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砂にまみれて全身真っ白!モーリタニアの世界一長い列車の話

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Photo credit: Masashi Amano「砂漠の国モーリタニアで、世界最長の列車に乗った

こんにちは、Compathy Magazineライターの天野です。
西アフリカのモーリタニアという国をご存知でしょうか。日本とは、タコの国別輸入量で一位という意外な関係もありますが、ほとんどの人には名前すら知られていないのではないかと思います。

しかしこのマイナー国にも、「世界一長い」と言われるものがあります。

それは…、「列車」です。

この国は、ほとんど乾いた砂漠に覆われています。その砂漠の中を沿岸部から内陸にかけて、鉄鉱石を運搬する貨物列車が通っているのです。その長さ、なんと約3キロ。日本にあったとしたら、列車自体が2駅、3駅にまたがるほどの長さというから驚きです。

貨物車に乗るロマンな旅

僕はこれに乗って、沿岸部のヌアディブという街から内陸部へ行くことにしました。一応客車も付いているのですが、貨物車には無料で乗ることができます。

僕は貨物車に乗ることにしました。なんといっても無料ですし、貨物車に乗るなんて体験はなかなかできるものではないからです。注意すべきなのは、吹きさらしの荷台で風の吹きすさぶ砂漠の只中を一晩移動するので、砂まみれになること。しかし、砂漠の星空を見ながら移動できるなんて、ロマンがあると思いませんか? これぞまさにプライスレスな体験です。

そしてこのとき、一人旅の僕には一緒に行動していたメンバーがいました。同じ宿で出会ったアフリカ旅行5回目の50代くらいのポーランド人と、僕と同じ世界一周中の日本人の学生です。3人でタクシーに乗り、駅を目指しました。

駅は砂漠の中の陸の孤島のようにポツンとありました。周りには文字通り、何もありません。定刻になっても列車が来なかったので聞くと、一時間遅れで着くとのこと。モーリタニア時間で考えると、ほぼ定刻通りの運行です。

Photo credit: Masashi Amano「砂漠の国モーリタニアで、世界最長の列車に乗った

そして列車が到着。列車は最後尾が見えないほどで、確かに長い。待っていた人々が一斉に動き出し、次々と乗り込むのを見て、僕達も続いて乗り込みます。貨物車は人が乗る用にはできていないので、乗り込むのも一苦労。同じ車両には、子供連れの現地人の夫婦がいたので、お互いに荷物を載せるのを助けあって乗りました。一緒にいたポーランド人は客車に乗るので、ここで一旦お別れです。

砂と、衝撃音と、寒さと

Photo credit: Masashi Amano「砂漠の国モーリタニアで、世界最長の列車に乗った

ようやく列車が動きだしたのですが、車両と車両の衝突音がものすごいことに気づきました。3キロに及ぶ車両が、前から後ろに衝撃を伝えていくのです。なにか近くで爆発したのかと思うくらい、本当にものすごい音がします。

砂で精密機器が壊れるのではという心配もあり、だいぶ砂対策をしていたのですが、それでも不十分でした。特に僕は顔の防護が甘かったので、ひどいことになりました。叩きつけるといった感じに砂が降ってくるので、ろくに目も開けられてられないレベルです。耳にも鼻にも口にも砂が入ってきます。ここは映画でよく見る砂漠の民のように、顔中を布で覆っておくべきだと後悔…。あれはいかにも怪しげですが、砂漠で生きるには合理的な服装であることを、身を持って実感しました。

Photo credit: Masashi Amano「砂漠の国モーリタニアで、世界最長の列車に乗った

次第に日が落ち、僕達は食事をとりました。同席の夫婦が揚げ餃子風のスナックを分けてくれ、僕達も他国で買ってきたお菓子をシェア。口に入る砂ごと噛み下す食事でした。お互いの顔を見ると砂で真っ白。しかし俺たちはなんで好き好んでこんなことをしてるんだろうなと思うと、不思議と笑えてきて、悪い気分ではありませんでした。

満天の星空の砂漠

食事を終えると日はすっかり落ち、あたりは真っ暗で懐中電灯がないと手元も見えないほどに。砂漠の夜は日中からは考えられないくらい急激に気温が下がるので、寒さに震えました。そんな中、日本人の大学生としみじみ話をしながら、ふと夜空を見上げると、そこには満天の星が! そのキレイな夜空を見て、今夜は忘れられない一夜になるな、と思いました。

午前2時頃、列車が止まりました。僕達はシュムという町で降りる予定だったのですが、真っ暗な闇に閉ざされた辺りは駅も、町らしき影もありません。それでも人の降りる音がするので、不審に思っていると後方から車が来ました。僕達はライトをチカチカさせて叫んで合図をすると、車から「ジャパニーズ!」と呼ぶ声がしました。客車に乗っていたポーランド人が探してくれていたのです。町らしき影もありませんでしたが、実はそこが予定していたシュムという町だったのです。このとき気づかなければ、砂漠の奥地まで行ってしまったかもしれません。

車に乗りこんだ僕達を見てポーランド人は「最高の夜だったみたいだな!」と笑いました。そう、僕達は全身砂で真っ白になっていたのです。

その晩はシュムのテントハウスで雑魚寝しました。シャワーもトイレもありませんでしたが、屋根の下で休めるだけありがたかったです。その晩シュムで見た星空は、砂で視界を妨げられない分、列車に乗っているときよりもキレイに見えて素晴らしく、今でも瞼に焼き付いています。

Photo credit: Masashi Amano「砂漠の国モーリタニアで、世界最長の列車に乗った

砂まみれでも晴れやかな気分で迎えた朝

翌朝、日が昇って自分たちの姿を確認すると、一晩で髪が真っ白! しかし僕達は、こんなひどい有様なのに妙に晴れ晴れとした気分だったのです。そして笑いながらお互いの写真を撮りました。我ながらいい表情をしていると思います。

砂に打たれて晴れ晴れしい気持ちになった、このことを今振り返って思うのは、これは山籠りの滝打たれの行ならぬ、砂打たれの行だったのではないかということ。旅には確かに、修行という側面がある。僕はそう思います。

ライター:Masashi Amano
Photo by: Masashi Amano「砂漠の国モーリタニアで、世界最長の列車に乗った

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*Masashi Amano「砂漠の国モーリタニアで、世界最長の列車に乗った」
*Masashi Amano「西サハラ~モーリタニア国境越え。地雷原の緩衝地帯を通る」

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