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無償で貸している土地、20年で相手の物に!?

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無償で貸している土地、20年で相手の物に!?

Q.

 私のいとこ夫婦は、父親の遺産相続で得た私の土地に店を建て、うどん屋を経営しています。土地は無償で貸しているのですが、なにもいわずに20年間そのままにしておくと、「所有権の時効取得」が成立し、いとこ夫婦が所有者となってしまうと聞きました。

 もうすでに20年以上が過ぎました。いとこ夫婦から土地を明け渡してもらう手段はないものでしょうか?

(50代:女性)

A.

 ご相談者様がおっしゃっているのは、「所有権の取得時効」(民法162条)のことかと思われます。確かに、長期間他人の者を占有すると、時効によってその所有権が取得できる、というケースがあります。
 しかし今回の場合は、適用にならないと考えるのが一般的でしょう。

 その理由は、借主に「借りている」という意識があるからです。正しく言い換えると「所有する意思がない」ということ。
 同条1項によると、相談者様がおっしゃる通り20年間の継続した占有が必要となりますが、その時効取得が成立するためには、「所有の意思」が必要になるのです。
 そのため、借主がたとえ20年以上土地や建物を使用し続けたとしても、その不動産を時効取得できることはありません。

 もう少し細かく見ていきましょう。
 今回の場合、相談者様は無償ではありますが、あくまでも土地を”貸し出している”ということになります。これは民法593条以下で定められる「使用貸借契約」の成立にあたります。

 しかし、賃料を支払っていないという点には少し注意が必要です。仮にいとこ夫妻が「無償で借りているのではなく、もらった土地だ。その証拠に、賃料などが発生していない」という主張をしてきた場合には、賃料が無償であることと、いとこ夫妻の言い分が虚偽であり、「所有の意思」がなかったことを証明しなくてはなりません。

 では次に、土地を明け渡してもらう方法について考えてみましょう。
 今回は、使用貸借契約を前提として説明をしていきます。まず、貸した物を返還してもらう時期は民法597条にて規定されています。もしも契約時に、返還の時期が決められていない場合は、同条の2項が適用となります。

 597条2項の内容を要約しますと、契約に定めた目的に従い、借り主は「使用及び収益を終わった時」に借りた物を返還しなくてはならない、というものです。今回のケースですと、いとこ夫妻はうどん屋を経営しているので、「使用及び収益を終わった時」という理由で明け渡しを求めるのは難しいでしょう。

 しかし、597条2項には、「ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過した時は、貸主は、直ちに返還を請求することができる」とも定められています。
 つまり、20年間以上その土地を使ったことが「使用及び収益をするのに足りる期間を経過した」と捉えられるかどうかがポイントになるわけです。

 過去の事例では、38年経過したものについて、この条文を適用すると判断したものもあります。今回のケースでも、この条文を根拠として土地の返還請求を行うことができるでしょう。
 なお、「20年以上の使用によって、使用及び収益を得るのに足りる期間を経過した」という主張と共に、なぜご相談者様がその土地を必要としているのか、という事情についても主張するようにしてください。

 長々と説明してきましたが、まずは内容証明郵便で、使用貸借契約に基づき土地の返還請求を行ってみましょう。
 もしも「すぐに返すことはできないから、もう少し待って欲しい」というような返答があれば、使用賃借契約の存在の証拠にもなります。
 とりあえず、こうした行動を起こすのが第一歩と言えるでしょう。

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無償で貸している土地、20年で相手の物に!?

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