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内部告発者名が筒抜けに?!

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 内部告発を受け付ける京都市の公益通報外部窓口の弁護士に通報した男性職員の氏名が、市側に伝えられていたことが3月8日に判明しました。
 児童福祉法違反容疑で児童養護施設の施設長が逮捕された事件で、男性職員は市児童相談所の対応が遅れたことを訴えるため、2015年3月に公益外部通報窓口にメールで通報しました。男性職員は2015年12月に内部記録を持ちだしたとして停職3日の処分を受けました。
 処分について不服を申し立てる手続きの中で、公益通報したことが把握されていたことがわかりました。男性職員に事前確認も事後報告もないまま伝わっていたとのことです。
 過去5年間で外部窓口に職員が実名で通報した19件のうち、今回のケースを含む16件の氏名が市に伝わっているそうです。
 今回はこの公益通報について定めている法律について見てみたいと思います。

 公益通報とは、会社など組織の内部の人間が、組織の法律違反行為をしかるべき機関に通報することをいいます。内部告発と言われる場合もあります。
 この内部告発を行った労働者を保護するための法律として、「公益通報者保護法」という法律があります。
 自動車のリコール隠しや食品の偽装表示など、企業内の不祥事が内部告発により相次いで明らかになったことにかんがみて、内部告発をした公益通報者が職場内で不利益な取扱いを防ぐことを目的に、平成16年(2004年)6月に制定され、平成18年(2006年)4月に施行されました。

 内部告発はすべて保護されるというものではなく、

(1)労働者(公務員も含まれます)が、
(2)不正の目的でなく、
(3)職場において、
(4)通報対象事実が発生または発生しようとすることを、
(5)通報先に通報する、
という要件をみたすものでなければなりません。
 (4)「通報対象事実」とは、個人の生命・身体の保護、消費者の利益の保護、環境の保全、公正な競争の確保等にかかわる法律として規定されている罪の犯罪行為の事実、等を指すとされています(法2条3項)。
 従って、労働者以外の人がする通報や、職場の職務とは無関係な個人的な犯罪事実の通報などは、保護の対象外となります。

 要件を満たして公益通報した労働者については、公益通報をしたことを理由とする解雇や労働者派遣契約の解除は無効となり、また不利益な取扱いをすることも禁止されます(法4条5条)。

 このように、通報した人が保護されるようになっている制度ではありますが、内部告発という響きはネガティブなイメージを伴うため行動を起こしづらいこと、通報したことが周りに知れると円滑な業務の遂行に支障をきたしてしまうといった懸念等からあまりこの制度が活用されていないという状況にあります。
 それらの点を解消する一つとして、安心して通報できるように、組織によっては、外部ホットライン(弁護士等)を設置して、対応するところも多くなっています。今回問題となった京都市も外部窓口を設置していました。

 内部告発は、告発する人にとって、その後の生活を大きく左右する重大なものです。匿名であると信じて行動に移したのに、実名を明らかにされてしまうようなことになれば、内部告発をしようとしている人の萎縮を招き、制度がまったく機能しなくなってしまうことでしょう。
 今回のケースは特殊な例ともいえますが、匿名で内部告発を行いたい場合には、窓口に連絡する際に、実名は伝わらないかどうかの確認、さらに実名は伝えないでほしいという希望を明確に伝えることを念のためしておくのが望ましいように思われます。

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