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知っていますか? 水道料金が地域により最大8倍も違う理由

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2016年4月の電力小売自由化、そして2017年4月の都市ガス小売自由化によって家庭の光熱費負担が減りそうな気配だ! しかし、筆者宅には水道料金値上げの通知が送られてきた。なぜだ? 水道料金事情を探ってみることにする。

最大で8倍の料金格差! 地域によって大きく違う水道料金

筆者が暮らす大阪府吹田市では、2016年4月から水道料金が平均10%引き上げられる(負担軽減のため時期を2段階に分ける措置あり)。月間で20m3使用する家庭では225円、年間で約2700円アップする計算だ。電気やガスは自由化が予定され、公共料金低下の勢いが強まっている中で、なぜ水道料金は値上げされるのか? これは吹田市だけの事情なのか? 業界専門紙である水道産業新聞社編集部に伺ってみた。

「水道事業は地方自治体が独自で運営しており、料金水準にも大きな地域差があります。最新のデータでは、全国で最も安い山梨県富士河口湖町は835円、北海道夕張市では6841円(平均的な家庭での使用量20m3/月換算)と約8倍もの料金格差が生じています。これほど極端ではなくても、同規模の都市間でも1.5倍から2倍程度の料金差はあります」とのこと。■水道料金が安い事業体ベスト5

富士河口湖町(山梨県) 835円

赤穂市(兵庫県) 853円

長泉町(静岡県) 1120円

小山町(静岡県) 1130円

白浜町(和歌山県) 1155円

■高い事業体ベスト5

夕張市(北海道) 6841円

深浦町(青森県) 6588円

羅臼町(北海道) 6360円

江差町(北海道) 6264円

上天草市大矢野地区(熊本県) 6264円

※家事用20m3当たり

※「公益社団法人 日本水道協会」が発行『水道料金表(平成27年4月1日現在)』より作成

なんと8倍もの格差とは! こうした料金差が生じる原因には水質や地形といった「地理的要因」、水道布設年次や水利権などの「歴史的要因」、人口密度や需要構造の違いによる「社会的要因」があるようだ。

「水源の水質や水量、地形に恵まれていれば、浄化処理やダム、ポンプといった施設の設置&運営コストは少なくて済みますし、逆のケースでは高くなります。また、水道料金は一般家庭の料金単価を原価よりも低く設定し、民間企業などの大口需要者の単価を高く維持して帳尻を合わせているケースが基本です」とのこと。さまざまな事情と歴史のなかで、各自治体の水道料金差が生じているということだ。

【図1】給水人口規模別の水道料金差(家事用20m3当たり、平成27年4月1日現在)。全国平均は3202円である。「公益社団法人 日本水道協会」が発行『水道料金表(平成27年4月1日現在)』より

全国で相次ぐ「水道料金値上げ」の動き。なぜ値上げは必要なのか

では、なぜ値上げの動きがあるのか?

「公益社団法人 日本水道協会」が発行する『水道料金表(平成27年4月1日現在)』によると20m3あたりの全国平均料金は3202円。吹田市は1992円だったので、実は割安な自治体だったのだが、市議会で値上げ案が可決された。その理由は「水の使用量の減少に伴う収入減、水道施設の整備費用増大」をカバーする財源を確保するため。安全な水を安定して届けるためには、現状ではお金が足りない、ということなのだ。

【画像1】吹田市の水道料金改定の背景・趣旨(出典:吹田市水道局ホームページより抜粋)

【画像2】吹田市水道事業の今後3年間の見込み(出典:吹田市水道局ホームページより抜粋)

水道産業新聞社編集部によると、こうした値上げは今後もますます拡がっていく見込みだという。

「最大の理由は老朽化した管路や浄水施設の更新が大幅に遅れていること。高度経済成長期に一斉に布設された水道管は、法定耐用年数40年を超えるものが今後急増しますが、改築・更新費用が水道料金に十分反映されていないこともあり、財源不足で更新がまったく追いついていないのです。そこに追い打ちをかけるのが人口減少による料金収入の減少と、一般家庭向けの低価格な水道料金を支えてきた大口需要者の水道離れ。将来を見据えたビジョンや事業計画を立てて水道料金の値上げに踏み切るケースは今後増えるでしょう。一方、財政基盤が弱い小規模な水道事業体などでは職員が足りず、値上げの実務作業すら進めづらい状況に追い込まれています。水道事業の広域統合や民営化を模索する事業体が今後増えると思います」

そういえば、水道管の破裂といったトラブルを見聞きするケースが増えたように思う。日本が世界に誇るインフラではあるのだが、今後も維持していくためには危機感をもって水道に目を向ける必要がありそうだ…。厚生労働省でも「新水道ビジョン」を策定して、対策を進めている。

ライフライン「水道」を維持して行くために、「m3」を注目しよう

こうした現実のなかで、我々生活者ができることは何だろうか?

節水型トイレを採用する、浴室のシャワーヘッドを節水タイプに変える…といった暮らしの工夫も必要だろう。

また、水質を向上させるために努力も必要になるだろう。自然環境を守ることで水源と水質を維持していくことも大切。水道料金値上げの動きは、これからも拡がっていきそうだ。電気とガスで節約したお金は水道設備の維持にまわす、そんな発想も必要になるかもしれない。

電気の自由化に伴って、気にかける数値が請求金額の「円」だけだったのが、「kWh」という消費電力量にも目を向けるようになった。今後都市ガスが自由化されれば、ガス使用量の「m3」にも注目が集まりそうだ。さらに、水道料金だけじゃなくて水使用量の「m3」を気にかける暮らし方が、これからは求められるのだと思う。●取材協力

水道産業新聞社●参考

・厚生労働省 新水道ビジョン

・公益社団法人 日本水道協会
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/03/107101_main.png
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