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子供の教育をめぐる法律(6)

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 今回は高校・大学のステージで発生する法律問題を見てみたいと思います。

奨学金問題

 文部科学省が2年に一度学校や学校外の教育に係る費用を調べる「子供の学習費調査」によれば、全日制の高校の1年間の学習費(授業料や学校外教育費などが含まれます)の総額は、公立が約40万円、私立が約100万円となっています。
 大学に至っては、国公立大学で、年間110万円、私立大学理系では年間177万円もかかっているとのことです。
 このように、学習費が大きくなる一方で、世帯年収については伸び悩んでいるという状況で、世帯収入に占める教育費の割合が約40%と過去10年間で最高になっているという結果が出ています。

 このような状況の中で、高校や大学の進学にあたり、奨学金を利用する家庭が増えてきました。大学生では5割が利用しているともいわれています。
 しかし、日本における奨学金の多くは欧米の奨学金とは異なり、「貸与型」という将来返還しなければならないもので、いわゆる「借金」です。
 卒業後返還が開始するものの、非正規雇用化・低賃金労働の拡大など雇用環境が悪化している状況下で、奨学金返還分が支払えないというケースが多く発生してきています。これを「奨学金問題」といいます。

 貸与型の奨学金について、返還が滞っている利用者や保証人である親などに対して奨学金を貸与した機関が、残額の一括返還を求める訴訟がここ数年で激増し、2012年度はピークに達し6000件を超え、2014年度はピーク時からは減少したものの、依然5000件を超える高い水準となっています。
 返還が滞れば高い延滞金が発生すること、他の金融機関からの借り入れが一定期間困難になるいわゆる「ブラックリスト」に登録されてしまうこと、という不都合も発生します。

 「奨学金」自体は決して悪いものではありません。奨学金のシステムがなければ、進学したいのに、家庭の経済の事情で断念せざるを得ないという人が多くなってしまったでしょう。
 しかし、奨学金には、有利子である場合もあり、その場合は借りた額以上に返還しなければならないこと、長い期間にわたって返還しなければならないこと、滞納すれば上記のようなペナルティを受けること、という厳しい側面もあります。
 良い面と悪い面を把握した上で、上手に利用するということが必要です。

 なお、2014年には、「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律」が施行され、非課税世帯を対象に、授業料以外の教育費を支援するという「高校生等奨学給付金」という制度ができました。
 これは返済不要の「給付型」の奨学金です。なるべく貸与型でなく給付型の奨学金を利用するというのも大切です。

 これから、高校や大学に進学することを考えていて、奨学金を利用することを検討している学生や保護者の皆様には、利用の前にちょっとこの記事を思い出していただき、利用額等について慎重に検討していただければと思います。

元記事

子供の教育をめぐる法律(6)

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