【小鳥遊しほ】独身男性3人が暮らすシェアハウスで、手巻き寿司を作ります。
イラストレーターにフードコーディネーター、コラムニスト、そしてモデルとして超マルチに活躍する小鳥遊しほが、世の悩める人々のために自ら家へ足を運び、料理を作り、ややナナメ上から人生相談にまで乗ってしまう企画。
人の数だけ悩みはある。悩んでいても腹は減る。小鳥遊しほは、人類にとって永遠のテーマともいうべきその2つの問題を、同時に解決いたします!
小鳥遊しほのメシ付き人生相談
第1回:独身男性3人が暮らすシェアハウスで、手巻き寿司を作ります。
こんにちわ。小鳥遊しほです。
私の仕事は絵と料理を使っていろんなものと絡むこと。
メシという名が付くからにはと、メシ通さんに乗り込んだ。
旨い飯食べてウマい話書くぞー!
で、
楽しい企画はないものかと案を練ってると
レンタル彼女
的なものにピンときたのです。
独身男性のお宅を訪問し、ごはんを作り、話し相手になる企画という……。
時には相談に乗ったり、アドバイスしたり、最後は洗い物を……あれ……訪問介護かな?
まぁいいか。
とりあえず本日の舞台、小田急線の南新宿駅に到着しました。
大都会、新宿に買い出し用スーパーは見つかるか。
不安げな面持ちでスタートするも、さすがは現代。スマホ検索で即発見。
なんなく食材をゲットしました。
いざ初のお宅訪問
本日、お邪魔する宇尾さん(会社員 26歳)のお宅へ着きました。
「ピンポーン」(ドキドキ)
ガチャ。
「あっ……/// ど、どうも小鳥遊です!」
(ちらっ)
「どうもーこんばんわー! 宇尾です!」(にこっ)
(にこにこ)
(にこにこにこにこ)
…………。
お邪魔します
さぁ! あらためまして、こちらが宇尾さんのお宅!
白を基調とした爽やかな雰囲気で、想像してたより綺麗!
なんと宇尾さん含めて3人の独身男性が共同で暮らすシェアハウスということで。
この企画、早々に雲行きがあやしい感じになってまいりました。
こちらが個室①。ザ・男の部屋って感じです。
外れかけたカーテンを前に、宇尾さんのポーズもキマってます。
同居人らしき人影も見えますが、ここでは一旦無視します。後で紹介するんで。
そして個室②。2段ベッドって久しぶりに見たー!
個室①と照明や床が違うせいもあって、まるで別の時代のようにも見えますが、気にしないでください。あと、こっちもカーテンが外れそう。
あ、下段からちょっぴり何者かの足が覗いてますが、まぁこれも後でいいでしょう。
いざすすめやキッチン
こちらがキッチン。
ふむ。意外と充実しています。
さて。
冷蔵庫チェーーーック!
おぉぉぉぉぉ。
やはり3人暮らしなだけあって、結構しっかり入ってます。
でも、よく見るとほとんど飲み物ですね……。
一通りチェックも終わったところでエプロン装着。
はい! よろしくおねがいしまーす!
本日買った材料はこちら。3人分なのでたっぷりです。
下準備からはじめま〜す。ひたすら材料を切っていきます。
そっと見守る宇尾さん。
わーいごはん炊けたー!
ウマいウマーーーーーーい!
勝手にお皿探ります〜。
そっと見守る宇尾さん。
人んちの電子レンジの使い方わからん! わからん!
「ピッ」
おぉぉ?! これはアレか?!!
壁ドン、顎クイに次ぐ新種の胸キュン技か何かですか?!!
こんな時のために見守っていたなんて。宇尾さん、まさかヤリ手だな。
ササっと〜卵を焼いて〜
「もう少しだよー待っててね〜」
・
・
・
(30分経過)
そんなこんなで完成〜〜〜〜〜!!!
