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古民家リノベ[6] 新しいのに懐かしい、ビフォーアフター公開

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古民家の外観はそのままに、中は構造柱や梁だけを残し間取りから一新する大リノベーション。全体コンセプトは「新しいのに懐かしいおばあちゃんの家」。プランは「宴会仕様で開放的」、インテリアは「旧き良き物を生かし陰影礼讃」。約3カ月間暗くなるまで続いた工事で、築90年の平屋がどう変わったか、ご紹介!●連載「元編集長の鎌倉古民家リノベ移住」

10誌以上の住宅情報誌の編集長を経験してきた筆者が、都内マンション暮らしから鎌倉の築90年古民家への移住を決意。物件との出会い、リノベーションのパートナー探し、プランの検討、コストダウン方法など実体験に基づくノウハウや失敗談を含めた本音を7回連載でお伝えします。

玄関は吹抜けで明るく広々。古い建具で新しくても懐かしく

まずは、家の顔である玄関。暗く狭かった玄関を、吹抜けをつくって、全ての部屋に通じる廊下も一体化した広がりのある空間に。一畳だった三和土(たたき:コンクリートなどで仕上げた土間)が玄関収納含めて三畳となる贅沢なスペースの使い方に迷ったが、ここは来客を気持ち良く迎えるために思い切った。

建具は旧家にあった物と知人に譲ってもらった物を総動員。これらの木製建具と、吹抜けにして顔を出した90年家を支えてきた柱や梁のおかげで、イメージしていた「新しいけれど懐かしい」雰囲気に仕上がった。

【画像1】左:暗く狭かった玄関。木製のガラス戸は雰囲気があるものの、セキュリティ面が不安だった。右:広さ3倍で吹抜けも設け、縦横に開放感のある空間に。右手の玄関収納の引き戸には、旧家の玄関ガラス戸を利用。(写真撮影/左:長井純子・右:片山貴博)

家の中心である和室は、一目惚れした姿そのままで居心地アップ

玄関を入って正面は6畳の和室。ここはこの家の中で唯一、あまり変更していないところ。リノベ前後の写真を比べても違いが分かりにくいかもしれない。家の中心にあり、庭も眺められる居心地もいいこの和室に一目惚れしたのだが、当時夏だったが大変暑く、冬もかなり寒いことが想像できた。また使わないであろう床の間もあって隣の空間とは分断されていた。

そこで、床・壁・天井全て断熱したうえで、サッシは複層にして気密性能アップ。使わない床の間を廃して、隣の空間と行き来しやすいよう襖にした。このように良いところは残しながら、目に見えないことも含めて気になることを工事して、居心地が良かった和室がますます快適になった。

また、この和室を始め、家はほとんど引き戸。閉めて個室にしたり、開け放って大空間にしたり、季節や用途によって使い分けられるので便利だ。

【画像2】左:和室の左手は襖で開放可能、右手は床の間があり閉ざされていた。 右:左手の襖を旧家の別場所で使われていた障子に変更。右手の引き戸を開放して隣の空間とつなげることも可能に(写真撮影/左:長井純子・右:片山貴博)

LDKは構造上不要な柱・壁・天井を取って、吹抜けの大空間に

メインのLDKは、「宴会仕様」というコンセプト上、一番広々した空間に。幸い6畳間の柱・壁・天井は構造上不要で取り払えたので、一体化してLDKの大空間とした。構造上キッチン部分は天井が低くなってしまうが、リビング部分の天井は梁を見せて吹抜けにすることで、メリハリのある気持ちのいい空間となった。

【画像3】左上:庭に面した6畳間は、独立した個室として機能していた。左下:6畳間の壁や柱を取り払って空間を繋げ、吹抜けにして小屋裏の梁も見せて大空間に。右:LDKは引き戸で和室や廊下とも一体化できる(写真撮影/左上:長井純子・左下、右:片山貴博)

