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じいちゃんばあちゃんがギャングスター!?高齢者が握るスプレー缶

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ニューヨーク拠点のデジタルマガジン。ニューヨークをはじめ、各都市の個人やコミュニティのユニークな取り組みやカウンターカルチャーシーンをいち早く配信中。現地ならではのコアなネタを厳選し、独自のライフスタイルを切り開くための“きっかけ”となるストーリーを届けることをミッションとしています。
          www.heapsmag.com

寂れた街のストリートを、夜な夜な吹き溜まる不良どもが占拠する。おもむろに立ち上がると思うとスプレーを一振り。ふと朝目を覚ませば、昨日までなかったそれが、壁一面を埋め尽くしている。

「Graffiti(グラフィティ)」。通例のアートとは乖離(かいり)し、社会に対する不安、人種差別や貧困を訴え、そして自らの存在意義などを表現する。

さて、これを定年を越えたじいちゃん・ばあちゃんがやっているとしたら。場所はポルトガルの首都リスボン。サングラスにマスク、手にはスプレー缶を握り、mural(壁)へと殴り書きだ。

きっかけは、
じいちゃんばあちゃんからの
“質問攻め”

160309_heaps-graffiti_02photo by Rui Gaiola / LATA 65

しわしわの顔でにこにこ。はたまたニヤリ。活気に満ちあふれるその顔を輝かせ、壁へとスプレーを大胆に吹きつけるじいちゃん、ばあちゃん。

「LATA 65」という、不定期に開催されるワークショップがある。主催するのは、Lara Rodrigue(ララ・ロドリゲス)含む数名のグラフィティ・アーティストで、老人たちがグラフィティを描く為のものだ。なんともユニークなアイディアだが、ひょんなことから生まれたらしい。

「私たちは、ポルトガルのグラフィティシーンをより広げる為、『WOOL-Covilhã Urban Art Festival』というのを毎年開催してるのですが、ペインティングについて数多くの質問が寄せられました。その多くが、驚くことに“老人の方々から”だったんです」。

ならば、自分たちで体験してもらいましょう、と最初の計画をコーヒーショップでざっくりと立て、その2週間後には第1回目を開催。

160309_heaps-graffiti_03photo by Rui Gaiola / LATA 65

「LATA」はポルトガル語で「缶」を意味する。つまり、「缶を握るオーバー65(定年退職を迎えた高齢者)」といったところだ。ララは、「LATA65」の意義を、確信を持って話す。

「老人に限らず人間にとって、活発に年を重ねることや、レスジェネレーション(世代間の垣根をなくす)の中で共に活動してこそ、より生きる意味を感じられると思うんです。やはり、どの社会でも注目されるのは働き盛りの“若者たち”。社会に忘れ去られては、どうやって生きる覇気がわくでしょう。LATA65では、“高齢者”、つまり時代の中心ではない世代に、現代アートへの“接触”を与えることができます。そして、興味、やる気を、もう一度持つ。好奇心、熱意や創作というものに対する年齢は、タダの数字です」。

「そんなの金の無駄遣い」160309_heaps-graffiti_04

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