ではここで、他の同居人も呼び寄せてもらいましょう。お待たせしました。
木村さん(仮名、会社員 30歳)と、
佐藤さん(仮名、個人事業主 30歳)です。
ほほう。26歳&30歳2人の独身男性が3人暮らし。
どんな暮らしなのかなーむさ苦しいのかなー爽やかなのかなー
「ひとまずカンパーイ!」
「むちゃくちゃ楽しみにしてましたよ〜」
「こんな綺麗な手料理がこの食卓に並ぶとは……」
「ね、この家にあるとは思えない……」
独身らしさ溢れるナイス反応。作り甲斐あります。
さて腹ペコの3人に一応料理を説明。
「『香味野菜と天かす冷奴』と『3種キノコのめんつゆ煮』。みなさん酒飲みって聞いてたんで、簡単・安い・旨いのおつまみ系を作ってみました〜」
「あと手巻き寿司! 野菜不足だと思って全体的にヘルシーにしました!ツナマヨも玉ねぎ入りです!」
一同「いただきま〜す!!」
まきまき。
あ、ちょっと入れすぎちゃったかなぁ〜?
「はいっ、どーぞ!」
「……えっ! 俺に?!」
「うんまぁぁぁぁ〜〜〜〜」
そうそう、この顔を見たくて、みんな好きな相手に料理を作るんです。
ズズズー。
「お味噌汁もダシのせいか普段飲んでるのより旨い〜」
「うれしい! 時間かけた甲斐あった! ところで、みなさん普段お酒はどのくらい飲むんですか?」
「毎日ですね〜。ビール、ワイン、ウイスキーあたり大量に買ってあります」
「え! ほんと!? 私も好み完全に一緒〜!!」
(大人ってのは、お酒の趣味が合うと急にイキイキします)
「サーモンうま〜〜〜」
「ねぇちょっと」
「はい?」
「それ、サーモンしか入れてないでしょ。野菜も摂らなきゃダメ」
「うっ……厳しいお母さんみたいだ……」
「せめて奥さんみたいと言ってください」
「それにしても、豆腐に天かすなんていれるんですね」
「某チェーン居酒屋でこんなメニューが出てくるんでパク……ヒントにしました」
「合コンとか行ったりするんですか?」
「ところで皆さん、独身なのは知ってるんですけど、彼女はいるんですか?」
(シーン……)
察しました。なんかごめんなさい。
聞き進めると、3人で恋愛話はしたことないとのことで。
よーし、今日は思い切って4人で恋バナだ!
ここからズバズバと飛ばしていくから、心してお読みくだされ!
「合コンには行きますか?」
「この前行きました! ボク個人事業主なんですけど、なんか公務員男子がめちゃくちゃモテてました」
「おぉ〜! でた! 本当にモテるんだー公務員て」
「相手の女の子も30代の安定系の職だったのもあって、年金が太いとかそんな感じで、会話が超面白くなかったんですよ(笑)!」
「あー。せっかく合コンでゲットするのなら、なるべく若い子がおすすめですよ」
「え? なんでですか?」
「極端な話ですが、たとえば“40歳未婚”の人が合コンに来たら、私が男なら『この人なにかワケありなのかな?』と思うはず。 その年になっても結婚しない or できない、何かしらの理由があるのかなって。一概には言えませんが、いろいろと現実的になりすぎている大人の女性よりも、若い子と付き合っていっしょに成長して、自分好みの良い奥さんと理解力のある旦那になったほうがお互い楽だと思う。それと単純にお嫁さんは若くて綺麗にこしたことないって世論もある」
「シビア……(笑)」
年の離れた女子、どうですか?