セミオープンのキッチンも含めて、LDKは広さ14畳。天井の高さと引き戸でつながる他空間とのつながりのおかげで、実際の面積より広く感じる仕上がりとなった。

物が多い悩みを解決してくれた小屋裏収納

物が多いのにスッキリ暮らしたい、でも増築はできないという中、和室上部の小屋裏空間の活用提案は救世主だった。元は天井板の裏に隠れていた、三角の屋根裏空間。天井板をはいで覗かない限り目にすることもない、もちろん活用されることもない、暗く埃だらけの閉ざされた空間だった。

解体工事で小屋裏や梁が見えてきて、断熱等の工事を経て、和室の上部に6畳の小屋裏収納が出来上がった。この空間が、置き場所に困る物のレスキュー所として大活躍。普段使わないスーツケース、趣味のスポーツ用品、リビングの収納に収まらない本やアルバム、買い置きの水や食料、書類、着物など、とりあえず置けて本当に便利。ここの丸太梁が家中で一番立派で90年の重みを感じさせることもあり、天井が低いながら、行くと長居する意外に快適なプラスα空間となった。

【画像4】左:工事前に和室の押入れの天井板を外して撮影した一枚。天井裏は陽の目を見ることなく、暗く埃だらけの空間だった。右:天井は低いながら最も立派な丸太梁がある6畳を全て収納に。左奥には古い建具を利用してリビングにつながる換気用の小窓も設けた(写真撮影/長井純子)

旧き良き物を現代に甦らせる素晴らしい職人技が生み出す味わい

ここまで室内を紹介すると、「もはや古民家じゃない」と思う人もいるだろう。そう、私は元々古民家に住みたかったわけではなく、たまたま条件に合う一戸建てが築90年だったのだ。もちろん良い物は残したいけれど、民芸調の古民家テイストの家にしたいわけではない。

室内は、機能的でシンプルに。その中で柱や梁が古民家の存在感を放つものの、それ以外の設備等は基本新品。更にインテリア類もマンションで使っていたもののまま。それらをつなぐ役割として、古い建具など元々あるものはできるだけ使ってもらった。

引き戸を多くしたこともあり、元の家にある建具だけでは数が足りなかった。新品よりは味わいのある雰囲気にこだわりたかったので、知人から譲ってもらった建具も大活躍した。異なる古い家から集まった建具の傷みやサイズ調整は建具屋さんが修理・加工。手すりは大工さんが解体時に出た柱を加工してつくってくれた。さまざまな素材が一体感ある仕上がりになるよう、塗装屋さんが色味を調整。それぞれの歴史を持った素材が、職人さんの手で新しい使命を得てここで甦った感じがして、とてもうれしい。

【画像5】左:旧家の浴室ガラス戸。一枚しかなく使い道に悩んだが、昭和レトロな模様ガラスが捨てがたかった。右:施主支給した建具を現場でどう合わせるか思案する大工さんと建具屋さん。建具は傷んでいてガラスもなくなり、寄せ集めなので色味もバラバラ(写真撮影/長井純子)

【画像6】左:旧家浴室のレトロなガラスを使って修復された建具。細かな細工が外からの視線を遮りながら柔らかい光を通す。右:さまざまなところから集められ、修復された建具が並ぶ玄関。左手の2枚と正面の障子2枚のガラス部分には、同じレトロ模様のガラスを使い、微妙な色味を調整したことで融合(写真撮影/片山貴博)

3カ月間の工事を通じて、実に多くの職人さんに関わっていただいた。それぞれ見飽きない素晴らしい仕事ぶりで、その職人技がなければ今の家はないな、と心から感謝している。

外観はそのままながら、室内は工事前を知っている人は全員ビックリする劇的な変貌ぶり。大リノベーションは、間取りや設備選びひとつひとつ決めるべきことの連続だ。「宴会仕様」「おばあちゃんの家」など自分が目指す家やインテリアのテーマをあらかじめ決めておくと、選ぶ際の指針になり、統一感のある仕上がりになるのでオススメだ。といっても、元編集長でも全て大成功というわけではない。ということで、最終回は成功と失敗を本音で振り返ってみよう。
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/03/107842_main.jpg
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