古民家リノベ[5] 限りある予算で理想を叶えるコストダウン術

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古民家リノベ[5] 限りある予算で理想を叶えるコストダウン術

古民家リノベーションとなると、一体いくらかかるのかが気になるところ。相見積もりを依頼した5社からの提示金額も、実際倍額以上の開きがあった。一目惚れした古民家を予算オーバーながら入手したこともあり、リノベーションにかけられる費用は限られていた。こだわりを生かしつつコストダウンするため、私が実践した工夫を紹介しよう。

面積の大きい床・壁・天井は全体コストへのインパクトも大

正直、どの会社の提案も予算オーバーだった。私がコストダウンにあたって、最初に諦めたものは「床暖房」。古民家でも寒いのが嫌で、リビングに床暖房があったらさぞ快適だろうと考えた。同時にスリッパ嫌いなので、裸足が気持ちいい無垢材の床にしようと決めていた。しかし、床暖房と無垢材は相性が悪く、床暖房対応の無垢材フローリングは大変コストが高くなってしまう。

しかも、和室一室以外は全てフローリングなので、高コストの床材をほぼ家全体に使うことに。床材そのものの単価差は小さくても、使う面積が広いのでコスト影響は大きくなる。家全体での統一感がなくなるがリビングだけ床暖房対応の別フローリングにする、無垢を諦める、なども検討した。しかし、結局床暖房は冬だけ、ということで我慢することに。これによって、床暖房用の機器なども含め100万円以上のコストダウンが楽にできた。

床材と同様、外壁、室内壁、屋根など使う面積が大きい材料は、全体コスト影響も大きいので重点的に検討を。私は、外壁を必要最小限の手直しに、屋根も既存のものをそのまま使い、コストをおさえた。その分室内にはこだわって、壁も天井も全て珪藻土にした。もちろん室内でも、人目につかない小屋裏収納はベニアのまま、などメリハリはつけた。

既存の建具やサッシ、補助金制度、利用できるものは全て使う

初めて見たときの家の風情が気に入っていたこともあり、元々あったもので使えるものはなるべくそのまま使った。外壁は、間取りの変更等に伴い大幅な変更を要する部分はガルバリウム鋼板の外壁材をはったが、変更の少ない部分は木の外壁をそのまま生かして補修し、塗装のみで済ませた。これで約30万円のコストダウン。

建具やサッシなども同様、使えるものは積極的に利用した。14カ所も窓のある家だったが、ここ10年前後に修繕されていたサッシもあり、吟味した結果、新品は5カ所だけですんだ。大部分の窓はそのままサッシの枠を利用して、省エネ対策でガラスだけは複層に変更することでこれによって約30万円浮かせることができた。

耐震性や断熱などの基本性能にはお金をかけた甲斐があって、国土交通省の省エネ住宅ポイントの制度を満額利用することができ、この分も実質コストダウンになった。このような国や自治体の有り難い補助金制度で、条件に当てはまり使えるものがないかは重要なチェックポイント。年度ごと、自治体ごとに制度や条件は異なるので、最新情報を早めに直接問い合わせる事をオススメする。【画像1】外壁コストダウンの一例。窓をなくすなど大幅な変更で補修がききにくい部分を除き、既存の木の外壁を生かせるものはなるべくそのまま使い、補修して塗装した(写真撮影/左:長井純子、右:片山貴博)

【画像1】外壁コストダウンの一例。窓をなくすなど大幅な変更で補修がききにくい部分を除き、既存の木の外壁を生かせるものはなるべくそのまま使い、補修して塗装した(写真撮影/左:長井純子、右:片山貴博)

自分でやること、今やるか後回しにするかの優先順位をつける

その他、コストダウンしながら理想のイメージに近づけるために実施したのは、自らが商品を選び購入する、施主支給。キッチンはなかなか条件に合う好みのものがみつからず、リフォーム会社の紹介でなく自ら情報収集して探し出した。

古民家に合う古い建具も使いたかったので、既存で足りないものは知人から譲ってもらって取り入れることに。照明もリフォーム会社を通すよりインターネットで直接購入するほうが1割程度割安なことが分かり、自分で選んで購入させてもらった。施主支給の対応可能範囲はリフォーム会社によって異なるので、希望する場合はあらかじめ相談をすることが必要だ。

経験がないながら、DIYでのコストダウンも検討した。珪藻土を友人たちも動員して塗ることも考えたが、吹抜けの天井含め塗装面積が広く仕上がりも心配だったので、これは断念。造作家具は、目立たないところの収納はつくり込みすぎず、可動式の棚のみの簡単な施工にして、100円ショップの収納ボックスを置いて済ませた。

コストダウンでも重要なのは、優先順位だ。インテリアなどの後から変更しやすいものの優先順位は下げ、住宅性能などあとから手を付けにくいものは優先して工事をしておきたい。例えば当初、縁側を直してウッドデッキにすることを検討していたが、床下の防湿コンクリート工事の必要が出たため、ほぼ同額のコストがかかるウッドデッキを諦め、性能アップの工事を優先した。家本体とは別の縁側なら、後からでも工事しやすいからだ。

新居のインテリア家具も、優先順位を下げたひとつ。工事が必要な照明とカーテン類は家に合わせて購入したが、それ以外の家具は全て前の家で使っていたもので済ませている。まずあるものを使ってみて、どうしても不便やミスマッチだと感じたら、そのときに検討しようと決めた。けれど、マンションの洋風家具が古民家にも調和しているから不思議だ。【画像2】コストダウンの工夫満載の玄関ホール。床材はアンティーク加工した無垢のボルドーパインで新品ながら古民家の雰囲気に合うように、サッシは既存の枠を生かして複層ガラスに変更。木の建具は元の家にあったものと施主支給したもの融合。縁側は既存を塗装してそのまま利用(写真撮影/片山貴博)

【画像2】コストダウンの工夫満載の玄関ホール。床材はアンティーク加工した無垢のボルドーパインで新品ながら古民家の雰囲気に合うように、サッシは既存の枠を生かして複層ガラスに変更。木の建具は元の家にあったものと施主支給したものの融合。縁側は既存を塗装してそのまま利用(写真撮影/片山貴博)

せっかくの新居、予算内に収めつつ、夢がある空間に仕上げたい。そのためには、こだわるべきものを見極め、我慢できるところは目をつぶる、後回しにするなどして、トータルで自分好みの家を目指そう。さらに工事が始まってからは、予定外の出費もつきもの。私も水道工事、電気配線や造作収納など、今回の工事中に気付きこの際やっておいた方がいいものは追加することにした。そのためにも予算は本当にギリギリではなく、1割程度余裕を持たせておくと安心だ。
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