ギターを修理してもらいながら飲める店がバンドマンの街・高円寺にあった

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押し入れに眠るギターを持って飲みに行こう!

飲みながらスポーツ観戦ができる店や、ライブを見ながら飲める店など、飲み+体験型の店は数多くあります。ですが、楽器を修理してもらいながら飲める店となるとちょっと見当たりません。

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バンドマンの街・高円寺に、2015年にオープンした「am」は、まさにそんなお店。ギターやベースなどのバンド楽器の修理・販売を行う専門店として、6年前この地に店を構えた「BUDDY Sound Works」が核となり、セッションしながら飲めるというライブカフェバーとして、2015年1月にオープンしました。

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ハードロックバンドのミュージシャンのように大きなガタイの店主・山本誠さんは、かつて楽器メーカーのESPに20年ほど勤めていたギター職人。その経験を活かして楽器の修理・販売を行っていましたが、自身の提案する楽器を製作してミュージシャンに貢献すべく、高円寺に「BUDDY Sound Works」をオープンします。6年間の営業を経て、さらに飲食スペースも加わって2015年1月に移転リニューアルしたのが、この店なのです。

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店内には、そうそうたるミュージシャンの写真がズラリ。独立前、御茶ノ水の楽器街で修理に携わっていた時代からお付き合いのあるミュージシャンをはじめ、それこそ某大御所のロックバンドのプロミュージシャンたちが今も楽器の調整に訪れます。つまり、憧れのミュージシャンと同じ店で、自分の楽器のメンテナンスや修理をしてもらうこともできてしまうというわけ!

──下手くそなので、プロの方々と同じ店で修理してもらうなんておこがましいし、怒られるんじゃないかと心配なのですが、自分のような人間も行って大丈夫なのでしょうか?

「お父さんにもらったアコギを抱えて、女子高生が来ることも結構あるんですよ。僕も初心者だった頃があるし、お店側はそんなこと思ってないですから、気にせずどんどん来てください。普段は、特にバンドをやっているわけではない近所のおばちゃんがお茶しに来たりもします」

以外にも、ゆるい雰囲気! 地域密着型の楽器屋さんでもあるんですね。全然メンテナンスしてないじゃないですか! と怒られるのでは……と楽器屋から足が遠のいていたのですが、何度お聞きしても、本当に大丈夫そう! 安心して、久しくステージの光を浴びていなかったベースを持参し、メンテナンスしてもらいながら飲みに行くことにしました。

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お店は、高円寺駅の北口からガード沿いを歩いて約2分。怪しげな光がぐるぐると回り、ロックな雰囲気です!

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階段を上がると、炎がBURRRRNINGしているドアが。

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その戸を開けると、店内には、男の子なら大喜びのさまざまな工具が並んでいます。

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「BUDDY Sound Works」で楽器のメンテナンスをしているミュージシャンを中心に、ミュージシャンオリジナルモデルのピックも、たくさん揃っています。

本日は、ストラップピンが外れたまま使い続けているベースの修理と、ネックの反りなどを直していただく「クイックメンテナンス」をお願いしました。プロと同じお店でやるなんて、何万円もかかるのでは? とビビりながらお聞きしましたが、「クイックメンテナンス」は5000円で弦高調整、ネックの反り調整、フレットのサビ取りなどをしてもらえるという明朗会計で、ほっと安心。

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さっそく、おずおずと自分のベースを差し出し、診ていただきました。

「かなり反ってますね〜」

──やっぱりそうですか、そんな気がしていました……

そんなわけで、さっそくネック調整などをお願いしつつ、飲むことに。

こちらのお店では、お酒と簡単なおつまみだけでなく、ガッツリと食事もできます。店内にはアンプも完備しているので、音出しもOK。まずは楽器を預けて飲みながら楽器のようすを見守り、帰りにメンテナンス済みの楽器を受け取って、せっかくだからセッションもしてしまおう! なんてこともできるわけです。

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要治療状態の我が子を無事預けられたので、さっそく料理を注文することに。メニューは、楽器店の店内とは思えない充実ぶりです! チャージがないのも嬉しい! 楽器を弾かないおばちゃんのほか芸人さんも訪れるというのも、納得です。

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やはり、ロックと肉は深い関わりがありますので、肉ははずせません! ということでサイコロステーキ(600円)をセレクト。

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スター達の写真を眺めながら、肉をほおばります!

