「耐震等級」だけじゃない? 耐震の性能を表す数値

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「耐震等級」だけじゃない? 耐震の性能を表す数値

地震があったときに、家は自分自身や家族を守ってくれるものであってほしい。今住んでいる家や、購入しようとする家が地震に強いかどうか、誰もが気になるはず。ここでは、耐震診断の重要性と、耐震性能を表す数値について紹介。耐震診断を受けたり、中古住宅を購入したりする際の参考にしてほしい。

耐震診断をした住宅の約9割が耐震性を満たしていない!

日本で住宅などの建物を建てるときには、建築基準法を守らなければならない。これは、敷地や設備、構造などについての最低限の基準を満たした法律。建築基準法では、耐震に関する基準も盛り込まれており、大地震が起こるたびに見直され、強化されてきた。

特に、1981年に施行された「新耐震設計基準」(新耐震)では、それまでの「旧耐震」では「震度5程度の地震に耐えられること」が基準だったのが、「新耐震」では「震度6〜7程度の地震でも崩壊・倒壊しない耐震性」が求められるようになった。つまり、新耐震設計基準が施行された1981年6月1日以降に建築申請が出された住宅が、地震に強いというひとつの目安になる。

また、その後も、木造住宅では、2000年の建築基準法の改正で耐震性が向上する規定が盛り込まれ、家を建てる前の地盤調査の事実上の義務化、地盤がどの程度の荷重に耐えられるかによって決まる基礎構造などが定められた。

ところが、「新耐震」基準で建てられた家であっても、「絶対にだいじょうぶ」とは言い切れない。日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)の調査※1では、2000年の建築基準法改正以前の1981年〜2000年5月の新耐震基準で建てられた木造在来工法の住宅で、耐震診断を受けたうちの86.2%が現行の耐震性を満たしていなかった。

※1「耐震診断基本データ」(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合・2016年2月調査データより)

現在、自治体によって違いはあるが、一戸建ての建物の耐震診断は義務づけられていないことがほとんど。新築住宅は行政による現場審査がある建築確認申請を行っているため、審査の結果が適格で着工が許可されているのであれば、あらためて耐震診断を行わなくても心配はない。

しかし、中古住宅の場合、建築当時の建築基準法を守って建てられていても、家の形や地盤の強度、施工状態などが家の強さに影響する。中古住宅購入の場合や、現在の住まいの耐震性について不安がある場合は、耐震性を客観的に確認できる「住宅性能表示制度」や「耐震診断」の利用を考えてみるといいだろう。

「住宅性能表示制度」で使われる「耐震等級」って?

建物の地震への強さの目安になる指標にはいくつかあるが、そのなかでよく目にするのが「等級1」などの「耐震等級」だ。これは、2000年に施行された「住宅品質確保促進法(品確法)」の住宅性能表示制度にあるもの。「地震に対する強さ」が壁の量や配置などによって評価され、3段階で示される。【図1】耐震等級(構造躯体の倒壊・崩壊・損傷等防止)(資料をもとに筆者作成)

【図1】耐震等級(構造躯体の倒壊・崩壊・損傷等防止)(資料をもとに筆者作成)

耐震等級1〜3の3段階の指標で、耐震等級1が建築基準法をクリアしている家。つまり、「耐震等級」はその住宅が、「定められた耐震基準に対してどれくらい強いか」を知ることができるものだ。建築主が地震に対してどれくらい強い家にしようとしたかが分かる。

中古住宅を購入する際は、新築時に交付されている建設住宅性能評価書か、交付されていない場合は、売主が既存住宅性能評価を申請する予定があるかを確認するといいだろう。費用はかかるが、買主が自分で申請することもできる。

「耐震診断」の結果を表す数値「Iw値」

多くの自治体は耐震診断・耐震改修に対して費用の一部を補助するなどの支援制度を設けている。耐震診断は、「地震に対して建物がどれくらいの強さを持っているか」を判断するもの。築年数や地盤の状況、設計や建物の劣化状況などを確認し、その結果から総合的な評価が行われる。耐震診断の結果は、国土交通省によって定められた木造住宅の構造耐震指標(耐震性能)「Iw値」によって表される(マンションなど鉄筋コンクリート造の建物の場合は「Is値」)。Iw値は数字が大きいほど、地震に抵抗する力が強いということだ。【図2】木造住宅の構造耐震指標(耐震性能)Iw値による地震に対する安全性(資料をもとに筆者作成)

【図2】木造住宅の構造耐震指標(耐震性能)Iw値による地震に対する安全性(資料をもとに筆者作成)

耐震改修の支援制度がある自治体の場合、各自治体が定めたIw値を満たしていないことが条件になったり、改修工事の結果が基準のIw値以上になるようにすることを求められたりする。耐震診断の方法やIw値の計算方法などは専門知識がなければ理解が難しいが、補助金を申請する際には目にすることになる基準なので覚えておくといいだろう。●資料提供

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)●参考

・「耐震診断基本データ」(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合・2016年2月調査データより)
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/03/107908_main.jpg
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