しくなりそうです。

蒸し寿司「中級バージョン」

材料は3〜4人前。

●穴子の蒲焼 適量。

●釜茹でヤリイカ 適量。

●椎茸甘辛煮 干し椎茸4個、酒大1、みりん大2、砂糖小2、醤油大4。

●乾燥キクラゲ 15グラム程度。

●桜でんぶ 適量。

●錦糸卵 卵2個、塩少々。

●酢飯 お米3合、昆布7cm×7cm、酒大1、酢大4(米酢にするとマイルド)、砂糖大4、塩小2。

干し椎茸とキクラゲを水で戻します。

キクラゲは20分程度。干し椎茸は約2時間ぐらい。

お米3合に昆布を入れ、酒大1で炊きます。

酢大4、砂糖大4、塩小2を混ぜてすし酢を作り、

炊きあがったご飯とまぜ酢飯を作り、しばらく置いて冷まします。

写真の飯台はやたらにデカいですが、もっとチッサイのでOKです。

椎茸の石づきを取り、戻し汁と水を足して1カップにしたものと、酒大1、みりん大2、砂糖小2、醤油大4で煮る。中火から弱火で約20分ぐらい。汁気が半分になったら火を止めて冷ます。

卵2個と塩少々を混ぜ、薄焼き卵を作ります。この量で、大体3枚ぐらいに。

具材はこんなもんです。

キクラゲを太めの細切りに。細かく刻みすぎると蒸した時にチリチリになってしまいます。

薄焼き卵をクルクルと丸めて細切りにして錦糸卵に。

椎茸も細切りにし、煮汁を少しかけておきます。

ヤリイカは半分に切って、中骨を取る。

穴子は適当な大きさに刻み、タレをまぶしておきます。

これらを丼に盛り、桜でんぶをのせて

蒸し器で蒸します。このぐらい大きい蒸し器だと、丼のフタをして蒸せます。

浅い蒸し器だとやはりこんな感じで丼のフタをせずに蒸します。

フタの水滴がおちるのを防ぐ為に、鍋ぶたはタオルで包むと良いです。

作り方は下のムービーを見るとよりわかり易いかと思います。静止画が多いですが、錦糸卵を作るところなんかが動画です。

出来上がりざますのよ。

やはりある程度自作したほうが、だんぜん美味しいです!

特に錦糸卵の違いが大きい。

それから大阪から帰って日が経つと、段々と味付けが濃くなります。

特にタレに絡めた穴子と、思いっきり田舎風に甘辛く煮た椎茸がポイント。

関西の味付けとはまた違って来てしまいましたが、関東風になって旨いかと思います。 「さあコレで新たな門出を祝ったり」

「5月病で凹んだ誰かさんを励ましたり」

してくださいな、と。


作った人:

浅見ゆき

吉田の妻。吉田が自宅の仕事場で編集者と打ち合わせをしていると、突如居酒屋『路地亭』を強制的に開店し、酒と肴をお見舞いする。料理解析家(だいたいの料理は一度食べれば再現できる!)。


書いた人:

吉田いつし

東京出身。エディトリアル・デザイナー。書籍の装幀や雑誌のデザインをしながら、散歩のフリーペーパー『路地と道くさ』を発行。東京ストローラブラボ代表。HPでブログ「路地と道くさな日々雑感」を毎日更新中。 HP:東京ストローラブラボ

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