不動産の捨て看板・電柱広告には要注意! 違反広告の見分け方

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不動産の捨て看板・電柱広告には要注意! 違反広告の見分け方

電柱に貼られた広告物を見たことがあるだろう。「捨て看板」と呼ばれるもので、多くが違反広告だ。どういったものが違反広告なのか、詳しく説明していこう。

捨て看板の違反広告の9割が不動産会社によるもの

東京都では、年に一度、違反広告物の取り締まりのために、「捨て看板等の共同除却キャンペーン」を実施している。平成27年度のキャンペーンの実施結果(10区、11市で実施)を見ると、除却した捨て看板等は、はり紙・はり札等・立て看板等・広告旗合わせて6434枚で、業種別では不動産業のものが5897枚と91.7%を占めた。

捨て看板の多くは電柱に貼られたものだが、最近ではコーンに貼りつけたものも見かけるようになった。こうした屋外広告は、条例で禁止している自治体が多い。無許可で設置する行為自体が、まず違反となる。また電柱に広告を付けるには、電柱を管理する電力会社などに使用料を払うのも原則で、正規の手続きを経ている医院の道案内などの広告もあるので、すべてが違反というわけではない。

ただし、捨て看板の不動産広告の場合は、多くは違反広告と見てよいだろう。

不動産広告は、業界の自主規制である「不動産の表示に関する公正競争規約」が設けられている。不動産の広告をする際には、掲載しなければならない項目が多く、電柱に貼ったはり紙でそれらを網羅することは考えにくい。文字が小さくなって、広告効果が薄れるからだ。

違反広告の事例から見る見分け方

筆者が街で見かけた、電柱に貼られた違反広告の事例を紹介しよう。【画像】(広告例)筆者が近所で見かけた電柱には、このようなはり紙が貼られていた(実際の広告を元にSUUMOジャーナル編集部で作成)

【画像】(広告例)筆者が近所で見かけた電柱には、このようなはり紙が貼られていた(実際の広告を元にSUUMOジャーナル編集部で作成)

どこが違反かというと、大きく分けて2つある。

・禁止されている表現を使った「不当表示」をしている(不当表示)

・掲載しなければならない項目がきちんと記載されていない

まず、不当表示を見ていこう。

・根拠もなく「マンション価格より断然安い」「資産価値大」「この価格で戸建ては買えない」などと、優れた物件であるかのように記載している。

・「環境抜群」などと、主観的な表現を使っている。

・「早い者勝ち」などと、消費者をあおる表現を使っている。

・3580万円から「大幅最終値下げ」で2345万円といった、あたかも値引きで安くなったと見える二重価格表示を不当に使っている。

実際に一定期間3580万円で販売したところ、売れなかったので2345万円に値下げして販売をするということはありうるが、その場合は3580万円で売り出したのはいつで、2345万円に値下げしたのはいつかなどを併せて記載する必要がある(この場合、3580万円という値付けが高くて売れなかったので、適正な価格に値下げしたと考えるほうが妥当だろう)。

不動産広告は、客観的な事実を記載するのがルールで、消費者をあおるような表現は禁止されているのだ。

次に、掲載されていない項目を見ていこう。

物件種別や広告を掲載するメディアなどによって必須の掲載項目が異なるが、中古住宅で最低でも掲載しなければならない項目でチェックしてみよう。

・土地面積

・建物面積

・建物の建築年月

・広告主の名称や事務所の電話番号

・売主・代理・仲介等の取引態様

などが正しく掲載されていないことが違反と考えられる。

一応、売主という取引態様や連絡先の携帯番号が記載されてはいるが、物件の所有者個人が直接売り出しているとは考えにくいし、個人の携帯番号が事務所の電話番号かどうかも疑わしいので、違反とみなした。連絡をすると、おそらく仲介会社の営業担当者につながるのだろう。

ほかにも、借地の場合はその条件、生活インフラで負担金がある場合はその額など、物件によって記載しなければならない項目もある。さらに、特に不利な条件(再建築不可や高圧電線路下など)があれば、それも記載しなければならない。

また、一般的な広告では、土地の用途地域や建ぺい率・容積率、建物の構造、土地の権利形態(所有権か借地権か)なども掲載されることが多い。一戸建てを売買する際には重要な項目だからだ。

捨て看板などは違反広告がほとんどだ。広告の出し方も広告の表示内容も、ルールを守っていないのだから、こうした広告を出す不動産会社の仲介で物件を売買しようとしても、法律を順守した取引が行われるかどうか怪しいものだ。安易に連絡しないほうがよいだろう。●参考

「第19回捨て看板等の共同除却キャンペーン」の実施結果について/東京都

・不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約の紹介」●不動産広告に関する記事

・おとり広告などの違反がインターネットで増加!どうやって見分ける?(SUUMOジャーナル)

・インターネットの“イケナイ不動産広告”って、どんなもの?(SUUMOジャーナル)

・ディスカウント物件が分かる? 不動産広告でルール変更(SUUMOジャーナル)

・「駅徒歩△分」は信じてもOK?不動産広告に騙されない5つのポイント(SUUMOジャーナル)
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/02/106579_main.jpg
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