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アドラー心理学 対人関係の悩みから解放される方法は?

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「アドラー心理学」に関心が集まっている。『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社)が大ヒットしたことを契機に、書店では特設コーナーが組まれたり、企業や教育現場でもアドラーに関するセミナーが開催されたりする大盛況ぶりだ。

「あらゆる悩みは対人関係の悩みである」とアドラーは説く。これは、アドラー心理学において重要な概念である。人とかかわれば、必ず摩擦が起こるからだ。しかし、対人関係を離れて孤独でいては幸せになれない、というのも間違いないだろう。

 このことを説明するうえでは「劣等感」が欠かせない。例えばあなたが、自分の身長が低くて悩んでいたとしよう。このような悩みを持つ人は、身長が低いことそれ自体を問題にしているというより『身長が低くてモテない』という対人関係の悩みを持っていると考えるのだ。

 身長が低いということは、人として欠けていたり、劣っていたりする「劣等性」を客観的に示すものではない。あくまで主観的な「劣等感」にすぎない。つまり、背が低いことをモテない理由にして、対人関係を避けている、とアドラー心理学では考えるのである。

 ちなみに、劣等感という言葉を、現在使用されている意味で初めて用いたのはアドラーである。

 では、この対人関係の悩みから解放されるにはどうすればいいのか。キーワードになるのが、アドラー心理学の考え方、「課題の分離」である。『嫌われる勇気』の共著者の一人で、日本アドラー心理学会顧問の岸見一郎氏が語る。

「他人が自分をどう思うかは他人の課題であって、自分ではどうすることもできないと心得よ、という考え方です。それが分かれば他人の評価に悩まず、気にしてもどうにもならないと、心を余計な重圧から解放することができるのです」

 アドラー心理学のカウンセリングでは、相談者が変わるか変わらないかは相談者本人の課題であり、それを踏まえてカウンセラーは協力する。

「あくまでも相談者が自分の課題に取り組めるよう、援助をするのです。今までとは違う問題解決法を共に考え、試してみる。いくつかの方法を試していけば多くの場合、恐れていたことは起きないと気付きます」(岸見氏)

 アドラー心理学を医療現場で実践しているのが、糖質制限の権威で、『心を変えれば健康になれる! アドラー心理学で病気もよくなる』(東洋経済新報社)を昨年上梓した高雄病院理事長の江部康二氏だ。

「私は30代の頃までは患者がよくならないと自分の腕が未熟だと悩んでいました。しかし、糖尿病の治療に関して医師としてできることをして、糖質制限の重要性も伝える。これらは私の課題ですが、そこから先、食事や運動で自己管理できるかどうかは患者の課題なのです。

 私自身は知人の紹介で『嫌われる勇気』を読んで彼の考え方にとても共感できました。アドラーは英国の諺でもある“馬を水辺に連れて行くことはできるが、馬に水を飲ませることはできない”と課題の分離を例示していますが、患者と医師、看護師の関係に置き換えれば、我が意を得たりです」

※週刊ポスト2016年3月18日号

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