「木村さん今いくつでしたっけ?」
「30歳です」
「じゃあ、18〜25歳とかオススメです」
「でも、年の離れた子って話合わなそう……」
「んなことないない! 男女の仲になってしまえば話なんて大概合うもんですよ。若い女子は、大人の余裕みたいなものが好きだったりするから、堂々としてることが大事ですね」
「なるほど。ただ堂々と、余裕のある、っていまいちどうすれば……」
「『僕なんてモテないし』みたいな自虐発言だけはしないべきかと! 好きになるにあたって相手が今までモテてきたかどうかは関係ないし、目の前でうじうじされても女の子も困ると思うんで」
「(笑)。年上といえば受け入れるタイプと、ぐいぐい引っ張ってくタイプみたいなのあるけど、それは?」
「一度ちゃんと受け入れてあげるのは大事ですね。『お前は子供だから』みたいに頭ごなしに否定する言葉は言っちゃだめ。きちんと対等に話した上で、ダメな所は言葉を選んで強く伝えていく。うまく続けば、女子は信頼してついてきてくれます」
「ふむ」
なんだか若い女子斡旋所みたいになってしまった……。
ちなみに私は27歳なので、私より下の子のことを指しているつもりです。
女子としたい理想のデートとかあります?
「理想のデートとかありますか?」
「僕、動物が好きなんで、動物園とか水族館とか!」
「コイツと行くとめちゃめちゃ面白いんですよ!」
「え、何が?」
「解説とか読まなくても豆知識とか全部説明してくれるんですよ!」
「図鑑とか超見てたんで」
「しかも書いてあることが違うとかまで指摘するんですよ!」
「へぇ〜〜〜〜モテなそう(笑)!」
「(泣)」
「私は雑学とかすきなんで聞きたいなーと思いますが、多くの女子は雑学披露を期待しているのではなく『かわいい』とか『きれい』とか言い合って、キャッキャしたいんだと思います」
「聞かれたりしたら答えてもいいの……(泣)?」
「いいと思います! でも、ちょっと聞いたつもりが事細かに話されたら「も……もう大丈夫だよ」ってなる(笑)」
「見極めが難しいですよ……」
「恋愛ベタな人って、相手のことを想って会話するというのが不得意な気がします。自分の言いたいことばっか言ったり、相手に身を任せすぎたりせず、お互いになにが必要なのかをうまく汲み取らないといけないんじゃないかなって」
「コミュ力だ……」
「コミュ力だな……」
「自分にいっぱいいっぱいにならず、目を見て心でちゃんと話さないとですね」
この後も
「映画を見て涙を流すかどうかの話」
「彼女の作る料理へダメ出しするかの話」
「男の収集癖が理解できない話」
などなど笑いあり涙ありの話題が展開されたのですが、キリがないので割愛します。
まぁ、みんなで料理を囲むとこんなにも盛り上がるってことです!
お寿司とお酒って素晴らしい! 日本最高!
「今日の話の終着点がもう全然わからない」
「小鳥遊先生の……今日の……」
「格言コーナーでお願いします……!」
「うーーーん……、『男は余裕が大事』とか(笑)? あ!『おちゃめさ』も大事かなー。男子も女子も、愛嬌って最強の武器!」
ちょうど良くホワイトボードがあったので……、
どーーーん!
「男は余裕。(あと、おちゃめ)」
合ってるかな?
本当にこの締めで合ってるのかな?
さらば、独身男性たちのシェアハウス
なにはともあれ、締まった(はず)なのでそろそろお暇します。
あっ……洗い物してくれてる……。
レンタル彼女がどーのこーの言ってたのに、まさか格言残すことになるなんて。
なんだか申し訳ない上に企画の方向性もわからなくなったけど、みんな楽しそうだったから、まぁいいか。
笑顔の3人に見送られつつ、お宅をあとにする。
独身男性3人のシェアハウスは、彼女のいない寂しさもシェアする、あったかい空間だったのでした。
次は、あなたのお宅にお邪魔するかもしれません。
写真:石川真魚
書いた人
小鳥遊しほ(たかなし しほ)
1988年7月6日、愛知県生まれ。イラストレーター、フードコーディネーター、モデル。美容師、調理師の免許、その他8個の資格を持つ。雑誌の連載、TVやアプリのイラストレーション、企業やアパレルブランドとのコラボなど幅広く活動。書籍『くまっているのはボクなのに。一問一頭』(KADOKAWA) 小鳥遊しほ オフィシャルサイト
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