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お腹いっぱいになりたかったので、カレーうどん(600円)も注文。

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カレーもしっかりお店で手作りしているそうです。またしてもスターの写真を眺めながら、うどんをすすります。

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激辛かと思いきや、卵もあいまって意外にも優しい味わい。今回はかきあげとゆで卵をトッピングしていただいていますが、日によってトッピングは変わることもあるそう。そこにはロックの精神があります。

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さらに、一番人気の鶏皮の唐揚げ(400円)も。ほんのりスパイシーでサクサクした食感です。こう来たら、もうビールを頼むしかありません……!

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そういえば、すっかり料理に夢中になっていましたが、さきほどの楽器はどうなったかなー? 中2階の飲食スペースから、工房を見下ろします。

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まずは、外れたストラップピンの穴を木の棒でふさぎます。これはドラムスティックのように見えますが、そのために使用する木の棒です。

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ストラップピンの穴のサイズにあわせて、木を削り微調整します。

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接着剤を塗って……

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ベースのおしりにIN! 叩いてしっかり埋め込み、穴を塞ぎます。こんな光景を見ていると、飲食店でもあるということを忘れてしまいそうです。

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続いて、棒の周りに保護テープを貼り

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ノミで棒を削ります。

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交換用のピンを選んで

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キリで穴を開けます。

「危険な作業ですね……!」

とお聞きすると、

「ケガはしょっちゅうですよ〜」

とサラリ。

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さきほど開けた穴にストラップピンを埋め込み、ステージ上で激しい動きをしても外れない、ハイテクなロックピンにグレードアップしてもらいました!

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続いてクイックメンテナンスに移り、まずは弦高調整をしてもらいます。エンド側のネジを調整し……

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音を出して確かめつつ

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ヘッド側にあるロッドも調整します。

「ベースでもロッド2本のものは少なくて、リッケンバッカーと、あと数えるくらいしかないんですよ」

そんな豆知識も教えてもらえました。

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わーい! 適切な弦高になりました! もしかして弦高が高すぎるのでは? という疑惑を抱きながら10年以上使っていたのですが、ウソのように弾きやすくなりました!

──やっぱり、アレ高すぎました?

「そうですね、筋トレ用くらいだったかもしれません(笑)」

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続いて、すっかり輝きを失ったフレットのサビを取っていただくことに。保護シートを乗せて指盤を守りつつ、研磨剤を塗ったローラーのようなもので磨いていきます。

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うっすら抹茶色のように鈍い光を放っていたフレットが、鏡のように輝いています! 本当はこんな色だったのね……。

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そうこうするうちに、とってもロックなお兄さんがご来店! 吉祥寺などで活動しているベーシストの方で、山本さんとは20年ほどのお付き合いだそうです。

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山本さんが音を出すと、大変禍々しい音が、店内に響き渡りました! お兄さんはベースを預けて、さっそうと帰って行きました。

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席に戻り、いよいよカンパイ!

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マスターもお誘いして、飲みながらセッションすることに!

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マスターは秋田県出身ということだったので、私の好きな人間椅子というバンドの『なまはげ』という曲や『りんごの泪』という曲を、教わりながら一緒に弾いていただきました!

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「ここの運指はどうしたらいいんでしょうか?」とお聞きしたり

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「バンドスコアって海外のだと適当に採譜していることも多いけど、これは再現度高いですね〜!」

などと、軽音の部室のような楽しさです!

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ちなみに、マスターが秋田出身ということもあって、秋田料理が限定メニューに加わることもしばしば。こちらは比内地鶏のスープ(600円)です。

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そんなわけでお酒も進み……気づけば4時間近く経過! こんなふうにじっくり歓談するミュージシャンの姿も珍しくないそうで、もしかして、今度来たらあのお方と遭遇してしまったりして!? と帰り道も興奮しっぱなしでした。

みなさんも、学生時代以来眠らせているギターを引っ張り出して、ふらりと訪れてみてはいかがでしょうか?

お店情報

高円寺ライブカフェバー『am』&『BUDDY Sound Works』

住所:東京都杉並区高円寺南4-40-20 HOT WIRE BLDG 2F

電話:03-5913-8475

営業時間:13:00〜23:00

定休日:木曜日

ウエブサイト:http://www.buddy-sw.com

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書いた人:

増山かおり

1984年、青森県七戸町生まれ。東京都江東区で育ち、百貨店勤務を経てフリーライターに。『散歩の達人』(交通新聞社)にて『町中華探検隊がゆく!』連載中。『LDK』(晋遊舎)『ヴィレッジヴァンガードマガジン』などで執筆。著書に『JR中央線あるある』(TOブックス)、『高円寺エトアール物語~天狗ガールズ』(HOT WIRE GROOP)。

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