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こんな食堂あったらいいな、みんなで食べる「子ども食堂」

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子どものお腹とココロを満たす「要町あさやけ子ども食堂」

近年、子育て世帯の貧困が問題になっています。さらに、地域とのつながりをもたず孤立する家庭が増えたことで、虐待や引きこもりといった子どものSOSも見逃されがちです。そうしたなか、地域が共同体として子どもたちを見守り、育てていこうという動きも見られます。そのひとつが、「要町あさやけ子ども食堂」。個人の自宅を開放し、毎月第1・第3水曜日の17時半から19時まで開かれる子ども1人でも入れる食堂です。

子どもも大人も誰でもウェルカムな食堂

2013年に東京豊島区の要町にオープンした「要町あさやけ子ども食堂」は、店主の山田和夫さんの自宅で運営されています。食堂を支えるのは、20名を上回るボランティアスタッフ。

大人も子どもも予約の必要はなく、ふらっと訪れて栄養バランスのいい夕飯を1食300円で食べることができます。ちなみに、経済的な事情を抱えた家庭の子どもは無料だそう。

そして一番のポイントは、たくさんの人たちと食卓を囲めるということ。多いときには40名以上にもなる食卓は、孤食により寂しい思いを強いられている子どもを救う役割を果たしているのです。「マナーとかルールを気にせず、楽しく食事しようということだけです。『いただきます』もないので気軽なもんです。皆同じ夕飯だし、狭いから席も譲り合って食べる。そうすると自然に楽しくなっちゃう」(山田さん)【画像1】親子での参加ももちろんOK。生活クラブ生協から安全安心な食材を調達しているのも、親にとってはうれしい限り。限られた予算でやり繰りしながらも、支援者からのお米や果物の寄付によってなんとか運営できていると山田さん(写真撮影:飯田照明)

【画像1】親子での参加ももちろんOK。生活クラブ生協から安全安心な食材を調達しているのも、親にとってはうれしい限り。限られた予算でやり繰りしながらも、支援者からのお米や果物の寄付によってなんとか運営できていると山田さん(写真撮影:飯田照明)

『子ども食堂サミット』も開催! 広まるネットワーク

食堂をはじめて約3年、山田さんのもとにはメディアの取材だけではなく、議員の視察をはじめ子ども食堂を全国に広めたいという人たちが各地から集まってくるそうです。

「ボランティアで来ていた大学生たちが、自分たちもやってみたいということで、八王子に子ども食堂を立ち上げたこともあります。でもカレーしかつくれないから、近所の女性が見かねて手伝いにきたみたい(笑)。料理ができない代わりにご飯を食べた後に、サッカーとか一緒にしているようです。子どもたちもうれしいはず。あと、半年前くらいから毎回きて、随分手伝ってくれた男性も教会を借りて練馬区で『桜台子ども食堂』をはじめました。遠くは札幌や沖縄から視察にくる人もいますよ。環境も違うし考え方もまったく違うので、同じ食堂ではないですが、目指していることは似ていますよね」(山田さん、以下同)

今年1月には、第2回目となる『子ども食堂サミット 2016』も開催され、山田さんと同じように食堂を運営する人たちが一堂に会したイベントも行われたそう。子どもの健全な成長と切っても切り離せない”食”を通して生まれたコミュニティは、熱意ある人たちの手によって全国に広まりをみせているようです。【画像2】料理長以外のスタッフは固定の役割を決めず、ボランティアそれぞれが「できること」「やりたいこと」を手伝うのが

【画像2】料理長以外のスタッフは固定の役割を決めず、ボランティアそれぞれが「できること」「やりたいこと」を手伝うのが”あさやけスタイル”(写真撮影:飯田照明)

ちなみに、山田さんが自宅を開放してまで、子ども食堂をはじめようと思ったのは、”ひとり暮らしが寂しすぎたから”。当初はとりわけ「子どもたちのため」という熱い思いがあったわけではないといいます。

「妻の死をきっかけに、両親から受け継いだ一軒家にひとり暮らしをすることになったんです。でも、広すぎる家を持て余してしまったのと、私自身が大家族で育ったこともあって、この家を使ってにぎやかな場をつくりたいという思いが強くなりました。とくに使命感に燃えていたということはないんです。ただ、『もし人を呼ぶんだったら子どもたちが集まれる場所にしよう』とは考えていました。そんなとき、大田区で子どものための食堂があることを知って、自分の家でも同じようなことができないかなと思ったのが最初のきっかけですね」

しかし、それが結果的に地域の親子のよりどころになっています。山田さんはあくまで「自分のため」といいますが、こうした押しつけがましくない態度が居心地の良さにつながっているのかもしれません。【画像3】要町あさやけ子ども食堂・店主の山田さん。

【画像3】要町あさやけ子ども食堂・店主の山田さん。”社会貢献のため”と気負い過ぎない大らかなスタンスが、子どもだけでなく多くの大人も気兼ねなく足を運べる秘密なのだろう(写真撮影:飯田照明)

たくさんの子どもと接してきた山田さんですが、なかでも印象に残っている子がいるといいます。

「祖父母に育てられていた、中学3年の引きこもりの子がよく食べに来ていたんです。将来、家具職人になりたいと話していた子でした。ある日、ボール紙でつくった食券は汚いからということで、木でつくろうということになり、その子と私と二人で「子」という文字を二日がかりで彫りました。その後、その子は無事に高校に行って、今は家具職人を目指しています。限られた大人との関わりや、狭い価値観のなかだけで生きていると、自己否定に走ってしまいがちですが、さまざまな人とつながることで、違う価値観があるんだということに気が付く。それが子どもにとって大事なんだと思います」

食事による成長だけでなく、訪れる子どもの心も育む「要町あさやけ子ども食堂」。ゆるいつながりでありながらも、地域の共同体のなかに根を張り、そして全国に実をつけはじめているようです。

※要町あさやけ子ども食堂は、NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク主催の事業です●SUUMO家を開く『妻との約束に導かれた、自宅「子ども食堂」』●取材協力

・要町あさやけ子ども食堂
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