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第49回 面白い規則集(その2)

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 拘置所規則の一部である「新入者告知事項」について説明をする。
 これ以外の規則集には、すべての漢字にひらがなのルビがふってある。ところが、これにはない。新入者は真っ先にこれを読むのではないかと思うが、ルビがふられていないのである。不親切だと思う。
 また、ロシア人と思われる人も入所していたが、ロシア語の説明書などはないのだろうな。どうするのであろうか?

 「新入者告知事項」中の「1.規則の遵守等」という項目の(1)に「・・・職員の注意指示等には素直に従い、抗弁及び暴言等はしないこと。」とある。一読するとごくごく当たり前のことのようであるが、刑務官の言うことは絶対で、「仮に理不尽なこと」でも被収容者はこれに服従しなければならないということを規定しているのである。

 考えすぎではないかとの反論もあるかもしれないが次のような事例もある。刑務所でのことではあるが。
 「家族」の写真を差し入れてもらったところ、背景にほとんど判別不能なほどにぼやけ、かつ小さく犬が写りこんでいた。家族以外の者(物?)が写っているとの理由で差入不許可となった。驚いた受刑者が「それはおかしいでしょう」と言うと「抗弁だ」として懲罰の対象となったというものである。

 この例からも分かるように、いかに理不尽なことを言われても、刑務官には唯唯諾諾と服従しなければならないのであって、先の規則はこのことを定めているのである。
 ただ宮崎拘置所の名誉のために付言すると、幾人かの者は四六時中刑務官に文句を言っている。それでも刑務官は一所懸命に説明をし、その者の理解を得るようにしている。
 「どうして分からないんだ。」と声を荒げることもたまにはあるが、それでも概ね丁寧な説明をしている。だから、宮崎拘置所で「抗弁」との言葉を聞いたことはない。

 「新入者告知事項」の「2.居室の心得」の(1)に「特に用のない時は定められた座席位置に座り、勝手に寝たり、居室内を歩き回ったり布団等にもたれないこと」とある。「定められた座席位置」との語句は「所内生活の心得」にも出てくるし、「遵守事項」に「指定された席」とあるのも同様である。

 ところがである。トイレ及び洗面スペースを入れてもわずか4畳半程度の独居で、どこが「定められた座席位置・指定された席」であるかを具体的に分かるように定めたものは何もないのである。おそらく雑居用の言葉ではないだろうか。
 刑務所での経験だと廊下側から入った入り口の左手前が1番席、その向かいが2番席、2番席の斜向かい(1番席の隣)が3番席、その向かいで2番席の隣が4番席と決まっていたからそれと同じではないだろうか。
 いずれにしても独居では分からないので部屋の真ん中あたりの壁寄りにいることになる。

 告知事項には、さらに「布団等にもたれないこと。」とも書かれている。私は、まじまじとこの言葉を吟味し、「布団等」となっていることに着目した。「等」だから日本語としては、布団以外の何らかの物を含んでいることになる。
 しかし、見渡した限り布団以外にもたれることのできる対象物は壁しかない。とすると、「布団等にもたれないこと」とは「布団及び壁にもたれないこと」という意味になり、きちんと正座もしくは安座をしていなければならないということになる。しかも「特に用のない時」はそのようにしていなければならない。
 では「特に用のない時」の逆、つまり「特に用のある時」とはどんな場合かというと、居室内にいる限りそれは洗面もしくはトイレとなるから、ほぼ一日中、壁にもたれることも許されず、正座もしくは安座状態でいなければならないということとなる。洋式の椅子生活に慣れた者には結構しんどい。

 しかし現実は違った。入浴等の往き帰りにちらりと見ると、壁にもたれかかって座っている者、しかも足を投げ出して座っている者が多いのだ。
 そこで念のために刑務官に尋ね、壁にもたれかかることも足を投げ出すことも問題なしとの言質をとった。これで若干楽にはなった。それでも、腰を痛めてしまったが。(つづく)

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第49回 面白い規則集(その2)

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