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足立区の団地に派手な血痕 暴力団排除の実態には盲点あり

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 山口組分裂から約半年、六代目山口組と神戸山口組の衝突が急速に激化するなか、ついに警察は殺し合いを待たずに「抗争」と認定した。かつて抗争に乗じて「頂上作戦」と呼ばれる暴力団壊滅作戦を指揮してきた警察は、いま新たな勝負に打って出た。フリーライター・鈴木智彦氏がリポートする。

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 2つの山口組が爆(は)ぜた。新宿・歌舞伎町のど真ん中で乱闘騒ぎが起き、神戸山口組の中核団体である福井県の正木組本部に銃弾が撃ち込まれて以降、全国の火薬庫に誘爆したかのごとく暴力事件が頻発したのだ。

 2月25日は長野県松本市で神戸山口組系組員に対する集団暴行事件が起き、翌26日には静岡県三島市で山健組(神戸山口組・井上邦雄組長の出身母体)幹部の車両が破壊された。続く27日には神奈川県厚木市の弘道会(六代目山口組・司忍組長の出身母体)系事務所にトラックが突っ込んだ。

 同日の午後9時頃には埼玉県八潮市市役所から1.5キロの住宅街にある山健組幹部宅の壁や屋根に数発の銃弾が撃ち込まれた。拳銃を使った事件は、暴力団にとって特別の意味を持つ。捕まれば銃刀法はもちろん発射罪や器物損壊が加算される重罪だが、誰でも入手できる日用品を使わず、あえて拳銃を使用したほうが、暴力のプロとして玄人受けし、実行犯の虚栄心も満たされるのだ。車両を使った器物損壊とは覚悟が違う。

 実話誌は車を使った器物損壊事件を「車両特攻」と劇画チックに煽り立てるが、悪ふざけが過ぎると言うほかない。逃走を考え、バックギアで突っ込む事件のどこが特攻だというのか。

 拳銃発砲事件の3時間後、東京都足立区の団地前の路上で、同じ山健組系の幹部が2人組の男に催涙スプレーを吹きかけられた後、刃物で斬りつけられ、全治2か月の重傷を負っている。こちらも犯行の手段から、殺す意志はなく、あくまで警告と解釈していい。

 2つの事件は、山健組内の同じ組織を標的にしているため、なんらかの関連性があると考えられている。実行犯は不明だが、被害を受けたのは神戸山口組側なので、分裂という一撃を加えられた六代目側のターンだろう。

 事件翌日、足立区の団地を訪れてみたところ、暴行現場には派手な血痕が多数残されていた。片っ端からベルを押し、住民に気になる点を聞き込みした。本来、暴力団は公営団地から締め出されたというのが建前だ。公営住宅からの暴力団排除をめぐる裁判では、すべて暴力団側が敗訴している。

 ここがもし山健組幹部の自宅なら、暴力団排除の実態にはまだまだ盲点がある。なお今年1月、名古屋市で取材した組員は、市内の公営団地を住居にしていた。名義は内縁の妻で、組員は悪びれた様子もなく「月に1万5000円の家賃だから手放せない」と豪語した。

※週刊ポスト2016年3月25日・4月1日号

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